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みなさんお久しぶりです。このブレオンを『小説家になろう』に投稿してから、もう一年立ちました。時間が経つのは早いですね。
私が今まで更新してこれたのは、応援してくれる読者の皆様のおかげです。一年間ありがとうございました!
「へえ……。じゃあその人達とも一緒に行動する事になったんですね」
「そうそう。後、他の知り合いも誘ってみるつもり」
あの後、俺達は一旦、《ブラッディフォレスト》から離脱し、街に戻った。あのパーティーの人達をフレンドリストに登録し、《ブラッディフォレスト》を一緒に攻略すると約束してしまったのだ。俺の二つ名を知っていた女の人――――アストロさん――――が俺達のファンだったらしく、パーティーを組んでほしいと頼まれたのだ。モンスターをトレインして近づいて行った手前、断れずにOKしてしまった。しかし、彼女達は攻略組ではなく、攻略組がクリアして情報が出回ったエリアでレベル上げをしているパーティーだったので、パーティーの平均レベルは50前半。このままパーティーを組んでも《ブラッディフォレスト》をクリア出来る保証は無いので、一旦森から引き上げ、装備を整えてからもう一度攻略に臨む予定だ。
俺はリンに入れてもらったコーヒーを飲みながら、今日起こった事を説明している。因みにコーヒーにはミルクと砂糖を大量に加えてもらっているため、甘くて美味しい。こういうのってカフェオレって言うんだっけ? 分からないからコーヒーって呼ぶけど。それにしてもコーヒーを何も入れずに飲む奴はどうかしてる。俺はブラックが飲めない。前に一度飲んでみたのだが、気持ち悪くなった。口が何とも言えない苦さとほんのりとした酸っぱさに包まれて……もうね。
と、嫌な事を思い出していると、次に浮かんできたのはカタナだった。
「にしても……カタナの野郎……」
あいつ、アストロさんの申し出を超絶笑顔でOKしやがった。いや、もちろん俺も断るつもりは無かったのだが、あいつのせいでこうなったのだからあいつが返事をするのはおかしいと思う。どうかしてるぜ全く……。
ふんわりと甘いコーヒーを飲んであいつの事を頭から追い出して、これからの事を考える。
隠しエリアである《ブラッディフォレスト》を一番に攻略する為に、現在色々なギルドやパーティーが活動しているようだ。エリアの情報が整い次第、幾つものギルドやパーティーがエリア攻略に乗り出すみたいだ。
その中でも《攻略連合》という、攻略組の中でも《照らす光》や《不滅龍》についで大きなギルドがかなり精力的に攻略に乗り出しているらしい。
まあ、隠しエリアにはまだ見ぬアイテムやモンスターが沢山眠っているからな。色々なギルドが動くのも当たり前だろう。
そこで気になる事は、一度俺は《ブラッディフォレスト》を攻略しているという事だった。あの森の中で怯えながらもしぶとく生き残ってきた俺は結構な数のアイテムを見つけてきて、その殆どを売ってしまっているのだが、あそこにはまだアイテムが残っているのだろうか?
そう疑問を持った俺は隠しエリアに付いて色々調べてみた。
なんでも、攻略エリアを一番最初にクリアした者は《セーフティータウン》にある《栄光の石碑》という石碑に名前が刻まれるらしい。さらに隠しエリアのボスを倒すと一つだけ、ゲーム内に一つしか存在しないオリジナルアイテムがドロップする。
当然、俺の名前は石碑に刻まれては無かったし、オリジナルアイテムがドロップした覚えもない。確かに色々なアイテムが手に入ったけどオリジナルアイテムはドロップしていなかったはずだ。あの青い熊、グルヴァジオの素材を使った装備を持って入るけど、なんか釈然としない。一番最初に攻略したのは間違い無く俺なのに、これはおかしい。
というわけで、もう一度あの森を攻略してやる事にした。やるなら当然一番に攻略しなければならない。その点、俺はエリア内の情報を結構な数手に入れているし、他のプレイヤーより有利だろう。
そこで問題になるのは戦力だ。あの熊を倒すのに俺は何回も死んでいる。当然、あの時の俺より今の俺の方が強いだろうが、正直あの熊を倒すには全然足りないだろう。そこでパーティーだが、まずカタナは文句なしに強い。信用出来ないし信頼出来ないが、実力は確かだ。太刀の扱いにも慣れてきているようだしな。そして後はアストロさん達だが、正直あまり頼りにはならない。まだ会って間もないしな。連携も上手くいくとは限らない。
ドロップするオリジナルアイテムはひとつだけだから、ぶっちゃけあまり人数を増やしたくはないが、こればっかりは仕方がない。下手したら死ぬしな……。
そこで知り合いに連絡をとって見ることにした。
ガロン率いる《烈火》の人達や、剣犬の所属している《瑠璃色の剣》、栞の《照らす光》、玖龍の《不滅龍》の人達に、メッセージを送ってみる。
ガロンからは『一緒に行動したいのは山々だが、今はちょっと隠しエリアに手を回す余裕が無いんだ。悪いな』と返ってきた。残念だ。
剣犬に送ったメッセージは何故からーさんから返ってきた。『剣犬の代わりに私が返信しました。らーさんです。お誘いありがとうございます。本当なら隠しエリアにも人員を割きたいのですが、今日、ギルドホームを改築する予定なので……。申し訳ありません。せっかくのお誘いなのですが、今回は断らせて頂きます』。……らーさんって何故かメッセージだとめっちゃ常識人っぽくなるんだよな……。
らーさん達はどうやらギルドの拠点となる家、つまりギルドホームを改築するようだ。そういえば、前にメッセージで『お金が溜まったらギルドホームを大きくする』と言っていたっけ。残念だ。
《不滅龍》にはルークにメッセージを送っておいた。いや、だってなんか玖龍厳ついしね。人柄の良い人だけどデカイしね。うん。
『隠しエリアが発見されたという情報は耳にしたけど、今回私達は普通のエリアの攻略を進める事にするよ。元々、ギルド内で遠征する事に決まっていたしね(-_-;)
今、玖龍や幹部達、その他メンバーと一緒に明日に備えて装備の整理をしてる所ー。最新のエリアの情報もだいぶ集まっているし、もしかしたら明日の遠征でボスが見つかるかも(゜д゜)!
一緒に行きたかったんだけど、ごめんね(´・ω・`)』との事だ。
うーん……。まあ《不滅龍》みたいなトップギルドじゃ無理かなあ……と思っていたしな。この分じゃ、《照らす光》の方も無理かな?
ルークのメッセージを確認しているところで、丁度《照らす光》の方からも返信が返ってきた。当然、メッセージは栞じゃなくてその友人の《雷神》ドルーアにだした。だって、ねえ? まあ、うん。
返信は、
『いいですよ(^o^)』
ということで、俺とカタナとアストロさん達と《照らす光》のメンバー数人で《ブラッディフォレスト》を攻略することになりました。