夢幻さんから依頼された案を物語にしたものです。
興味があったら読んでください!!
天使。
悪魔。
世界の上で対立する二つの存在。一体、どれだけ昔からこんなことがあったのか生まれて1000年の私には分からない。
昔から、このような関係が続いているのかなんて言うのは確かめることは出来ないんだ。
私たちが正義だとか奴らが正義だとかそんな根本的なことすら私はわからない。だが、私がこの存在で生まれてしまった以上、私が正義だと思い、信じ戦うしかない。
ほんとの意味で世界を知ったとき、私はきっとどちらの存在が正義なのかを知るだろうけど……。
きっとその時は手遅れなのだ。
全てを失う。全てを手にした。そのどちらかを手に入れるとき私は世界を知り後悔する。
後悔の先に見えるものなんてのはたかが知れているけど、私はその後悔に向かって走っていくのだろう。こんな悠長に話せるのも笑える話だけれど、私は笑って話していられる。なぜかって? それは簡単……。
もぅ、手遅れなんだから……。
「こら!!」
ガツッ!!
「痛ぇ!!!」
俺は頭に走った強烈な痛みに顔を上げる。そしてすぐに視線を隣の席に座る女子生徒に移す。腰まで伸びた綺麗な黒髪は窓から入る太陽の日差しに反射し、キラキラ光っているようにも見える。
俺の頭をぶった教科書を片手に俺を見ている隣の女子生徒はこの荒れ果てたクラスの学級委員長。気が強く、リーダーシップ性に優れている……んで、むちゃくちゃ喧嘩強い。このクラスでいじめられずに委員長やっていられるのもこの性格や実力があるからだろう。
周りの生徒たちのうるさい喧騒にまみれたこの3年B組は授業中にも関わらず、私語を止めるどころか笑い声などが絶え間なく聞こえてくる。
教卓の前にいるちょび髭を生やしつむじのほうからハゲてきたことを気にしている理科の教師の声もクラスの喧騒に揉まれ、すぐに掻き消えて俺のところまで届かない。
もちろん、今の俺と委員長の行動もあっちからじゃわからないだろう。
「何寝てんのよ! 授業中よ?」
「なら前の奴を起こせよ!!」
俺は右手で委員長の席の前で居眠りしている男子生徒を指差す。だけど、委員長は小さく首を振ったあと言ってきた。
「人のこと言える立場? さっさとノート書きなさいよ!」
「はぁ……へいへい」
俺と委員長は昔からの幼馴染……などではなく、2年になって顔見知りになった間柄だ。まともに話すようになったのは3年に入った頃のとある事件からだし、決して前々から深い関係であるというわけではない。
委員長がなぜ俺に付きまとってくるのか意味不明だが、俺もそれを拒否しきれなかったこともあるからあまり言えない。
委員長の名前は来栖莉美愛。来栖という苗字を俺は初めて聞いた気がする。
俺に委員長が余計なお世話を焼いてくれたおかげで俺は成績が上がり、今やこの荒れ果てたクラスの3位に君臨するほどになった。まぁ、このクラスでトップクラスの成績を取っても何一つ自慢できないが……。
周りのやつらには委員長と仲睦まじいなんぞ言われるし、もう踏んだり蹴ったりだ。
委員長もあのとある事件から俺を離そうとしないみたいだしな……言っておくが俺は委員長のことが好きだとかそんなこと絶対にないからな!!
委員長が俺の事が好きとか言ってくる奴もいたが、3年のはじめに初めてまともに喋ったんだ。それから半年しか経っていない今、俺に委員長が惚れるなんて滅多にないだろう。
こんな短期間で惚れられるほど俺も出来た人間じゃないしね。
素直に俺が委員長の言うことを聞いたことがその理由じゃないということだけはわかっていてくれ。
ただ、次拒否すればあの委員長の鉄拳が俺の頭を射抜く。
「全く。世話焼かせないでよ」
「お前が勝手に焼いてるんだろうが」
「なんか言った?」
「いや。隣の奴が言ったんじゃないか?」
俺は委員長と逆側にいる男子生徒を指差す。
「……」
「ぶぁわ!!」
だから教科書で殴るんじゃねよ!!
充実しているようでしていない、しかしながら委員長と仲睦まじいと言われ成績上昇! そこまで悪くないかもしれない。まず委員長と仲睦まじいなんてないし! でも今はやっぱり充実していないと思う。
俺の今まで生きてきた時間はすっごく平和だったんだ。
大きな出来事が起こったあとだったけど、それでも俺なりに平和に生きていたんだ。それが委員長と出会って、あの事件に出くわし……。全てが変わってしまった。
俺の全てを……時間も思い出も共に……。
「準備できた?」
「出来てなくても関係ないんだろ?」
「馬鹿なこと言ってないでさっさとして!!」
誰もいなくなった放課後の教室。俺はそこで委員長と二人っきりでいた。
決していいムードでもないし、委員長に呼ばれた理由が俺に告白するために……とかそんなものじゃない。もっと物騒で泣きそうな事。
今の俺はその物騒な事のためにここに呼び出されたわけだが、それを行うための準備というのをしていない。でも、ただただ赤く染まった運動場を窓から見下ろしているだけじゃないんだ。しっかりと考えていたりしている。
一体、俺はいつまで委員長と一緒にいなければならないのだろうか? そんなコトを思ったんだ。
俺は委員長側の存在ではなく、普通の一般人なんだ。なのに俺は今、委員長側の存在になっている。これは俺にとってはあまり良いことじゃない。
もしかしたら命を落とす危険もある事をしていたりするんだ。俺は間違っていたんだろう……。
だが、今更やめると言うのもおかしいだろうしな。
「早くして! 来たわよ!」
「あぁ。わかったよ!」
俺は振り返ってカバンからひとつの箱を取り出す。
大きさは手のひらサイズで重たさなんてのはほとんど感じない。それを手のひらに乗せたまま委員長に向かって差し出す。
「それじゃあ、行くわよ」
そのルービックキューブを思わせる小型の箱に委員長は手を重ねる。するとその箱から青色の光が漏れ始める。
この箱こそが俺と委員長を繋ぐ、唯一の品。
【cube】だ。
cubeはルービックキューブの形を創造していて俺と委員長を繋げ、力を俺に分け与え悪魔と戦うための所謂【神器】なのだという。
俺はそのcubeを通じて委員長の【入れ物】になり、委員長を俺の精神内に入れ込む。それによって俺は委員長が持つ力を分け与えられ、力が発揮できる。
正直、俺はこうやって委員長とつながるのが嫌だ。理由は、この状態になると俺の思ったことや感じたことなど、感覚全てが委員長とリンクする。だから俺の考えや秘密事を俺が思い浮かべてしまうと、一発でバレてしまう。
それなのに、委員長の考えたことは俺の体には継続されなくて俺だけが委員長に情報をもらしているような状況になっている。
プライバシーの侵害だ! 訴訟できる!
俺と委員長とこの状態になるのはまだ半年前のとある事件から5回だけだ。委員長も俺が初めての入れ物だとかなんとか言ってたから委員長も5回なんだろうけど、本当かどうかは知らん。
「「access」」
俺と委員長が声を合わしてそういうとcubeは青色の光を大きく放ち始め、俺たち二人を取り囲む。
そして、俺の精神に……心の中に委員長が入ってくるのを感じる。
光が収まり、教室の中に外からの夕焼けの茜色しか染まらなくなった時には、委員長の姿はなく……。
そこにいるのは、白色の身の丈並みの翼を背中から生やした俺一人だけだった。
興味を持っていただけたならぜひぜひこれからも見てください!!
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