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9*白馬探の場合
<はぁ!?白馬探が日本に帰ってきてる!!??>

コナンは受話器口で大声をあげた。

「だ―――!!声でかいっちゅーねん!!」

オメーに言われたかねーよ、とコナンは心の中で毒づいた。

今コナンが話している相手は、西の名探偵・服部平次。

その彼から、海外で活躍する探偵・白馬探が日本に一時帰国しているとの話を聞いたのだ。

<でもなんでオメーが白馬の情報を知ってるんだよ!?オメーら仲悪かったじゃねーか。>

そう、探偵甲子園の時、平次は散々白馬に嫌味を言われ、嫌っていた。

「ああ、俺かてアイツの事なんどーでもええけどな、アイツから俺に連絡があって、お前を交えて三人で会おうとかぬかしとるんじゃ!!」

<またなんで・・・。>

「何でも、ロンドンでえっらい難しい事件が起きたらしいてのォー・・・。俺らの知恵を借りたいそうや。」

<俺らの知恵を?アイツ、そー言うのプライドが許さないとか言ってそうなのにな・・・。>

「俺もそう思たんやけど、白馬が俺らの話を警視総監の親父にしたところ、俺らの事えらい気に入りよったらしくてな、是非俺らに相談にのってもらえ、言うたらしいで。」

<なるほどなぁー。まぁ別に俺は構わねーけど。>

「ほんなら今週の土曜日に10時に東京駅でな!!」

<ああ。>

そう言うと二人は受話器を置いた。

「土曜日に10時に東京駅・・・。平次、東京行くん?」

「うわっっ!!!」

平次の目の前に現れたのは幼馴染みの遠山和葉。

「何でお前、ここにおんねん!?」

「平次のおばちゃんに呼ばれたんよ。んで?もちろんあたしも連れて行ってくれるやんなぁ?」

「アホか、遊びで行くわけやないんやから、お前はお留守番じゃ!!」

「ええやん〜!!アタシかて蘭ちゃんに会いたいもん!!」

「・・・まぁ毛利のねーちゃんと会うてるんなら連れてったってもええけど・・・。」

「やったぁ☆ほんなら早速蘭ちゃんにメールするわ―――!!」

満面の笑みでそう言う幼馴染みを見て、まぁこれでよかったかな、と平次は思った。




****************************************

土曜日10時、東京駅―――――

「あ、平次兄ちゃんと和葉姉ちゃん来たみたいだよ!!」

「和葉ちゃ――――ん!!服部く―――――ん!!」

「蘭ちゃんとコナン君、元気やった―――?」

「2人とも相変わらず仲ええなぁ!!」

四人は少し久しぶりの再会に、話の花をまき散らしていた。

「んで、白馬は?」

「白馬の兄ちゃんはあそこのカフェで待ってるってメールが来たよ、行こ、行こ!!」

4人は白馬のいる駅ナカのカフェに入った。

「やぁ。よく来てくれたね。服部君に江戸川コナン君。」

「おう、来たったで。」

「お嬢さん方も、久しぶりです。」

「あ、あはは、久しぶりです・・・。」

あまりにも律儀すぎる白馬の態度に、蘭は苦笑した。

(この人、散々平次に嫌味言うてたって人やんなぁ。よぉぬけぬけと平次の事呼んだなぁ・・・。)

