53
いつも二〇〇〇文字程度しか書いていないのですが、やはり文字数を増やした方がいいでしょうか?
遅筆なため、いつも少なくてすいません。
今回も短いです。
勝負が始まった瞬間、俺は姿勢を低くした状態でステドラに向かって突っ込んだ。
斧は高い攻撃力を持っている為、まともにぶつかるのは得策じゃない。だからスピードをいかした攻撃で一気に攻める!
鍛えた俊敏さでほんの数秒でステドラに接近し、そのまま胴を狙って太刀を横薙ぎに振る。かなりのスピードの攻撃のはずなのだが、ステドラは斧の刃の部分でそれを防いだ。金属音が響き、火花が散る。ステドラは次いで斧をスイングした。太刀が斧に押し返され吹っ飛ばされそうになるが、柄を握る手に力を込めて斧を一瞬押し返し、その隙にステドラの右斜めに滑り込みガラ空きの首を斬り付ける。
「っ」
刃が首を完全に斬り付ける寸前に、ステドラは《ステップ》を使って後ろに跳んだ。逃がさない。俺も同時に《ステップ》し、首を斬り付ける。ステドラのHPが四割程減少した。俺は近付いた勢いを利用して蹴りをステドラの腹に叩きこむ。今度は流石に防がれた。斧の刃で蹴りを防いだステドラは、俺の蹴りの衝撃を受け流さず、逆に利用して後ろに跳んだ。
俺に斬られた首を左手でポリポリと掻くと、今度はステドラが俺に向かって接近してきた。
斧が持つスキルはどれも強力な破壊力を持つが、モーションが大きい。接近してしまえばこちらのほうが早くスキルで攻撃できる。
だがそこまで甘くは無かったようだ。ステドラもここまで勝ち上がってきた猛者。お互いの間合いに入る寸前に何かのスキルを発動してきた。ステドラの斧の動きが加速し、間合いに入った瞬間に斜め上から襲いかかってくる。だがこちらも同時にスキルを発動させている。
相手が間合いに入ってきた瞬間に斬り伏せるスキル、《間合い斬り》。斧と同じように太刀が加速し、斧の刃と激突した。鈍い金属音が響き、斧と太刀がお互いにぶつかり合う。スキルとスキルの戦いだ。スキルの威力、プレイヤーのステータスで勝敗が決まる。
太刀の刃が斧を押しのけた。ステドラは斧がはじかれた事でよろける。そして数秒の間スキルは使えない。それは俺も同じ事だが、ステドラを斬るのには充分だ。刃がステドラの胴を横薙ぎに斬った。シールドに刃がぶつかる感覚。ステドラのHPが二割減少した。これでもうあいつのHPは半分だ。それに対して俺は無傷。
ステドラは遂に焦りの表情を浮かべ、叫び声を上げながら斧を振り下ろした。俺は後ろに跳んでそれを回避し、体勢を立て直す。その間にステドラは斧を両手で握り、大きく振りかぶった。奴と俺との距離はさほど離れていないが、斧が届く距離じゃない。つまり何か、離れていても攻撃が当たるスキルか。
「《エクスプロージョンアックス》!!!!」
振り下ろされた斧が床を砕くと同時にそのスキルは発動した。数m離れている俺に向かって爆発が迫ってきた。
――――――――――――
ステドラは何の抵抗も出来ずに《エクスプロージョンアックス》を喰らった暁を見て、焦りの表情が安堵の表情に変わった。《エクスプロージョンアックス》で奴を倒しきれたとは思わないが、これは今ステドラが持っているスキルの中で最も攻撃力の高いスキルだ。掲示板を見てもこのスキルを使用できている斧プレイヤーはそう多くない。斧使いで最も有名な《巨人殺し》は更に上位のスキルを持っているらしいが。
今のをなんの抵抗も受けずに直撃したとするなら、耐久値にもよるがおそらく七割近くはHPを削る事が出来ている筈だ。このスキルのせいでスタミナが大分減ったが、まだ他のスキルなら何回か使える。これで第一回戦目は俺の勝ちだ。
しかし、彼は次の瞬間信じられない光景を見る。
暁を飲み込んだ爆発が、真っ二つに両断されたのだ。そしてその間から出てきた暁はステドラとの間を一瞬で詰め、その太刀で斬り伏せた。
それでステドラのHPは0になり、彼はステージから退場していった。
観客達は何が起こったのか分からずポカンと呆けた表情で暁を見ていたが、やがて彼が勝利したことを認識し、歓声を上げた。
――――――――――――
「ふう……」
試合が終わり、控え室に戻った俺は自販機で買ったジュースを飲みながら、今の試合を思い返していた。一回戦目、俺はHPを全く削る事なく勝ち上がった。最後の《エクスプロージョンアックス》というスキルには一瞬焦ったが、なんとか勝つことが出来た。
《エクスプロージョンアックス》を両断したスキルの名前は《断空》。目の前の空間を強力な力で斬るスキルだ。スタミナはそれなりに消費するが高い攻撃力を誇る。
《オーバーレイスラッシュ》よりは威力が低い。
まあ何はともあれ、一回戦目は勝ち抜いた。次の勝負に備えるとしよう。
ゲーム内の掲示板のIDは5桁の1から9までの数字がランダムに並べられたものです。24時間ごとにIDは変わります。