(22)
「っ・・・や・・・・ごめんな・・・・さい・・・だから・・・ぁたしをすてなぃ・・・・・でっ」
大量の涙は次から次へと流れていき、その涙によって視界がぼやけ翼が今どんな表情なのかも分からない
「ペットを生涯世話するのが主人の仕事だろ?俺は、涼子を手放す気など全く無い。」
そう言って涼子の体をまるで壊れ物を扱うように優しく優しく抱き寄せる
心地よい体温が涼子の体をすっぽりと包み今度はもう一生離すまいと涼子の体をきつくきつく抱きしめる
「ごめん・・・・涼子を守れなくて・・・・・」
耳元で囁く愛しい人の甘い声。もう涼子はこの時点で翼への想いにハッキリと気づいた
アタシは、翼が好き・・・・・・――
こんなにも愛しい人の側に居られるのなら、たとえ“ペットと主人”という関係だとしても良かった
一定のリズムでドクンドクンと脈打つ翼の心臓の音。そんな微かな音でさえ愛おしくて、愛おしくて。
翼の大きな胸の中で泣きつかれた涼子は心地よい体温に包まれ静かに寝息を立てた。
--------翼目線--------
たった今俺の胸の中で小さく寝息を立てている愛くるしい女
想像してたよりも、もっと小さくて細い。それは、少し強く抱くと壊れてしまいそうな程だった
少し茶色みをおびた髪を優しく優しく撫でる。すると涼子は小さく呻き声をあげた
生殺し状態だった、理性と本能を押し殺して涼子を起こさぬよう静かに彼女を持ち上げる
すると翼は下半身の変化に気づいた。
血と汗によってボロボロになったスーツのズボンの中で大きくなっていた自分のモノ
「ペットに欲情しちまうとはな。」
涼子の部屋に向かいながら、翼は、情けない声で小さく吐き捨てる。
ガチャッ・・・――
広い寮内をお姫様抱っこをした状態で歩き回るのはいくら軽い涼子だといえ、さすがに疲れた
まだ、ダンボールに囲まれた部屋の隅にあるベッドに涼子を降ろす
「か弱い仔うさぎチャン、飢えた狼にはご用心を。」
そう言い残すと翼は涼子の部屋を後にした・・・・・・
向かったのは、2階にある望の部屋
先程の優しい顔とは一変して翼の顔は怒りに満ち溢れていた
コンコンッ・・・・―
「はぁィ。だァれ?こんなじかんにィ」
いつもと変わらない望の声。翼はあくまで平然を装った
「よぉ望。」
「・・・・ッ?!!!ど・・・・どォしたの翼?こんな時間にィ・・・・・」
一瞬は曇った顔をしたが、演技の上手い望は何も無かったかのように惚けてみせる
「俺に慕うべき者が俺のペットを虐めちゃ駄目だろ?」
いつもの翼と違うことに気づくと望は、危険を感じドアを閉めようとドアノブに手を掛けた時
「ッ・・・―?!!!」
翼の手が望の手をグッと掴む。爪が食い込み望の腕からは一筋の血が流れた
「今日からお前を解雇する。寮も普通寮へと移す。」
感情を持たない以前の翼の表情だった、
怒りも悲しみも喜びも何も無い、ただ無表情のまま望を見る
生々しい血が床へと赤い跡を残している
望は、1つまた1つと床が赤く染まっていくのを恐怖感を浮かべて見ていた
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