和葉は平次から白馬の話を聞いていたので、白馬を警戒した。

「おや、和葉さんは挨拶してくれないのですか?」

白馬は和葉のほうを残念そうな顔で見た。

「あ、ああ、どうも・・・。」

和葉は軽挨拶だけすると、白馬から眼を逸らした。

「・・・まぁいいでしょう。実は僕、12時に杯戸シティホテルのレストランの予約をしてるんです。そこでランチでも食べながら事件の事を話しましょう。」

「せやな。ほな、行こか?」

5人は杯戸に向かう電車のホームへと向かった。




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「・・・で、こう言うわけなんです。どう思いますか?」

「うーん・・・。俺、状況証拠から言っては被害者の長男が怪しい思うけどなァー・・・。」

「僕も・・・。」

「やはり、二人ともそうですか・・・。実は僕もなんですけど、物的証拠がありませんし、この点がしっくりこないんですよね・・・。」

「俺もや・・・。せやさかい、長男が犯人やって断定できへんな・・・。」

3人は、せっかく出てきたフルコースに手を付けることなく、推理に夢中になっていた。

「まーったく、これだから推理オタクって生き物は・・・。」

蘭はそう言いながらデザートを食べている。もう7品目だ。

「ら、蘭ちゃん、ちょー食べ過ぎとちゃう?」

「そーお?和葉ちゃんも食べようよ、ここのデザート、すっごく美味しいわよ!!」

「ほんなら、このチーズケーキ頼もうかな。」

そう言うと和葉は店員を呼んだ。

「おい和葉、あんま食い過ぎてそれ以上足太ならんよう気をつけろやー。」

平次が和葉をからかうようにそう言った。

「うるさいわ!!あんた達かて、せっかくの料理、冷めてしもうてるやん!はよ食べんと・・・!」

「せやかて、この謎が解けんとなァ・・・。」

どれ〜?と和葉と蘭が平次に尋ねた。

「これなんやけど・・・。」

「あ、これってカルティエの指輪とちゃう?」

「そうよー、今、婚約指輪としてすっごく人気あるやつ!!」

「何でも、特別会員しか買えないっちゅー、たいそう高価なものらしいで!何か、ここのこのマークがこの指輪にしかないんやて!!」

「そうそうー。」

「!!!???」

和葉と蘭の言葉に、3人は何かひらめいた。

「わかったで!!犯人は被害者の愛人や!!」

「ああ、殺害方法も・・・」

「動機も証拠もばっちりです!!」

3人の顔は、謎が解けた喜びに満ちていた。

「ありがとうございます。いやいや、君たちに聞いてよかったよ。」

「俺らも協力できてよかったわ。」

「それに、お嬢さん方のお陰で最後の謎も解けましたしね。ありがとうございます。」

「いえいえ、別にわたし達は・・・。」

「特に何もしてへんし・・・。」

「お礼にディナーも奢ります。何せ、父に事件が解決した暁には、協力してくれた人への感謝の気持ちは忘れるな、と言われていましたからね・・・。」

「せやったら、お言葉に甘えさせてもらうわ!!」

「でも平次〜。今日は日帰りする、言うてなかった?せやからお泊り道具とかなぁんも持ってきてへんのに・・・。」

「それなら心配ありません。僕が泊まるここのホテルのスイートルームにご招待しますよ。」

「え!?でも悪い・・・。」

「気にしないでください。ほんのお礼ですから。」

「そういうこっちゃ!ほな、遠慮せんと泊まらせてもらうでー!!」

「もう、平次ってば・・・。」




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それから5人は東京観光をし、ディナーを食べ、ホテルへ向かう時間となった。

「じゃあ私たちはこれで。またね、和葉ちゃん!!」

「もしよろしければお二人もホテルに泊まられてはいかかですか?部屋はたくさんありますし。」

「え、いいんですか!?」

蘭は目が輝いた。ホテルのスイートなんてめったに泊まれる部屋ではないからである。

「やったなー蘭ちゃん!夜通しお喋りできるで!!」

「ねー!!スイートルームのお風呂とかもどうなってるかすっごく気になる!!」

女の子2人が騒ぐのを、男3人ははたから見ていた。

「いいですね、若くて綺麗な女の子には花があって・・・。」

「あん?誰が綺麗やねん。アイツらなん、やかましいて恐ろしいただの格闘女どもやんか。」

オメー、蘭の何を知ってるんだよ!?とコナンもとい新一は心の中で毒づいた。

「格闘技をやってるから、凛とした美しさを持っているんですね。特に服部君、君の幼馴染みは美しさの中に儚さを持っていますね。ああいう女性には好感を持てます。」

「はっ。物好きなやっちゃなァー・・・。」

そう言うと平次はジト目で和葉のほうを見た。

すると和葉がくるっと男性陣のほうに振り返った。

「白馬君、部屋、どこなん!?」

目を輝かせながら、和葉は白馬にそう言った。

「今ご案内しますよ。」

白馬はお得意のスマイルでそう返事をした。




****************************************

「わぁ〜〜〜〜〜!!!ひっろ――――――い!!!」

「見て見て!!夜景がめっちゃ綺麗やわぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!」

初めてのスイートルームに、蘭と和葉はウキウキだ。

「喜んでいただけて光栄です。女性陣の部屋はこちらでよろしいですか?」

そう言うと、白馬は一つの部屋を指差した。

「わぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!!なんかお姫様みたいな部屋やわぁ!!!」

「こんな所で寝られるなんて、夢みたいね〜〜〜!!!」

「まるで御伽話に出てくる姫君のようなお二人に最適な空間ですね。」

白馬は、怪盗KIDも興ざめるような気障な台詞をサラッと言った。

勿論、平次とコナンはドン引きである。

しかし、普段から好きな相手からそのような言葉はほとんど言われない二人の反応は違った。

「ひ、姫君っっ!?」

「そないな事言われた事ないわ〜!!白馬君、ありがとう!!」

二人は白馬に満面の笑みで礼を言った。

「お礼を言われるような事は言っていませんよ。僕の心からの気持ちですから。それはさておき和葉さん。この辺に来られるのはあまりなさそうな様子ですが、よければ私がこの周辺を案内しましょうか?夜にしか見られない絶景ポイントとかもあるのですよ。」

