ジェシーの憂鬱
「最悪ですわ……」
ベットからようやくはいずることはできたものの頭はガンガンと鳴り響き、じっとしているだけなのに吐き気を催す。
このように体の状態も最悪なのだが、私が言葉に出してしまった最悪の意味はアキラ様に醜態を見られてしまったことですわ。
「何であんなに、飲んで平気ですの? 私も幼少の頃からホットワインなどを飲んでいたのでかなり強いはずですのに」
私はベットに腰掛けそうつぶやく。
私の隣で同じようにうなだれていたリオがそれに対して同意してくる。
「たしかに、異常でしたね。ジェシーもたしか3本はボトルを空にしていたはずなのに、アキラさんその倍は飲んでましたから」
リオの言うとおり、私はアルコール度25%ぐらいはあるだろうお酒のボトルを3本空けていた。
だけど、それと同じ物をアキラ様は少なくても6本以上は空けている。
普通それだけ飲めば、ぶっ倒れてもおかしくないはずなのですのに。
「あんなにお酒強くなかったと思ったんだけどな〜〜〜〜」
私とリオの会話に団長が加わってきた。
彼女もかなり呑んでいたはずですわ。
どことなく、私やリオよりも体調が悪いようで、まだベットに横たわっていますわ。
「団長さん、どういうことですの?」
「いやね、あった頃に1回飲んだんだけど、その時は昨日より飲んでなかったのに、二日酔いになってたから」
団長の言葉に耳を疑う。
あれだけ飲んで平気な顔をして買い物に出かけたのに、1ヶ月ぐらい前には私たちと同じ状況になっていたなんて。
そんな短期間であそこまで強くなるものなのでしょうか。
「なにからなにまで規格外ですわね。でも、それでこそ私の夫にふさわしいですわ」
「…………ジェシー? なんで私達の前だと普通に好きだ、夫だっていえるのに何で直接アキラに言わないの?」
団長がそう私に疑問を投げかけてきた。
「そ、それはその…………なんというか……は……しいじゃない」
「え、なに?」
「ですから、恥ずかしいんですわ! いきなり殿方に愛の告白なんて!」
「「「つぅ……」」」
そう怒鳴るように大声を上げてしまった私だが、その大声により起きていた三人全員が頭を抱えてしまった。
もちろん二日酔いのせいですわ。
私はこれまでに何度か告白はされたことはあるものの、いまだかつて自分から告白したことがない。
なぜなら、この人だ! と感じる人物が今まで存在しなかったためですわ。
「……私としては、みんなにそう言いふらしてるほうが恥ずかしいと思うんだけど……」
リオがそう言ってくるが、あの方とほかの人間とではまるっきり違う。
「それは別にいいんですわ。あの方以外は、ただの人と同じですから」
「ふ〜〜〜ん、でもさすがにあれだとあなた勘違いされるわよ」
「うっ!」
団長にそういわれた私は昨日の飲み会を思い出す。
私は、アキラ様の隣に座ることが出来たのだが、アキラ様に話を振られても、『ふ〜ん』、『それで?』と高圧的態度を取ってしまったのだ。
しかも、目を合わせるなんてそんな恥ずかしいことは出来ず、視線があってしまった時はすぐにそらしてしまう。
そう私は、アキラ様に対してはいつもと同じような反応が取れないのですわ。
「き、きっとやさしいアキラ様なら気づいてくれますわ。そして私の愛も感じてくれるはず…………」
「そうな風にはどうせ考えてないんでしょ? 自分でもまずいと感じてるのに気づいてもらうなんて無理よ」
グサリと私の胸をリオの言葉が突き刺さり、ガクリとうなだれてしまう。
リオの言うとおり、自分が発した言葉とは正反対の答えが頭の中をよぎっていますわ。
「言われなくても……わかってますわよ……。ただ、やっぱり恥ずかしいんだから仕方ないじゃない!」
「「「つぅ!」」」
またしても3人同じように頭を抱きかかえる。
「大声出してごめんなさい。とりあえず、もうこの話しはやめにしましょ」
「そうね。さて、いい加減もう昼だし起きるとしますか」
そういって団長が着替えを始めているではないか。
でもたしかこの部屋にはまだ男が1名いたはずですわ。
「ちょっと団長さん! なに脱いでいますの? まだリットを追い出してませんわ!」
「それなら大丈夫。昨日あなたも見たでしょ? リットのお酒の弱さ。お酒を飲んだりットは1日中寝てるはず」
私の注意に返答したのはリットの姉でもあるリオだった。
彼女いわく、どうやら母親に体質が似たらしく、非常にお酒に弱いとのこと。
「でも……」
「気にしない気にしない。さっさあなたも早く着替えちゃいなさいよ」
団長に習うように着替え始めていたリオは。すでに着替え完了しており残るは私1人。
「しかたないですわね。それじゃ着替えますわ」
そういって私が上着を脱いだ瞬間、ガチャリとドアを開ける音が。
「今帰ったぞ〜。まだ、寝てるの…………か…………」
「きゃーーーー!」
思わず私は水が大量に入っている鉄製のポットを、ものすごい剛速球でアキラ様に投げてしまいましたわ。
私の下着姿を見て唖然としているアキラ様は、避けることも防ぐことも出来ず顔面に、それはそれは深くポットをめりこませていました。
「デ、デッドボール……」
そういい残すと、アキラ様はリットと同じように次の日の朝まで目を覚ましませんでしたわ。
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