ギルドへ
「うう〜頭が痛い〜」
すでにお日様は南に昇りきっているのに、ベットの上でエマは頭を抱えている。
「さすがに昨日は羽目を外しすぎたな……」
苦笑を浮かべながら答えるが、かなりきつい。
昨日、エールを馬鹿みたいに2人して飲んでいたのが原因なので、自業自得である。
この部屋に着くまで何とか意識は保っていられたが、横になったとたん記憶が飛んでいる。
それにしても、ここが酒場兼宿屋で本当によかった。
あのままだったらまず間違い無く、違う宿屋を探してる最中にくたばっていただろう。
そんなドロドロになっている俺達に気をつかってか、ウエイターがここが宿屋もやっていると教えてくれたので助かった。
本当にあのウエイターには感謝である。
ただ、部屋がひとつしか空いてないといわれたでどうしようかと思ったのだが、ベットが2つあれば問題ないと、エマが言ったのですぐここに泊まることに決定した。
まぁベットがひとつだけだったとしても、あの状態の2人なら泊まっていただろうが。
そんな状態から一夜明け、辛いながらも起きようとしている。
なにせエマの話によると、昨日の食事代と宿泊代で、財布の中身は空っぽになるそうで、すぐにでもお金を手に入れないと、今日のお飯は抜きとなってしまうからだ。
「とりあえず、ギルドに行ってアキラの手続きと、昨日のやつの報酬いただきましょう……」
ベットから何とか起き、外から聞こえる子供の声に頭を何度も殴られながらも、彼女は立ち上がり準備を始める。
「それとこれ、これがアキラの名前だから忘れないでちゃんと覚えてね」
彼女は小さな紙切れを手渡してきた。
そこには、昨日のメニューで覚えた自分の名前が書かれていた。
「あぁ、一応昨日のうちに自分の名前は覚えたが、安全のためもらっとくよ。気を使わせてすまないな」
俺は素直に受け取り、胸のポケットにしまい、そして、代わりに水の入ったコップを手渡す。
「ん、ありがと」
コップを受け取ったエマは勢いよく飲み干す。
この水だが、エマが起きる前にウエイターが辛いでしょうからと、大きなポットに水を大量に入れて持ってきてくれたものだ。
昨日のことといい、今日のことといい、この酒場兼宿屋のサービスはかなりいいようだ。
「ふ〜生き返る〜」
コップの中身を空にし息づく。
二日酔いの時にはやはり水である。
俺はコップ1杯分の水ではおそらくまだ足りないだろうなと思い、ポットに余っている水を彼女の持っているコップに注いでやる。
注ぎ終わると、彼女はまた勢いよく飲み干した。
そんなエマを見て昨日はこんな感じでエールを飲んでいたなと思い出し、あまりのハイペースぶりを改めて後悔する。
「よし、ちょっち元気でた」
水を飲んである程度血中のアルコール濃度が薄まったのか、彼女の顔色が多少よくなった気がする。
これ以上元気になるためには肝臓に頑張ってもらうしかあるまい。
その後、何とか身支度を済ませた俺達は、勘定を支払いサンサンと降り注ぐ太陽の光を浴びながらギルドへと向かったのであった。 |