ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
初メテノ裸・初メテノ裸
とある小学校。
とある教室。
ここにも、まだ悲しみから解放されてはいない…考え老け込んでいる六年生が一人。









脳内は自分の母親のことで9割方占めていた。
やはりあれだけのことがあったのだ、すぐに立ち直るという訳にはいかなかった。
むしろもう立ち直る力は溜まっていたが、周りの哀れむ眼が気になり、いつものテンションを出すことができないでいた。
自分のためだけではなく、母親のためにも、これからは生きていく。
そう決意したのは、あの夢のおかげだった。
彼も咲同様、あの夢を気にかけていた。
そして咲同様、昼休みに窓の外を眺めていた。
食欲も起こらない。
給食も食べ飽きたのはわかる…しかし食欲を食い止めている栓は、それだけではなかった。
別に母親の事ではない。
もうその件は、彼の中では解決済みだ。
それでは何が彼をこのようにしているのか。
ここもまた咲同様であった。
あの夢…。
全ての始まり。
いや、一度終わったのだ。
それは寿命といった意味ではなく、自分自身がという意味で。
生き方と言ってもいいだろう。
それまでの自分は悲しみに老け込んでいた。
しかし変わった。
今ではそれを糧にして生きようとしている。
そういうことだ。
あの夢が全てを良い方向に持って行っていると信じていたいものだ。
ただ一つ言える事は、皆が皆、幸せになることはできない。それは、彼の背中から立派に生えている漆黒の翼が語っていた。
昼休みの教室にバサバサと大きく羽ばたく黒翼。
誰も気づくことはない。
何せ力が無いのだから。
同志にしか見ることを許されない。
彼はこの力に偏見の眼は向けてはいなかった。
むしろ感謝しているくらいだ。
まるで禍々しい力だが、使い方次第では、この世界から悪を消滅させることができるかもしれない。
母親を殺した…あの運転手を捜し出せる。
そう考えていた。
そしてこの力を持っているのは自分達だけではないことも熟知していた。
彼が知っているのは四人。
自分と咲、そして名前は知らないが男性が一人。

しかし…もうひとりが見当たらない。
いや彼には解っていた。

彼の足はいつの間にか、体育館の床を踏んでいた。
彼は中央に向けて足を進めた。
ゆっくりとゆっくりと、何かを確認するかのように。
彼は大きな溜め息をついた。
そして何かを決意したかのように少し見上げ、軽く尋ねた。

亮「何の用?正直すごい驚いてるんだけど。」

何もない空中に……。

亮「俺はわかるぞ。そこにいるだろ。何でお前も使えるんだ。他にもいるのか?」

一体彼が何をしているのか全く解らなかった。
するとどうだろう、瘴気が眼前に現れたではないか。
空中に蛇状の瘴気が現れる。
彼をぐるっと廻っていく。
まるで餌を伺っている蛇のように…。そして空中に集まり人の形を作りだし始めた。徐々に脚から姿を現していった。彼は全て理解していた。
学び屋に入ってから体育館に入るまで…今までずっとついて来る気配。
気配とは言い過ぎかもしれない。
なぜなら、禍々しい漆黒の瘴気は常に視界に入っていたのだから気付かない筈がなかった。
そして今に至る。
体育館の中央空中には漆黒の霧が完全に人型に変化していた。









彼は眼を疑った。
黒霧野郎ぶっつぶすの勢いだったが、その容姿を見て逆転した。

彰「お…女の子っ?!」

可愛らしい長髪、茶髪の女の子…しかも…。

彰「は、裸っ?!」
彼は別に顔で性別を判断した訳ではない。
他で判別をしたのだ。そしてその部位を順々と見ていき、結果女の子だったという訳だ。
そう、上から下まで。
顔が遅れて赤くなる。
今までにない赤さ、熱さ。
口は開いたまま塞がらない。
これが唖然かとしみじみ感じている隙もなかった。
恥ずかしい気持ちは多量にあったが、眼は彼女の方を向けたままにしておくことにしておいた。
決して閉じなかった。
思春期の法律だ。

