記憶
それは予知能力などという大層なものではなく、言うなれば未来の記憶が現在と混同しているという方が正しい。未来の記憶が頭の中で断片的に残り、それが現在や過去の記憶なのかたまに分からなくなるから質が悪い。
例えば友人と話していて、
「あの漫画のキャラクター死んじゃったな。」
とか、俺がついうっかり未来のいつかの漫画の記憶を話してしまって、友人は未来の事なんて知らないから、
「え、何言ってんの? あのキャラクター死んでないぜ。」
みたいなやり取りがあって、その度につじつま合わせとか変わり者扱いされて大変だけど、まあ仕方ない。とりあえずそんな事がある。
さて、最近になって問題が起きて、それは俺が車にぶつかる瞬間の記憶なんだけど、今現在無傷という事は、それが未来の記憶というのが分かる。
決して未来を予知する能力ではないので、俺が一体いつ事故に遭うのか分からないから怖いのだが、じいちゃんになって孫と出掛けてる記憶どころか、嫁さんとデートしてる記憶が今のところ頭にないので、きっとそういう事なんだろう…。
読んでくださる皆さんのおかげで、短編100話目となりました。本当にありがとうございます。