物ぐさな神
長編書いているので、箸休め箸休め
長編もそのうち投稿したいね。活動報告もほぼ一年ぶりに更新したいね
カミングスーンッ
「あーあ-。地球なんて滅びてしまえばいいのに」
人と接する機会のない引き籠もりにとって、自分以外の人間の存在に必要性を感じないのは言わずもがなだ。
さらに不干渉ならまだしも、ひっそり穏やかに暮らしたい俺に対し、アクティブに侮蔑の目を向けるような事があるのなら、いよいよ人類は存在を許されない域までの罪を抱く事になるのは道理だ。
なので、俺はそんなことを呟く。
しかし、まさかその一言がきっかけで俺がタイムスリップをすることになるだなんて、流石にその時は思いもしなかった。
何故俺がタイムスリップをしただなんて非現実なことを受け入れているかって? それは、そっち方面の専門の方がそう言ってるからに決まっているじゃないか。
「厳正な抽選の結果、君の願いを叶えに来た神様の一種です。君の願いを三つまで叶えてあげよう。さあ、まず一つ目の願いとして、君を世界の終焉の時にタイムスリップさせてあげたよ」
そこは、自分が先ほどまでくつろいでいた暗い自室のデスク前ではなかった。景色は開け、何やら燃えるように視界の全てが真っ赤に染まる世界だった。
「どうみても別世界に来ちゃってるし、願い事を叶えてくれるって言うんならこの際、原理とか理屈とか気にせず君の言うことを鵜呑みにさせてもらうけどさ。それにしたって、何だって俺がタイムスリップをする羽目になるんだ」
「君が望んだんじゃないか」
「いや俺は地球が滅びろと言ったんだ」
「……いや、すまない。そんなに追及されるとは思わなかったんだ。実は、横着してしまったのだ」
「なんだって?」
俺が怪訝な顔をすると、その神様らしきものは申し訳なさそうに頬を掻いた。
「だってさ……これはなんとなく感覚的に理解して貰えると嬉しいんだけど、例えば君以外の人間を全員滅ぼすのと、君一人だけを終末の日にタイムスリップさせるっていう方法があったとき、後者の方が消費エネルギー的な物が少ないような気がするだろ?」
「タイムスリップもそこそこの労力を使いそうな気もするが」
「いや、そこは神様的な者が『後者の方がエネルギーを使う』と言っているんだから否応なしに信じなさい!!」
「あーもう分かったよ。だったら始めから俺に変な質問するなよ」
俺が面倒臭いものを見つめるような視線を向けると、神様(の一種)はオホンと咳払いをしてみせた。
「……と言う訳なので。君を終末の日に連れて行った方が省エネなので、そうさせていただいた。でも似たような結果になったし、構わないだろ?」
平気な顔でそんなことを言ってみせる。全く呆れた神様(の一種)もいたものだ。自分が『願いを叶えてやる』だなんて言っておきながら、横着してなるべく楽な方法を取るだなんて、ニートの俺と大差ないんじゃないか?
「まあ、別にいいけどさ。それよりも……」
硝煙に乗って微かに聞こえる罵声、怒声。そして遠くに見える光景に生唾を飲み込みながら尋ねる。
「この時代の人は……なんでみんな殺し合っているんだ?」
「なにせ、地球の終わりだからね。地球最後の日を迎えて自暴自棄になってしまったか、あるいはこの光景こそが地球最後の日と呼ばれる由縁である時代なのか……」
ふと気づくと、叫び声は大気へ反響を繰り返しながら次第にこちらへ近づいている事が分かった。
「なあ、こんな所にいたら俺もいずれ殺されてしまうよ」
「確かにそれは一理あるね」
「そうだ。言い方が悪かったんだ。人間を完全にこの世から消し去ってくれよ。僕は誰にも文句を言われず好き勝手に暮らしたいからね」
「なるほど、ではそれを二つ目の願いとして聞き入れてあげよう」
ぱちん。乾いた音が鳴ると、まるでカーテンを引いたように一瞬で周囲の真っ赤な光景は済んだ青空と広大な草原に飲み込まれていった。
「すごい!! 一体何だこの世界は!」
「ここは、人間が生まれる前の地球さ。あと二億年も待てば人類が誕生してしまうけどね」
「またタイムスリップじゃあないか!! お前、また横着したな!!?」
俺が叫ぶと、神様(の一種)は少しばかり顔をしかめてみせた。
「別にいいじゃないか。結果的に、君以外の人間は誰もいない訳だし」
「そういう問題じゃ無い……。確かにこの世界なら好き勝手生きられるが、好き勝手やるためには文明レベルが乏しすぎる! 娯楽がない生活なんて死んでいるのと同じだし……というか、こんな世界じゃ本当にすぐ死んでしまう!」
「なんだ、娯楽が欲しいならそう言ってくれればよかったのに」
「別に娯楽が欲しかったっていう所がメインな訳じゃないけど、まさか二回も横着されてタイムスリップさせられるとは思わないだろう!?」
「うーん、面倒な人間だなあ」
神様(の一種)がぶつぶつと呟いている横で、俺は思うように行かないもどかしさにいよいよ怒りを募らせた。
「くそ! もう、こんな世界なら人間がいた世界の方がマシだ! それに、異常な人間の群れや、人間のいないような非現実的な世界を立て続けに体験したら、なんだか俺をなじる声でさえ懐かしくなってきた!」
「神様の一種としては、一人の人間不信の青年が人肌のぬくもりを恋しく思うようになってくれたのは嬉しいよ」
手を叩きながら、本当に喜んでいるのかを判定するにはいささか微妙な笑みを浮かべてみせる。
「そういう訳だから、俺の願いを早い所聞いてくれ!」
「これで三つめの願いになる。僕は君の前には二度と現れることはないけど、構わないのかい?」
「構わないさ! 俺の願いを聞いてくれ! 俺はあの世界に帰りたいんだ!」
「あの世界って言うと……」
「勿論、俺が元いた時代の世界だ!!」
「心得たよ」
そう短く返事をしたものの、何故か神様(の一種)は少しばかり頭を捻り始めた。
その時、俺はハッとして慌てて声を上げようとした。……が、時既に遅し。奴の指がぱちんと鳴らされた。
その瞬間、俺は不老不死を手にし、奴は俺の前から永遠に姿を消した。
神ングスーンッ
久々になかなかな小説が書けた気がします
あ、自分の中のなかなかというのは、10点満点中4点くらいのものだから「思い上がるな」的な方面で叩かないでくださいね。
批評はください。とてもください。お願いします。
あと感想もなんです。