「え〜〜〜!?ホンマに!?ほんなら案内してもらおうかな!!」

「ちょっと待てや!!!何でそうなんねん!!!」

そこで口を割ってきたのは平次だった。

「ええやん、平次は夜の風景なん興味ないやろ?あたし、ちょー白馬君と行ってくるから、ここで待っててな♪」

「そうはさせるか!!!こんな夜に二人でなん、あ、危ないやろ!!!」

「へ〜、平次、心配してくれてるん?でもその必要はないで。白馬君もおるし、いざという時は、あたしには合気道があるしな!!ほんなら白馬君、行こ?」

「はい、ではいってきます。」

「すぐ戻ってくるから〜!!」

「あ、こら・・・」

「いってらっしゃ〜〜〜〜い!!!」

コナンと蘭は二人を笑顔で、平次は不機嫌そうな顔で二人を見送った。




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「へー・・・。幼稚園からずっと一緒なんですね。」

杯戸の街を一通り循環し、ホテルの近くの公園のベンチに腰をかけた和葉と白馬の二人は、平次と和葉の今までについて話をしていた。

「うん。まぁ、ずーっと付属の学校やし、当たり前なんやけどね。平次は昔っから自信満々で負けず嫌いで熱血漢やねん。そないな所が気にくわなかったんやろ?」

「ははは、もしかして探偵甲子園での出来事を服部君から聞いたのかな?別に気にくわなかったわけではないんです。ただ彼の現場を荒らすような野蛮な行為が僕にとっては許せないものだったんですけどね、後で越水さんの一言でわかったんです、彼は常に生を信じている、ってね・・・。今では、尊敬している部分もあるんですよ。」

「そうなんや・・・。そこが平次のええ所やねん、命を大切にし、何事も諦めない所が・・・。」

「和葉さんは本当に服部君が好きなんですね。」

「え!?あ、あたしは別に平次の事なんか・・・!!」

「隠しても無駄ですよ、顔に書いてあります。」

白馬の、全てを見透かしたようなその顔と発言に、和葉は顔を真っ赤にした。

そして、和葉は徐々に悲しげな表情になり、俯いた。

「でもな・・・。あいつはあたしの事なん、なんとも思ってないんよ。せやからず――――っとあたしの片想いやねん。」

「和葉さんが、ずっと片想い、何ですか?」

「うん、もうええ加減諦めろって感じやけどな!!」

ははは、と和葉が辛そうに笑う。

白馬は考えた。

平次は果たして和葉の事をどう思っているのか、を。

今日の平次の和葉に対する態度を見る限り、彼女にとって、服部平次という男はとても理想的な相手とは言えない。

しかし、自分が彼女と出かけるようとした時、必死にそれを阻止しようとした。

探偵甲子園の時だって、彼女が迎えに来た時は凄く笑顔だったし、彼女と対面した時も、憎まれ口を叩きながらも嬉しそうな顔をしていた。

――――――要するに、服部平次という男は、彼女の事を好きだが、それに対しては無自覚で、普段は彼女を邪険に扱うも、無意識のうちにヤキモチを妬いたり彼女が大切だオーラをかなり発しているのである。

しかも、彼女はそれに気付いておらず、服部平次の態度に一喜一憂している。

なんとも、彼女は報われない、ならば僕が助け出してあげたい。

白馬はそう思った。

「あの・・・和葉さん・・・。」




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「なぁ・・・あいつら遅ないか?」

なかなか帰ってこない和葉と白馬に苛立ちながら、平次はコナンと蘭にこう言った。

「そうね、もうかれこれ一時間は出かけてるわ。連絡してみる?」

「あのアホ共、すぐ帰ってくるー、言うてたからな、荷物なぁんも持っていってないさかい、ケータイもここにあるわ・・・。持って行ったんは、この部屋のカードキーだけみたいやで。」

