新しい仲間?
「かっわいい〜〜〜〜!」
そう叫んでるエマの腕の中には、先ほどの小さな白竜がもぞもぞともがいている。
確かにクリクリとした目、時々こちらを見て首をかしげる等の愛くるしい動き、うん、かわいいなこいつわ。
「エマ、かわいいのはわかるが、じたばたもがいているじゃないか放してやれよ」
「無理、かわいすぎ。ベビーホワイトに始めてあったけどこれは強烈すぎよ」
そういって、エマはいっこうに放そうとしない。
じたばたと動く姿がまた愛らしく、離せない気持ちもわからんでもないが、俺にとって得体の知れないものを近くにおいて置くのは心配である。
「そいつベビーホワイトって言うのか? いきなり抱きついたりしたんだから危険は無いとは思うが、どういう奴なんだ?」
「規定外魔物の一種よ。規定外魔物って言うのは、人に対して危険が無かったり、人と一緒に過ごしたりする魔物のことよ。その中でも特別かわいいのがこの子、ベビーホワイトよ。こんなちっちゃいけど、これでも立派な大人なの。体が小さくて、自分を守る手段が無いから、ほかの魔物の餌になったりして、個体数が少ないんだけど、この愛くるしさから、人に飼われてなんとか生き延びているの。野生のベビーホワイトは本当に貴重よ」
そう説明するも、エマの両腕はしっかりとベビーホワイトを抱きしめている。
エマの説明を聞いた俺はパンダを思い出したが、あれは大人になるとでかくなるので、こちらのほうがかなり可愛げがあるだろう。
「とりあえずはそいつが何者かはわかったが、どうするつもりだ? 飼うのか?」
「もち! こんな可愛い子置いていくなんてそれは犯罪の一種だわ!」
これはどうやら、連れて行かないとダメなようだ。
俺も、もともと動物が好きだからいいが傭兵家業にペットというのはどうしたものだろか。
こんな根無し草の俺達とともに過ごしていたら、下手したら俺達の仕事の敵に食べられたりしないだろうか?
「飼うのはいいんだが、俺達傭兵だぜ? しかも俺なんかなりたてのペーペー、そいつ守りながら戦うなんて無理だと思うんだが?」
俺の質問に、満面の笑みで答えるエマ。
どうやらそのことについてはあてがあるらしい。
「それは問題ないわ、ギルドにペット用の託児所あるし」
「…………ギルドって意外と充実してるんだな」
驚きである。
まさか、ギルドに託児所があるなんて。
この世界での傭兵というのは意外に、優遇されているのかも知れん。
「預けるとお金かかるけど、この子の可愛さに比べたら安いもんよ。てなわけで飼うのは決定。反対しても、団長権限で拒否するわよ」
「拒否はしないさ、俺もこういう奴は好きなんでね」
そういって、ベビーホワイトの頭をなでる。
ごつごつとした肌触りだが、体温が感じられる。
変温動物の一種に思えたが、恒温動物のようだ。
「で、飼うのはいいとしてこいつの名前は?」
そう、俺が言うとエマはう〜〜〜んとうなってしまう。
団名といい、こいつのことといい、結構エマは行き当たりばったりな性格らしい。
「なんにしようかしら、ハチベェ、サルマタ、ステテコ、ん〜どれにしよう?」
こいつは危険だ!
俺は、すぐさまベビーホワイトの名前を考える。
こんな愛くるしい奴に、ハチベェなんて名前をつけられちゃたまったもんじゃない。
「コドラ」
「きゅ〜?」
俺がそういうと、ベビーホワイトは”何?”っと言わんばかりにこちらを見て答える。
よし、これでおそらくエマの名前になることはなくなっただろう。
「え〜〜、ダゴサクにしようよ」
「却下。コドラで決定だ」
「きゅ〜?」
いったいエマは、どこをどうみて、こいつをダゴサクにしようとしたのだろうか?
幸い俺のコドラという単語にベビーホワイトは反応するのでほぼ決まりだろ。
「お前もコドラがいいと思うよな?」
エマの両腕に抱かれている、ベビーホワイトに話しかける。
その愛くるしい瞳を正面にすえると俺も抱きかかえてみたくなる。
「きゅ〜い〜」
俺の言葉に反応し、ベビーホワイトが答える。
やばい、こいつは可愛すぎるぞ。
「ちがうよね〜ダゴサクだよね?」
負けじとエマも、話しかけるがベビーホワイトは一切返事をしない。
俺は、勝ったなといわんばかりの表情でエマを見つめこう答えた。
「決まりだな」
「ちぇ、絶対ダゴサクのほうがいいと思うのにな〜」
不満そうにエマはしているが、こいつがもしダゴサクになったら俺も大変不満である。
「というわけで、こいつの名前はコドラで決まり。これからよろしくな。コドラ」
そういって、また頭をなでてやる。
コドラはそれを気持ちよさそうに受け入れ、目を閉じうっとりしている。
「さて、ちょっとしたイベントがあったけど早く町に戻ろうぜ。今日中にこいつらの報酬もらわないと、飯も食えないし」
「そうね。何だかんだで時間食っちゃったし、アキラも怪我してるしね。それじゃ殲滅証明部位を集めて、とっとと帰りましょう」
そうして俺達は、一匹一匹の尾羽を集め町へ戻るのだった。
もちろん、俺が投げ捨てた銃も忘れずに。
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