表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/148

55

感想をくださる方、返信できなくてすいません。返信できていませんが全部読んでいます。皆様の感想にいつも励まされています。ありがとうございます。

これからも頑張って書くのでよろしくお願いします。

 再び試合のフィールドに立った俺は《犬騎士ドッグナイト》剣犬の正面に立ち、お互いに向かい合っていつでも戦えるように身構えていた。

 剣犬。歳は高校生くらいだろうか。俺と同じぐらいの身長をしており、その身体を包んでいるのは茶色い毛皮を使用して作られたハイドアーマーだ。一見防御力が無さそうに見えるが二つ名を持つほどの実力者だろうし、防御力は高いだろう。油断はできない。両手に持っているのは鋭く長い何かの牙で作られたであろう特徴的な二本の剣。柄の部分に茶色くギザギザした何かの毛が付けられている。

 相手を観察しているのは相手も同じで俺の全身に鋭い視線を向けてきている。手に握っている太刀も油断なく見られている。

 

「初めまして、俺は剣犬です。よろしく」


 俺と目があった剣犬は名乗りながら頭を下げてきた。俺もシルバーブレードという偽名を口にし、よろしくと返す。

 

「ああ、それとウチのらーさんがお世話になりました。あいつちょっとボケてるから何か迷惑を掛けませんでしたか?」

「いや、こっちこそ世話になったよ。彼女のお陰で何とかここまで上がってこれた」

「そうですか。良かった。太刀を使う人と勝負するのは初めてですが全力でやりますのでよろしくお願いしますね」

「ああ、こちらこそよろしく」


 案外話してみると礼儀正しそうな人だった。この人が「わんわんおー」とか叫ぶ姿はちょっと想像出来ないな。それにしても終始笑みを浮かべていてなんだか苦手なタイプだ。ネット上にいたら語尾に「w」を付けまくってそうなイメージ。

 こういうタイプは腹のうちで何を考えてるか分からないから怖い。よろしくとか言ってたけど内面じゃ「うわー太刀とかめんどくさい。萎える」とか考えてるかもしれない。いやこれは別に高校時代の後輩に似たような奴がいたからとかじゃないぞ。あくまで予測だ。

 

 そんなことを考えている内に勝負開始のカウントダウンが目の前に表示され、それが0になると同時に『Ready fight!』という文字が現れ砕け散った。

 文字の破片をすり抜け、剣犬が恐ろしい速度で間合いを詰めてきた。両手の剣が煌き、斜め上から振り下ろしてくる。俺は太刀を上に構えてそれを防ぎ、手首を捻って剣犬のガラ空きの左の腹を斬り付ける。剣道で言う所の『返し胴』だ。剣道の試合中じゃなかなか綺麗に決まらないから苦手な技だが、この試合では綺麗に当てる必要はない。

 だが刃が斬り裂くより先に剣犬は大きく後ろに跳んだ。刃の切っ先が僅かに腹を捉えるがHPバーは目で確認するのが難しいくらい少ししか減っていない。

 あの速度で後ろに跳べたのは恐らく《ステップ》を使ったからだろうが、あのタイミングで避けたのは凄いな。とんでもない反応速度だ。

 剣犬は犬歯を覗かせるような獰猛な笑みを浮かべると、再度俺目掛けてダッシュしてきた。さっきは反応する前に間合いに入り込まれたが、二度も同じ事をさせるつもりはない。

 俺は《間合い斬り》を発動し、自分の周囲を不可視の円が囲むのを感じた。そこに入れば瞬時に刃が敵を斬り裂くだろう。俺は剣犬が突っ込んでくるのを待つだけでいい。

 そして剣犬が円(間合い)に入ってきた。手が自動で動き、刃が煌めく。目にも止まらぬ速さで太刀が横薙ぎに振られ剣犬の胴体を両断――――



「っ」


 手応えを確認する前に全力で地面を蹴って後ろに大きく跳んだ。背筋を何か鋭くて冷たい感覚が走り、自分でもよく分からないままに身体が動いていた。そしてそれを確認した時、俺は自分の喉が鳴るのを感じた。

 身体を低く屈めた剣犬が剣の一本を俺の胸の当たりに向けて突き出していたからだ。

 今のを屈んで躱し、尚且つ急所に目掛けて攻撃をしかけていたのか。今のほんの一瞬であれだけの動きが出来るのか、こいつは。これは予想以上の強敵だぞ。

 だが驚いていたのは俺だけでは無かったようで、剣を突き出したままの剣犬も目を見開いていた。今のを躱されるとは思ってなかったんだな。俺自身もびっくりだよ。

 剣犬が驚いていたのは一瞬で、次の瞬間その姿勢のまま俺の所まで跳んできた。オレンジに光る双剣を前に突き出している。恐らくあれは《双牙》かその上位スキル――――。


 迫ってくる二本の牙を咄嗟に太刀を構えて防御する。激しい火花が散り、受けきれなかった俺は後ろに大きく吹き飛ばされた。背中から壁に激突する。

 身体を覆っているシールドのせいで痛みこそ無いが、HPが三割近く減っていくのを確認した。やはり《双牙》の上位スキルか。もう少し体勢が整っていれば三割も喰らわなかった筈だ。

 こいつ、強い……!


 剣犬は壁にもたれ掛かっている俺が立ち上がるのを待たずに次の攻撃を仕掛けてきた。双剣がさっきよりも大きくオレンジに光り、二本の牙が生み出される。

 《双牙・巨獣》。

 しまった。接近していれば使われる前に斬れていたが、この距離じゃあっちが振り下ろす方が早い。だったら躱せばいい。急いで起き上がり、牙が俺を捉える前に二本の牙の隙間目掛けて跳ぶ。風が身体を撫でるのを感じながら、スキルを躱されて呆気に取られている剣犬の間合いにダッシュで入る。スピードに自信があるのが自分だけだと思ったら困るね。

 もう回避しきれないと悟った剣犬は双剣を自分の前でクロスして防御耐性を取った。そこに遠慮無く《断空》をぶちかます。

 今度はあっちが吹き飛ぶ番だ。当然剣犬は《断空》を受けきれず、さっきの俺以上の速さで後ろに吹っ飛び、激しく壁にぶつかった。受け方が良かったのか剣犬のHPはまだ半分以上残っている。四割ぐらいだろうか。半分は削れると思っていたけどそう簡単には行かないらしい。

 

 

勢いで作ったブログ「ぶれおん!」ですが、特に更新する事もなくずっと放置しぱなしだったので、短編を書いて見ることにしました。短時間で書くのでかなり短く、描写も粗いです……。

栞目線のアカツキが高一の頃の話。現実の事を書くのでブレードオンラインは殆ど出てきません。

まだ数話しか投稿しておらず、一分くらいで全部読めてしまう程度しか書けていませんが、暇な時に見てもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あくまで予測だ > 想像、じゃなかろうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