平次が和葉のカバンを持ち上げながら言った。

「じゃあ安心しなよ、平次兄ちゃん!!二人とも、お財布持ってないんでしょ?そしたら変な所に入る心配もないよ!!」

すると平次がコナンの襟を掴み、コナンを持ち上げ顔を近づけた。

「おのれは、何を想像してるんじゃっっ!!!!なぁにもないに決まってるやろ、ぼけっっ!!!!」

そう一喝すると、コナンをベッドに放り投げた。

「いってぇ!!」

「もぉー服部君!!乱暴しないでよ!!そんなに心配なら探しに行こうよ!!ほら、ここに呼びのカードキーが置いてあるし!!」

そう言うと蘭はテーブルの上から予備のカードキーを取り、平次に見せた。

「べべべ、別に、心配なんかしとらんわ!!けど、姉ちゃんらが気になるんやったら、行ったってもええけど?」

「もぉ―――!!!」

「素直じゃないやつ・・・。」




****************************************

「あの・・・和葉さん・・・。」

白馬が真剣な顔で和葉のほうを向いた。

「ん?何、白馬君?」

和葉がにこやかに白馬のほうを見る。

「辛くないのですか?」

「へ?」

「和葉さんほどの女性なら、何も服部君じゃなくても、素晴らしい相手を見つける事が出来ると思うんです。なのに、そんなに服部君の事を一途に想って、しかも向こうには相手にされない、そんな恋、止めてしまわれた方がいいのではないですか・・・?」

「う―――ん・・・。けどな、あたし、あいつの事好きなん、一生止められへん気がするねん。たぶん、あいつに彼女が出来ても、あたしに彼氏ができても、ず―――――っと好きやと思う。」

えへ、と和葉は可愛く笑った。

そんな和葉の様子を見た白馬は堪らなくなり、和葉を抱きしめた。

「は、白馬君っっ!!??」

「和葉さん、僕はあなたに、もっと幸せになってもらいたい。あなたの魅力に気づかない男性を想い続けるなんて、もう止めませんか?」

「白馬君・・・・・・。」

「あなたが彼のために悲しむ姿を、もう見たくないんです・・・。僕は、和葉さんの事が・・・・・・・・・。」

「あ――――――――、和葉ちゃん、いたっっ!!!」

その時、草陰から、和葉を見つけた蘭が飛び出してきた。

蘭が和葉の前に現れた時、和葉と白馬は抱き合ったままだった。

「きっ・・・きゃ――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!」

「ど、どうしたの、蘭姉ちゃん!!!???」

「何があったんや!!!!」

コナンと平次が、蘭の悲鳴に誘われ、三人の前に姿を出した。

「ダメ―――――!!!服部君!!!!見ちゃダメ―――――――――――!!!!」

「ぐほっっ!!!」

蘭は平次を蹴り飛ばした。普段なら避けられる平次も、行き成りの事だったので、蘭の蹴りをしっかり喰らってしまい、その場に倒れ込んだ。

「ちょっと!!!!!白馬君、何してるのよ!!!???和葉ちゃんから離れてっっ!!!!」

蘭が鬼気迫る勢いで叫んだ。

「何って・・・和葉さんに愛の告白をしていたんですが?」

そう言うと、和葉を抱きしめる腕の力を少し強めた。

「えっ!?そ、そうだったの、やだ、私ったら、つい・・・・・・。」

蘭は顔を赤めて俯いた。

「でも白馬の兄ちゃん、抱きしめるのはまだちょっと早いんじゃない〜?」

コナンが白馬をジト目で見ながらそう言った。

「ふっ、僕とした事が、つい・・・。それにしても、3人はここで何をしていたのですか?」

「二人が帰ってくるの遅いから探しに来たんだよ!!平次兄ちゃんも心配してたし・・・。」

「へ、平次が・・・?」

和葉は、平次が自分を心配していたと聞き、嬉しくなった。

「まぁ、みんなでここにいるのもなんですし?ホテルに戻りますか・・・。」

白馬は倒れている平次を担ぐと、ホテルへと歩き出した。




****************************************

「で、結局、ねえちゃんのあの悲鳴は何やったんや?」

「えっ?」

白馬の入浴中、先程起こってた事態について何も知らない平次が蘭に尋ねた。

「白馬の兄ちゃんが和葉姉ちゃんに告白しようとしてたのを見ちゃったからだよね、蘭ねちゃん!!!」

「な、なんやて・・・。」

あちゃー、と蘭は顔に手をあてた。

「ちょ、コナン君!!!」

和葉は顔を赤くし、コナンの口を塞いだ。

「別にあれは、ちゃうんよっっ!!告白とかやないって!!!」

「と・に・か・く!!もうあいつには近づくなや!!!!!」

「え〜〜〜〜!?何でなん〜〜〜〜!!??」

「・・・・・・平次兄ちゃんと和葉姉ちゃんって、いつまでたっても変わんないね・・・。」

「そうね・・・・・・。」

二人の相変わらずの様子に、呆れるコナンと蘭であった。


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