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切レタ現実・進ンダ妄想
場所は東京…。
咲はベッドに横になっていた。
少し呆れ顔の彼女。
彼女の身体には、既に薬物が投与されていた。
投与から一時間は経過していたが、今だ身体には何も変化はなかった。
その呆れは、薬への期待はずれなどではなく、自分へのものだった。

咲「それだけ逃げたかったってことかな…。」

現実逃避…それが咲の望むこと。
彼女の部屋を見渡すと本棚が目立った。
というより目立つものが本棚しかない。
そこには小さい文庫本がたくさん並んでいる。
ただの文庫本じゃない。
オタクのような中二のような…いわゆるライトノベルだ。
そんなものが並んでいるのにも理由がある。
読んでみればわかることだが、人の理想の塊である。
もちろん人が書いたものなのだから当たり前のことである。
しかし、自分の理想、妄想、想像全てを書き表すことのできる本に、咲はいつの間にかひかれていった。
だからこそ自分に呆れた。
何故薬などに頼ろうとしたのか、何故薬などに期待していたのか。
そして何より、何故何も起こらないのか。
もう考えることも嫌になり、寝ようと瞳を閉じた。
真っ暗な視界…それは目を閉じているのだから…。
改めて思う…自分の人生の退屈…改めて感じる…自分の人生の悲しさ…改めて憎む……











自分の人生を…。












その瞬間だった。
目は閉じているのだが真っ暗だったはずの視界には驚くべきことが起こっていた。


咲「何これぇぇぇ…!!」


驚きだった。
眼前には壮大な自然の景色が広がっていた。
川…木々…鳥達…山々…。
山々?
山がとても綺麗に見えた。
それはとても大きなもので…まるで独り占めしているかのような光景だ。
全体が見渡せた。
匂いもまるで空にいるような新鮮なもの…風は身体にとても強く当たってくる。
とても強く。

とても強く…。

咲「とても強くっ!?」

咲は今自分におこっていることを理解した。

ここは自然豊かな場所。
そして今現在自分は落下中。
考えて考えて考えた。
そして一つの答が出た。
ということはこれはとてもユニークかつグロテスクな夢。
そう、これは夢…楽しい夢…のはずだった。

しかし、五感は現実世界より研ぎ澄まされている。

咲「さっむぅぅいっ!!何これぇ!!」

夢だとわかっていても寒いし肌も痛い。
凍え死にそうだった。
裸な訳でもないのだが…何故か制服姿…。
しかも自分の好きなライトノベルのヒロインが着ているもの。
シャナとか言ったかな…?
これが自分の夢なのかと思うとショックだった。

今はそんな場合ではない。
落下中なのだ。
目の前を動物がビュンビュン行くのだ。
どうしようかと策を考える…。
とりあえず落下で夢が覚めるのを待つか…でももし覚めなかったら…。
こんな恐い夢は初めてだった。
先が全く読めない…いや自分が地面に突き刺さるのは読みに読めている。
脳みそを搾りに搾った。

咲「…どうしよう…あぁもう無理っ!!きゃあぁあぁぁ!」

とりあえず叫べば何とかなるかと…。
脳みそはもうグシャグシャだ…。

するとそこに幻か、少年の姿が目に入った。
少年も制服姿。
しかも落下中…。

彼はもがきにもがいていた。
こちらには気付いていない。

咲「私の夢って一体…。」

再び呆れる。

そんな場合ではない。

どうせ夢なのだからもう考えるだけ無駄かもしれないと諦めかけていた。
すると胸ポケットに何か紙が入っていることに気付いた。

すぐに開いて読んだ。

咲「…!!」

紙「あなたはここを夢だと思っていませんか?ここは想像の世界、ここは理想の世界、ここは妄想の世界…。夢とは違う世界…現実とは違う世界…。思ってみよう、今自分が欲しいもの…思ってみよう、今自分がすべきこと…。」

咲「私死ぬのかも…。」

全く理解できなかった。
夢じゃない?
それだけで現在がとても恐ろしいものになる。
理解する余裕すらなくなった。
そしていつの間にか高度は山より低い位置にいた。

落下とは速いもので、もうすぐ地面だ。
ついに自分の人生もここまでだとわかった。
なんだかんだで自分はもう少し生きていたかった…それがわかっただけで嬉しかった。

咲「終わりって、夢なのに…夢なのに何思ってるんだろ…。」

涙が出てきた。
今までにない量だ。

夢なのに…。

生きたかった。
今までで一番…初めて思った。

夢だよね…?


ここでついに紙の内容の意味を知ることになる。
そしてこの世界の仕組みを知るようになる。

「ソノネガイ、カナエテアゲル…。」


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