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このゲームには決闘というシステムがある。プレイヤーとプレイヤーが正々堂々と戦うための物だ。決闘をしている最中に他のプレイヤーが乱入していく事は出来ない。決闘にも種類があり、エリアと同じようにHPを削り合う通常モードや攻撃が当たれば勝ちという本数モードなどがある。普通、決闘では負けても死なない。だが、決闘で負けた相手は死ぬ、というデスマッチモードも設定を変えれば出てくる。今回の決闘では当然命は賭けない。

 決闘の種類をどのようにするか虚空に尋ねると、奴は余裕ぶった顔で本数モードにしようといいだした。本数モードは攻撃を当てるだけでいいため、攻撃力はあまり関係ない。だからレベル差が合っても勝てる可能性は出てくる。と言うことは、俺はこいつに完全に舐められているという訳だな。面白い、ぶちのめしてやるぜ。

 先に相手に三回攻撃を当てた方が勝者となる。決闘設定を終える頃には、俺達は大勢のプレイヤー達に囲まれていた。まるで見せ物だ。まあ二つ名持ちと噂の太刀使いが決闘すると言うのだから、注目されて当然だな。多分この戦いの事は掲示板に書き込まれるだろうから無様な姿は晒せない。イベントでドカンと目立ちたかったけど、まあいいや。今ここで俺の実力を見せてやろう!


――――――


 仮面のすぐ側を槍先が掠め、風が顔を撫でる。槍先が再び俺を捉えようと突き出されたため、《ステップ》で斜め後ろに跳んで回避する。やはり二つ名と言うのは伊達じゃないな。攻撃がかなり速い。槍先を回避して懐に入れば簡単に倒せると思っていたが甘かった。回避してもすぐに次の攻撃が来るせいでなかなか反撃に出ることが出来ない。《残響》を使えばいけるだろうけど、稀少レアスキルは使わない事にしている。手の内はなるべく明かさない方が良いからな。


「成る程ね。確かに良い動きをするね。でも避けてばかりじゃ、勝てないよ! 《スタブ・スクエア》!」


 虚空の槍が青く光り高速で突き出される。自分に向けられて分かるがやはりスキルというのは凄いな。現実ではあり得ない速度で槍が突き出される。スクエアという事は四連続だな。

 《見切り改》によってどこに攻撃が来るか分かるが、体がついていけない。避けれて三回だろう。体を思い切り捻って一撃目をかわす。だがすぐに二撃目が来る。太刀を地面に叩き付けてバランスを立て直し、思い切り右に飛んで二撃目をかわす。そして三撃目。後ろへ大きく跳んでかわす。虚空は一歩前に踏みだし、最後の一撃を放ってくる。


 ――――この時を待っていた!


 向かってくる槍先に向かって、姿勢を低くしながら自ら大きく踏みだす。そして《受け流し》を発動し、太刀で槍先を受け止める。刃を横に傾け刃の上を滑らながら、虚空の懐に潜り込み隙だらけの脇腹に太刀を叩き込む。バリン、と硝子が割れるような音が響き渡り虚空が後ろに吹っ飛ぶ。決闘の時は痛みを感じさせず衝撃だけを与える障壁バリアを張ることが出来る。今のはそのバリアに俺の刃が当たった音だ。


「まずは一本。誰が勝てないだって?」

「グッ……」


 野次馬達からどよめきが起こる。

 俺の言葉に虚空は余裕の笑みを消した。目つきが鋭くなり、唇がピクリと痙攣している。

 虚空は無言で槍を握りしめると俺を睨み付け、いきなり槍で突いてきた。最初とは違い、速度がかなり上がっている。本気を出してきたということか。

 連続で放たれる突きを刃で軽く逸らしスレスレの所でかわす。さっきのように体を捻って避けていたら体力がもたないからな。


「なかなかやるようだけどこれをかわせるかな? 《フィフススタブ》」


 五連続の突きスキルか。さっきのように槍が青く光り、高速で突きが放たれる。だったらこちらも連続スキルだ。《フォーススラッシュ》を発動し、迎え撃つ。俺の太刀も虚空の槍のように青く光り、高速で動き出す。高速で放たれる突きを、高速の斬りで相殺する。問題は俺の方が一撃少ない、という所だ。


「ははっ!」


 俺のスキルが終わったのを確認して虚空が嘲笑うかのように笑みを浮かべた。馬鹿め。体を後ろに大きく倒し、槍先が腹部を軽く掠るのを感じる。掠る程度では一本にカウントされない。太刀を地面に突き立てて体勢を立て直し、さっきと同じように懐に潜り込んで斬り付け――――!?

 

 横腹に激しい衝撃が走る。同時に硝子が割れる音が響き渡る。衝撃を受けた部分を見てみると、槍の持つところがめり込んでいた。槍先以外でも攻撃できたのか!?

 そのまま吹っ飛ばされ、地面をゴロゴロと転がる。クソ、一対一か。


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