ねぇ、僕らの思いは心に届きますか?縦書き表示RDF


今はまだ、知っているだけでいいんです。思って下されば幸いです。
ねぇ、僕らの思いは心に届きますか?
作:秋之


 >>>僕思


 僕達の命はなんなのでしょう。

 僕は、まだ戦いたい。

 死んでサヨナラだなんて……僕はまだまだ戦いたい。

 なぜ。なぜ……こんな。

 戦えるのに。まだまだ戦えるのに!

 震える手さえ、僕は騙して、今まで戦ってきたのに。

 無駄死にのようじゃないか。

 僕達は何のために戦っている?

 誰かの……いいや、誰かじゃない。命の為に戦ってるんだ。

 命の為に戦ってるのに、その命を捨てて、本当に捨てに行くなんて。

 辛い。これ以上、これから死んで逝く命を守れないだなんて……。

 でもね。それしか方法が無いから、僕は死ぬ。

 僕は逝く。僕達は逝く。

 だから、どうか……幸せに。

 君よ、貴方よ、御前よ……幸せになってください。

 僕達の命の上に建つ平和を、大切に、大切に、生きてください。

 僕達の、この命。どうか大切に生きて下さい。


 ありがとう。世界。ありがとう。母上。ありがとう。父上。ありがとう。君。ありがとう。貴方。ありがとう。御前。

 皆皆……ありがとう。











 >>>君思


 あぁ。分かっていました。貴方が神風となったこと。

 神風。どれ程美しい言葉でしょう。

 美しい言葉。貴方には似つかわしい。

 神風となる貴方達は美しい。私は貴方を忘れません。

 しかし神風に守られるほど、ここは美しくはない。

 輝く命を捨てるようなこの場所は、美しくはないのです。

 あぁ、怖かったでしょう。辛かったでしょう。

 迫る鉄玉。迫る炎。迫る海面。

 貴方の苦痛、私には分かるのです。

 痛かったでしょう。熱かったでしょう。冷たかったでしょう。

 貴方は沢山の者を失いました。

 守りたい者を守れないまま。

 けれども貴方は私を守って下さいました。

 私は貴方の思いを受けて、この平和を大事に生きていきます。

 貴方の為に、貴方の残した平和を。






 >>>貴方思


 どうしてお前が逝ったんだ。

 なぜ。なぜなんだ!

 私のどこがいけない。

 お前にはまだまだ輝くものがあるというのに。磨けば眩く輝くというのに。

 私より、お前が……。

 若い者は未来をつむぐ輝き。

 なぁ……どうして……。

 あぁ。分かっていた。分かっていたさ。

 お前は私より優れている。

 だからこそ逝った。

 分かっていたさ!

 分かっていたからこそ……こんなに心が痛いんだ。

 こんな事を言ってもどうにもならない。

 だが、言わせてくれ。


 どうか、こんな私を許してくれ。私は死ねない……。








 >>>御前思


 何でだ。俺、知ってたんだぞ。

 もう直ぐ、こんなの終わるって知ってたんだぞ!

 なんでもっと早く言ってくれなかったんだ、畜生!

 テメェ様がそう言ってる間に、その間にだって……。

 アンタもアンタだ……ありがとうじゃねぇ。平和に生きてくれじゃねぇ! アンタはどうなんだよ。アンタ、アンタが居ないと意味ねぇじゃねぇか。

 何様気分だ、あぁ?

 神風って呼ばれて満足かよ。

 俺だって、俺だってなぁ……後一年したらアンタと一緒に戦えたのに。

 戦う必要がなくなったのは良かったさ。けどな。

 何で……帰ってこない。
























  嬉しいのか、悲しいのか、悔しいのか、苛立たしいのか……分からない。

 でも、全ては終わったんです。

 ねぇ、僕達の思いは届きますか?

 想像を膨らませてください。恐怖してください。涙してください。胸を痛めてください。

 平和を持ってきた、消えた命を思ってください。

 僕らだけじゃない。

 帰ってこれない僕ら。

 飢えた僕ら。熱病に倒れた僕ら。銃弾に倒れた僕ら。爆発でバラバラになった僕ら。痛みと恐怖に押し潰されて逝った僕ら。一瞬にして消え去った僕ら。相手と心中した僕ら。何をする間もなく逝った僕ら。

 僕らの願った幸せ。僕らの願った平和。

 それが当たり前となった世界を、僕らは誇らしく思います。

 だから。だからどうか、その普通の世界を、皆さんは精一杯生きて下さい。

 それだけで僕らは満足なのです。

 あわよくば、一年の内、一日でも僕らの事を思う日を。

 平和を喜び、幸せを確かめ、感謝する日を。



 僕らの思いを、少しだけ感じてください……。





















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これは私の物語。貴方が彼らにどんな思いを抱くのか。貴方が抱いた思いが貴方の物語。その物語、どうか忘れないで下さい。













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