(34)
あんなにも優しい瞳をしていたはずの翼が・・・・・・?
涼子は昨夜あった事をぼんやりと考えた
昨日の出来事は涼子自信もショックが大きすぎてよく覚えていない
ただ、目の前の傷付いたヒロを助けようと、黒木に連絡したところまでは涼子も覚えていたがその後から記憶が無いのだ
今はただ、机に向かい誰も居ない隣の席をぼんやりと見つめていた
昨日の夜翼とヒロの間に何が起きたのだろうか・・・・・??
「ッつば・さ・・・お前ッ・・・涼子は・・・・渡さないッ・・・・・」
傷付いた体を無理矢理起こしながら呟いたヒロの言葉
あれはどういう意味だったのだろうか・・・・・?
考えれば考えるだけ頭が混乱の渦に巻き込まれついに考えることに疲れた涼子は机に頭を突っ伏せる
「もぅ訳分かんないよぉっ・・・・・・―――。」
昨日はあんなにも幸せだったはずなのに・・・・
キーンコーン
カーンコーン
授業もまともに聞けないままただただ時間が過ぎ、もう1限目が終わってしまった
そんな涼子の姿を見て心配そうに女子生徒たちが声を掛けてくれる
その度に多少元気は出たが、やはりヒロと翼の事が気になってしかたがない
「涼子ッ!望様が呼んでるわよ!」
カナは涼子の体を起き上がらせドアの方へと指差す
そこには、いつもどうりあの大きなリボンをした望が笑顔でヒラヒラと手を振っていた
「何の用・・・?」
この間された事もあってか、少し意識しすぎて自然と素っ気無くなってしまう
「もォ警戒しすぎだよォりょうチャン・・・
まったく・・・翼とヒロの事教えてあげようと思ったのになァ」
人差し指をくわえ少しむっと顔をすると望は意地悪っぽく笑って見せた
「ッ?!!翼とヒロの事・・・・・・??」
「そォ昨日なにがあったか教えてあげるよォ
ここじゃァ何だからァ屋上行こォ?」
いつもの望とはいえやはり、警戒は解けない屋上で二人きりになるのはさすがに危険だと直感しながらも
体は正直で翼とヒロの事が気になって気がつけば望に付いていっていた。
「で、昨日ヒロと翼の間に何があったの?!!!」
古びた屋上の手すりに手をかけ、なるべく強い口調を保つ
「本当に気付いてなかったんだァ?りょうチャンさァやっぱ鈍感っ・・・
あのねヒロと翼はりょうチャンが好きなのッ・・・だから2人で喧嘩しちゃ・・・・」
「え?!」
涼子の間抜けな声が乾いた鉄コンクリートの屋上に響く
「ヒロとつッ・・・翼がアタシの事をッ・・・・?!!」
天然な事は知っていたがここまでだとは思わず、望は悪いとは思いながら吹いてしまった
「本当鈍感ッ・・・・
じゃァ・・・多分僕の気持ちもりょうチャン気付いてないだろうなァ・・・・
もォ本当困っちゃうよォなんで僕こんな人を好きになっちゃったんだろォ・・・」
「へ?!!」
再びあの間抜けな声が唖然とした涼子の口から漏れる
「やァっぱ気付いてなかったんだァ・・・・――
ねぇりょうチャン?翼なんてやめて僕にしなィ?」
大きな望の瞳は真剣そのもので今にも吸い込まれそうだった
「っだっだだって・・・・望君は同性愛者で・・・翼の事が好きでッ・・・それでっそれでっ・・・・・・」
涼子の頭の混乱はますます酷くなりもう何もかもが真っ白
「う〜ん・・・前までは男が好きだったんだけどォ
こないだの事件で僕りょうチャンの事が好きになっちゃった☆」
茶化してはいるものの、望の顔は真剣でこんな美少年に見つめられてはさすがの涼子もドキッとしてしまう
「俺にしとけよ涼子。」
頭に付けている邪魔な大きなリボンを取ると望は涼子の後ろの壁に手を当て逃げられないようにする
「嫌ッ・・・・離して望君約束したじゃないっ・・・もうこんな事はしないって・・・・」
「良いの?そんな事言ってると前みたいに無理矢理しちゃうよ?
涼子も嫌だろ?だったら、早く俺の物になれよ・・・・」
「・・・・つ・・・つばさ・・・ッ」
何故だろうか?
こんな時にはいつも翼の顔が浮かぶのは・・・・・??
翼は乱暴者で、強引で昨日だってヒロが酷い目にあった
けれど、心の奥ではいつも翼を想っている、
だって私は・・・・・
「私は翼が好きなのッッ!!!!」
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