(14)
「あの・・・・此処は何処なんですか?」
「あぁここ?ここは、ゲーセン
翼みたいな純粋で綺麗な奴は、この程度の遊び場が丁度いいだろ」
翼は、“この程度”と言われたのが少し頭にきたので少し不貞腐れた顔をした
「おいおい、そんな怒んなよ〜ごめんって
お詫びにカワイイ子紹介するからちょっと来いよッ!!」
「????」
初めて“ゲーセン”という場所に訪れた翼は新しい発見と驚きの連続だった
「ちょっと!ヒロあれは何です?!」
「あぁあれは、UFOキャッチャーっていって100円入れたら1回遊べるの
って、翼どんだけ外の世界知らねぇんだよ?!本当お金持ちの坊ちゃんだな」
「ヒロも坊ちゃんじゃんか・・・・」
子供のようにはしゃぎまわる翼の腕をヒロは
無理矢理引っ張ってある部屋へと連れ込む
「ヒロ・・・この部屋はなんですか??」
「この部屋は、俺等常連しか入れねぇVIP ROOMみたいなモンだよ」
「そんな部屋に僕が入っていいんですか?」
「あぁ俺のツレだからな・・・・・
それと、翼その敬語やめろよ、あとその表情一つ変えないロボットみたいな面も」
「・・・・・僕、本当に笑ったこと無いんです。」
「は?!」
父さんかが昔から教えてきたこと
笑顔は、媚びるためだけに使え余計な所で笑顔なんて振りまくな芳賀家の品が疑われる
そう教育され続けてきた翼は、もはや忠実なる人間の皮を被ったロボットでしかなかった
「・・・・・変ですか・・?」
「・・・・・可哀想な奴だ・・・・・」
「へ・・・?」
「まぁいい、入るぞ」
ガチャッ・・・・・
扉を開けたその先には、数人の若い男女が酒を飲んだり歌ったりと
まるでお祭りのようなにぎわいようだった
「ヒロじゃーん久しぶり!」
「おうみんな元気にしてたか?」
「ヒロが来ないから寂しかった〜
てゆかっそのヒロの後ろの子超カッコイイんだけどぉ★ヒロのお友達ぃ?」
茶色い髪にゆるくパーマがかけられている女はヒロの首に手を回す
「あぁ俺の従兄弟
みんなこいつは、翼仲良くしてやれよ」
「よろしく・・・・おねがいします・・・。」
「ちょっとぉ〜翼クン固いよぉもっとリラックスしてぇっ」
「はぁ・・・・。」
そう言われても同世代の男女とはあまり接触を持たない翼はどうしていいか分からなかった
「翼クンお酒飲むぅ??」
すでに酔っ払っているらしき人が顔を真っ赤にさせ翼に酒を勧める
「いや・・・・まだ未成年ですし・・・」
「イイじゃん〜そんなかたいこと言わないで〜
お酒飲むと悪い事全部忘れていい気分になるんだよー?」
悪い事を全部忘れられる・・・・・・???
翼は、そんな酒の虜になった
「おおっ!翼クン良い飲みっぷりだねぇ・・・」
「?!!!おいっ!翼に酒を飲ましたのかッ??!!」
「ん・・・あぁ、もうチューハイ3本目いくぜ?」
「ッ!何てことしてくれんだッ!!!
翼は酒飲んだ事ねぇんだよ!
初心者にそんな飲ます馬鹿が何処にいんだよッ!!!
ほら立て翼もう帰るぞッ――!!!」
「んんっ・・・頭がっ・・・・ぐるぐる・・・」
ヒロは、こんな所に翼を連れてきてしまった事を後悔した
ヒロの周りには、未成年からの飲酒により
アルコール中毒やついには薬に手を出してしまう者もいたのだ
そんな恐ろしさをしっているからこそヒロは1度だって喫煙飲酒をした事が無かった
しかし、自分の不注意のせいで大切なたった1人の従兄弟に飲酒をさせてしまった
激しい自己嫌悪と後悔が胸を押しつぶそうとした、しかしヒロは必死で耐え翼の目が覚めるのを待った
「んっ・・・ん」
「目ぇ覚めたか?」
「ヒロ・・・・此処は・・・・・俺は・・・・?」
「すまん、俺が着いていながらもお前に飲酒させちまった」
申し訳なさそうに翼を除き見るヒロはなんだか情けなくも見えた
「いいんだ、僕が望んで飲んだ事だし・・・・
・・・・・――忘れたかったんだ、家のことも父さんのことも・・・・」
「良いか翼嫌な事あろうが辛い事あろうが絶対飲酒だけはしちゃいけねぇ
確かに酒は嫌な事を忘れさせてくれるだがな、それと同時に自分の体を蝕んでいくんだ
だから約束しろ、飲酒だけはもうしないと・・・・・
そして・・・・辛い事悲しい事があるなら全部俺に話すこと・・・・約束できるな・・・・??」
縦に小さく頷く翼
「お前やっと人間らしい顔になってきたじゃねぇか」
翼はふとガラス張りのショーケースに目をやる
そこには、ヒロの隣に嬉しそうな笑みを浮かべている少年がいた
これが俺・・・・・??
生まれてきてから笑うことをゆるされなかった俺が
今この時間この場所で笑っている・・・・・・??
この時翼は、ヒロが言っていた“人間らしさ”を生まれて初めて知った
想像したよりも、もっとあったかいもので心がぽかぽかと安らいだ
「俺たちは、何があっても友達だ」
そういい残して翼の前から立ち去るヒロ
友達・・・・・・
初めて出来たトモダチ
俺は、もしかしたら飢えていたのかもしれない愛情と友情に
だが、いつでヒロがそばにいてくれた
辛いとき悲しいとき
少しずつ人間らしさを取り戻し表情も豊かになりつつあった時
彼女に出会った・・・・・
初めて覚える感情が胸にこみ上げてきた
初恋だった・・・・・・
「だから絶対これだけは譲れねぇんだ・・・・・・」
そう吐いて翼はゆっくりと涼子がいる教室へと向かった
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