変ワル日・変ワラナイ日
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この場所には、これから起こる非日常に関係する者の一人がいる。
そう、一人目だ。
表は平和を望み、裏では絶望を望む者。
希望という糸で絶望を編む。
希望という鉛筆で絶望を書く。
笑顔を振り撒き絶望を芽生えさせる。
簡単に言ってしまえば「偽善者」である。
そういう奴もいる。
そういう奴がここに一人いる。
学校のチャイムの音が透き通るように街路を縫い通ってゆく。
今日も学校が終わった。
放課後が始まったのだ。
あなたはこの「放課後」をどう捉えているだろう。
どう感じるだろう。
嬉しい、楽しみ、それとも退屈、苛立ち?
こんな静かな街にも放課はやってくる…いや、静かな街だからこそ退屈を感じている少年が今日も偽善を振り撒きながら、暇潰しという名の友達と下校の道を歩いていた。
友達「テストどうだったっ!」
暇潰しが話しをかけてきた。
こっちの気も知らないで…。
彰は簡単に返したかった。
彰「数学はできなかったな。今になってもっと勉強しとけばよかったって思うよ。」
丁寧に返した。
あくまでこれは自分のためだけではない。
喋る事以上にエネルギーを使うことはないと思っている。
他人にも気を遣っているつもりだ。
友達「俺もそれよくあるよ。やっぱり皆そうなんだな。」
本当に彰にとってはどうでもいい会話だった。
あげくのはてに裏が少しばかりでてしまうこともしばしばある。
彰「そうだね。」
適当に返す。
友達「そういえば最近話題の薬物事件。あれ犯人…………」
こういう時間が自宅に着くまでの20分間続く。
彰「そうだね…。」
また適当に返す。
何も聞いていないのに…。
彰にとっては地獄のような時間だ。
彰にとっては無駄なエネルギー消費行動だ。
彰にとってはどうでもいい時間だ。
彰にとっては……。
家に着いた。
正確には自宅のマンションのロビーに着いた。
今日も何もなくいつも通り着いてしまった。
本当につまらない人生だ…と痛切に感じていた。
まだ18歳の彰が思うには早いと思うが…。
しかしこのマンション、外観は中々のもので、二十階建ての高層マンションだ。
周りの建物と比べても月と鼈。
本当に鼈に申し訳ない気がするくらい豪華なのだ。
ロビーはホテルと間違えるくらいの豪華さ。
シャンデリアって…。
フロントって…。
警備員って…。
月に住んでいても憂と鬱はひたひたと歩き寄ってくる。
ほら…だんだん足音が…。
彰はロビーの監視カメラを見た。
よくある偽物カメラだ。
彰はこのカメラを見るといつも思う。彰(俺もこんな物なのか…?意味も無いのに存在するのか。俺がカメラだったら、自分で根を切って地面にたたき付けられ死ぬ道を選ぶのに。)
考えれば考える程、鬱の階段を登ってゆく。
その一段一段は小さいものですぐに鬱になってしまう。
とんとん拍子で登ってゆく。
嫌な性格だ。
憂鬱な状態で乗ったエレベーターは何か不思議な気分だった。
彰(墜ちればいいのに…。)
また始まった…相当考えこんでいる。
考えふけようと溜息をついた…。
彰「はぁ…」
その瞬間だった。
エレベーターが揺れた。
ガタッガタタッ
彰「うおっ!?」
驚いた。
静まるも何も自分一人なのだから五月蝿いはずはないのだが妙な静けさがあった。
喋ったら死んでしまうような…。
冷や汗のせいだけじゃない。
いつの間にかしゃがみ込んでいる自分がいた。
そこには恐怖を感じた自分がいた…。
本当の自分がいたのだった…。
鬱はやがて苛立ちに変わってゆく。
思い通りに事が進まなかった時…
侮辱、罵倒を浴びせられた時…
自分が思っていた自分が自分じゃなかった時の苛立ち。
苛立ち…苛立ち…苛立ち…。
エレベーターを出る頃には憂鬱が苛立ちへ豹変していた。
苛立ちの「い」の字も残っていない。
そして考える。
この想いを何処へぶつけようか…この想いをどう失くそうか…。
考えているといつの間にか玄関の前。
彰「はあぁ〜…。」
大きく溜息をついた。
溜息と共に苛もどこかへ行ったような…そんな気がしただけだった。
そうあってくれたら良かったのに。
ドアを開けようとキーホルダーをポッケから取り出し家の鍵を探した。
ジャラジャラジャラジャラと…ホルダーには10個もの鍵が付いている。
親が心配性なのか、何かあったらを考えて全ての鍵を彰に持たせていた。
彰(心配性なのか過保護なのか…。)
呆れながら鍵を挿しドアを開けようとすると…。
ドアが重い。
彰「なんだこれ!?ふざけんなっ!」
彰は今日一番の力を腕に注いだ。
彰「あぁぁあぁ!」
思い切りドアを開けると、足元でガザザガザガッと何かが滑る音がする。
まるで石ブロックが引きずられる音。
何かと思い足元を見ると、そこにはビデオ三つ分くらいの真っ黒の箱が置いてあった。
箱といっても段ボールといった軽い物ではない。
この艶からしてハードケースのような物だった。
彰「なんだこれ…?」
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