(28)
「え・・っと、副会長にされた、神田ヒロ様です。
・・・・・翼様?顔色が悪いですけど、どうかなさいましたか??」
心配そうに尋ねてくる優等生君の言葉も頭に入らず、ただただ立ち尽くす
涼子とヒロが同じクラスというだけで、もう気が気では無いのに
ヒロが同じ寮になるなど翼には耐えられない事だった
「アハハハッ!翼凄い怖い顔してるよー!
なに?もしかして涼子取られるんじゃないかって心配してたりする??」
何処までも余裕なヒロは、みんなに笑顔でお茶なんて配っている
「・・・・・・黙ってるって事は、図星かな?前にも言ったけど、俺が涼子を貰うから。」
会議室の中に気まずい雰囲気が流れ、先程までお喋りを楽しんでいた役員の人全員までもが黙りこくる
みんなの視線を無視するように、翼に対して威嚇を続けるヒロ
翼だって負けてはいない、黒縁眼鏡の下でまるで獲物を狙う肉食獣のような目でヒロを睨み付ける
見えない火花を散している翼とヒロを見て、優等生君は必死に会議を進めようと頑張っている
「えっと・・・・・就任式は、明日の・・・・っ。」
その勇気と頑張りは偉いとみんなが感心するが、可哀想な事に、誰も聞こうとはしない
そんな明日の就任式の会議より翼とヒロの涼子を争う戦いの方がみんな興味深かったからだ
「お前に、涼子は渡さない。例えどんな卑怯な手を使っても・・・・・・・・――。」
初めて守ってやりたいと思った女だ、そう簡単に手放す訳にはいかない。
けれど、ヒロも翼と同じ気持ちだった。翼に負けない位涼子を思っていた
2人のタイプの違う美少年が1人の女の為に友情まで捨てて、争う
絵になる。とこの場にいた誰しもが思っていた
♪〜♪〜♪〜
場の空気を読まない着信音が静まり返った部屋の中に大音量で流れる
「すっ・・・・!すいませんッ・・・・・・!!!!!」
急いで立ち上がり部屋を出て行ってしまった1人の役員
「まったく、マナーモードくらいには、しとけよな。」
ヒロが少し怒った顔でドアを睨み付けると視線を翼に変え、ニコリと微笑みかけた
「あの・・・・・明日の件ですがぁ〜・・・・・・っ。」
まだ、会議の進行を一人で進めようと頑張っている優等生君
「10分も時間のロスだ、この後も会議があるから会議を進めてくれ。」
翼の一言で一斉に皆資料やファイルをまとめ視線を優等生君に向ける
進行役の優等生君はやっと進められる!と嬉しそうな表情で明日の就任式の進行などを説明しだす
「えっ・・・・と明日の就任式は、理事長・校長共に不在の為
校長・理事長の挨拶は無しで、就任された副会長様の挨拶続いて生徒会長様の挨拶となります
挨拶の内容は、こちらの方で用意させて頂きましたので、あとで生徒会室に送っておきます
明日の進行役は僕が勤めさせていただきます、質問・意見はありますか?」
やはり、補佐役に選ばれたとだけあって仕事はスムーズだ
そんな事を考えながら隣で座っているヒロをチラリと盗み見る
あの何かを企んでいるような、不気味な笑顔がヒロにはあった
翼は、嫌な予感が頭び掠めるのを無視して
「・・・・・以上解散。」
とだけ吐いて会議室から出て行った
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