彼があたふたしていると、ついに彼女が口を開いた。

女の子「はぁー。何でこんな子をあっちに呼んだんだろ…。」

その綺麗な茶髪を右手で靡かせた。

女の子「私がこの子なの…あいつに任せればよかった。とりあえず聞いてね………」

そして少し意味深なことを喋り始め…ようとしたのだが。

亮「子っ?!?!子だと?!てめぇ何歳だっ!!名前何だ!!」

そこかよと言いたげな彼女。
しかし呆れ顔で最後に重要なことを言い放った。

女の子「私達はあなた達を殺しにきたの。」

亮「そんなことより何歳だっ!!」

亮の負けず嫌いがここにきてピークを向かえていた。たかが年齢で…。
すると、さっきまでの綺麗な茶髪がまるで怪物のようにうねり始めた。
彼女の苛立ちもピークをついにぶっちぎったのだ。

女の子「てめぇー!!桐越(きりこ) (かや)11歳じゃ糞ちびがぁー!!」亮の方が年上だ。

亮「俺の勝ちだぁー!!」

もう何が何なのか解らなくなってきてしまった。
口喧嘩?
痴話喧嘩?
もう何なのか…。
しかし、これだけは言える。
これは命懸けの戦い。この時すでに桐越は戦闘体勢に入っていた。
亮は足元に違和感を感じた。

亮「ジャリジャリ…?」

亮が気付いた時には、体育館は桐越のフィールドに変えられていた。

亮「何だこれ?!砂鉄…!いつの間に。」

本当に刹那の出来事だった。
足元には床が見えないくらいに砂鉄が敷き詰められていたのだ。

亮「マジでいつの間にだよ…!」

桐越「もう遅いから!早く死んでよ糞ちびっ!」桐越がそう叫ぶと床が揺れ始めた。
ギシギシと音をたてる天井。
ガタガタと揺れる窓。
亮には桐越の力を把握する時間など1ミクロンもなかった。

亮「意味が解らない!!」

すると天井がどんどん高くなっていくではないか。
亮に転機が飛び込んできた…と思われた。
これが桐越の力かと、分析しようとしていると、その彼女から罵声が飛んできた。

桐越「馬鹿じゃないの!糞ちびっ!あんたが沈んでんのよ!!」

そう言われて足元を見ると、もう足元と呼べるものは砂鉄に埋もれていた。
これが裸女の黒砂。
どんどん吸い込んでゆく。
すでに太股までない状態だった。









しかし亮は至って冷静だった。亮「おい。ちび女。」

桐越「なっ?!」

冷静かと思えば、次は亮が喧嘩を売り返した。

桐越「何よっ!!…まさか死ぬ前、最期の捨て台詞?面白いね君!」

亮「そうかもしれない…。とりあえず聞いとくけど…何で俺を?」

臍まで埋まっている男の質問。

桐越「…………そんなの言えないもんね!」

天真爛漫我が儘女子が答えた。

亮「じゃあ鷹とアリジゴクどっちが強いと思う?」

桐越「そんなの鷹に決まってんじゃん!馬鹿じゃないの!バーカバーカ!」

大笑いの女の子。
そして亮は小さく呟いた。
亮「じゃあ俺の勝ちだ…。」
桐越「え?何ー?」そう言うと首まで埋まった砂鉄から何かが出現しようとしていた。
押し上げられる砂…。
ゆっくりとゆっくりと…。

桐越「どういうこと…?」

すると亮の背後から大きな翼が砂を退け現れたではないか。
砂鉄を帯びて光る黒翼はまさに悪魔のようなものだった。
翼の出現と同時に、亮を埋めていた砂鉄は全て吹き飛ばされた。

桐越「聞いてないよ…!防御系の力って言ってたじゃん!あいつめ…。」

亮「あぁー…喧嘩慣れはしたくないんだけど。」

亮も準備が整った。
黒翼を目一杯広げ、あの時の感覚を思い出す。
威嚇するかのようにバサバサと羽ばたかせた。

亮「よしっ…やるかっ!」
評価
ポイントを選んで「評価する」ボタンを押してください。

▼この作品の書き方はどうでしたか?(文法・文章評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
▼物語(ストーリー)はどうでしたか?満足しましたか?(ストーリー評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
  ※評価するにはログインしてください。
ついったーで読了宣言!
ついったー
― 感想を書く ―
⇒感想一覧を見る
※感想を書く場合はログインしてください。
▼良い点
▼悪い点
▼一言

1項目の入力から送信できます。
感想を書く場合の注意事項を必ずお読みください。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。