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これからも…
作:SAI


 ついに組織のアジトを突き止めたのが約一ヶ月前。
その一週間後、FBIやCIAの協力のもと組織の中枢部を壊滅することができた。しかし組織のボス、ジン、ベルモットら幹部は組織を爆破後自害。そのため、この組織が何のために作られたのかは謎のままであった。その爆破の中、灰原哀と江戸川コナンは薬のデータの回収に成功したが、爆破の落下物から灰原を庇ったコナンは重傷を負った。


◇◆◇◆



ガラ

「調子はどう?」
「よぉ灰原か。予定通り明日には退院できるとよ」
 そう言ってニカッと笑った。その笑顔に心が揺らぐ。
 いつからだろうか…彼のことをこんなにも愛してしまったのは…。だがそれは叶わないこと。ちゃんと自分の中に線を引いた。だから今もポーカーフェイスを保っていられる。
「そう。よかったわね」
今日はこのことを確かめに来た。明日に退院祝いを含めて解毒剤を渡せるのか。
 それで江戸川コナンとはお別れになる。工藤新一に戻った彼は彼女のもとへと行く。そして私は戻らないで灰原哀として第二の人生を送る。これで工藤君との関係を断つ。

「工藤君、明日退院したら博士の家に来てくれないかしら?」
「あぁいいぜ。俺もちょうど用あったし」
 何も知らない彼はいつものように返してくる。
「そう。それじゃ」
「あぁ。また明日な!」
 さようなら…工藤君。



◆◇◆◇



「おぉ新一!退院おめでとう!」
「サンキュー博士。灰原は?」
 博士は一瞬暗い顔をして、地下室で待っていると教えてくれた。コナンは博士にお礼を言って地下室へと向かう。

コンコン

(来たようね…)
 哀の気持ちにもう迷いはなかった。
「どうぞ」
そう言うといつもの彼が部屋へと入って来た。
「なんか病院じゃマズイことだったのか?」「えぇ…まぁ。あなたこそ博士に何かあったんじゃないの?」
「いや、用があるのはお前にだよ」
 私に?哀が用件を聞く前に哀の用件を聞いてきたコナン。哀は一つ呼吸を置き引き出しから解毒剤を取り出した。
「今まで迷惑かけてごめんなさいね?解毒剤よ」
最後に退院おめでとうと言い解毒剤を渡した。 
(今までありがとう…工藤君)



◆◇◆◇



 まさか解毒剤が出来ていると思っていなかったコナンは目を見開いて驚いた。
「えっ?マジで?」
「マジよ。これで工藤新一に戻れるわ」
 そして彼女のもとへと…。哀はそう言いそうになるのを必死に留める。
「サンキュー灰原。本当にありがとうな?」
 そう言った彼に自然と笑みが出る。しかし次の彼の言葉に笑みが消える。
「お前も戻るんだよな?」「…私は戻らないわ。宮野志保には戻らずに灰原哀として生きて行くわ」
 哀は少し言いづらそうに言った。するとコナンはフッと笑い、解毒剤を哀に返した。
「やっぱり俺も戻らねーわ」 
 今度は哀が驚いた。いや、コナン以上に驚いた。驚いた哀とは対照的にコナンは、地下室に初めて入ったなどと言っている。
「戻らないって…どういうこと?」
 驚いている哀を見ながらコナンは平然と言った。 
「どうもこうもねーよ。お前が戻らないなら俺も戻らない」



◆◇◆◇



 哀は言っていることが理解出来なかった。
「何をわけのわからないことを言っているの?私が戻らないことと、あなたが戻ることとは関係のないことでしょ?それにあなたはあんなに戻りたがっていたじゃない!それが「お前がいなかったら意味がねーんだよ」」
 それがどうして?そう言う前にコナンによって遮られた。 


◆◇◆◇



「お前がいなかったら意味がねーんだよ」
 頭が真っ白になった。それはどういう意味?私がいなかったら?哀がそんなことを考えているとコナンがその真意を放った。
「俺はお前が…灰原哀、宮野志保のことが好きだ」



◆◇◆◇



 時が止まったようだった。哀の心はかつてないほど揺れた。だが心とは裏腹に脳は冷静だった。これは何かの間違いだと。
「…何を言っているの?」「俺はこれからもお前の横で一緒に歩いて行きたい」
「…私を練習相手にしているんなら迷惑よ。早くもとに戻って彼女のところに行きなさい」
 やっと決心した決意を揺らさないで。お願いだから…。
「いや、間違ってなんかいねーよ。俺が好きなのは灰…
「やめて!」」
 哀は大声を出して耳を塞ぎ、後ろ向きに座り込んだ。どうして?どうしてそんなことを言うの?あなたには彼女…蘭さんがいるじゃない。どうして私にそんなことを言うの? すると突然後ろからコナンに抱きしめられた。哀はそれがあまりにも優しく、暖かく、安心するので振り払うこともできなかった。

「確かに蘭には悪いと思っている」
 耳もとでコナンは語りかける。
「ずっと待っててくれと言っておいて裏切ることになるんだ。それでも俺はお前を…愛している」
 哀はコナンの言葉に涙を流していた。そして、
「…私は彼女みたいに可愛いくないわよ」「お前以上に可愛い奴なんてこの世にいねーよ」
 こんな気障な台詞を何の躊躇いもなく言ってくる彼。そんな彼に自分の気持ちが素直になっていく。 


「…私なんかでいいの?」
「お前じゃなきゃ嫌だ」
「…蘭さんはどうするのよ」
「…すぐにはわかってくれないかもしれない。けど、必ずわかってもらうよ」
 コナンがそう言うと哀はもう一度聞いた。私でいいのかと。それにコナンは何度も言わせるなと言い、哀じゃなきゃ嫌だと言った。その言葉に哀もようやく笑みを浮かべた。そして、
「私も…私もあなたが好きよ?工藤君」
 その言葉にコナンも笑みを浮かべ、哀の正面に回り抱きしめた。
「ありがとう哀」
「こちらこそありがとう。工藤君」
そして付き合うことにそれぞれから条件が出た。哀からの条件はもとに戻ること。もちろん哀も戻る。そしてコナンからは条件というよりお願いで、工藤君ではなく新一と呼んでほしいとのことだった。


「哀…今までありがとう。志保は俺がこれからも守るからな」
 そう言って頬にキスをする。唇は新一にくれとのことらしい。そして哀も、 
「コナン…今までありがとう。私を何度も守ってきてくれて。これからは志保が工藤君の助けになるわ」
そう言って哀もコナンの頬にキスをする。
「ってなんで工藤君だよ」
「きっと志保が呼んでくれるわよ」
「きっとって…哀の声でも呼んでほしいんだけど?」
「小学生の私が高校生の工藤君を呼び捨てになんて出来ないわ」
何か釈然としないコナンだったが、志保にたくさん呼んでもらうということで諦めた。 
次に会う時には新一と志保でと誓い、それぞれの部屋で解毒剤を飲んだ。






コナン…本当に今までありがとう。そして…これからもよろしく。新一。
END














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