最終話:その後の出来事
俺は気がつくと……病院のベッドの上にいた。
他の皆が今何をしているのかは…俺は知らない。
皆は無事なんだろうか。
コンコン
ガチャ
「失礼します。」
俺が色々と考えていると看護婦さんが入ってきた。
「竜也くん。明日退院できるみたいよ。よかったね?」
「うん………。」
今の俺は退院したいという気持ちがほとんどない…
でも、皆がどうしているのか知りたい……。
俺は時々……あの時の恐ろしい出来事が夢と思ってしまう時がある。
実際にあの出来事で何人まの人達が死んでいるのに……新聞はおろか…テレビでも一切報道されていない。
俺はどうしたらいい……?
「竜也君……どうかした?」
「えっ!?あぁ……いや、なんでもない。」
「そう。明日は朝が少し早いから準備しててね。」
看護婦さんはそう言って部屋から出て行った。
退院したらまず…学校に行くべきだよな?
両親が俺の病室に制服を届けてくれている。
とりあえず……明日は朝が早いらしいからもう寝よう。
ジリリリリ!!
目覚ましの音で目が覚めた。
俺は洗面所に行き…身だしなみを整えて、制服を着て病室から退室した。
俺が病院から出ると……
そこには俺の高校の制服を着用している。
女子生徒がいた。
「あっ!?お〜〜い!竜也!こっちこっち。」
俺は女子生徒……いや、恵理菜に呼ばれてそっちに向かった。
「恵理菜?何してる?こんな朝早くに。」
「竜也を迎えに来ました。退院おめでと。」
恵理菜はそう言うと…下を向いてプルプル震えている。
何だ何だ?
「お…おい。どうし……」
「うわぁぁん!寂しかったよぉ〜。ずっと会いたかったんだよ?」
恵理菜が泣きながら俺に抱きついてきた。
「俺も恵理菜に会いたかった。心配させてゴメン。」
俺はそう言って恵理菜を抱きしめた。
「そろそろ学校に行かないと遅刻してしまう。行こう。」
「うん。」
俺達は学校に歩を進めた。
病院から学校は結構距離が近いのですぐに着くことができる。
俺と恵理菜は自分のクラスに入った。
「おっ??久しぶりだな。竜也よ元気にしてたか?ん?どうだった?」
そうハイテンションで言ってきたのは十弥だった。
「あぁ、いつも通りだ。見ての通りだろ?」
「へへっ。そうだな。」
「あっ!竜也じゃない。来てたんだー。」
そう俺に言って来たのは加織だった。
「うん。今…来たところだ。」
「あら?そうなんだ。恵理菜も一緒?」
「うん!そうだよ。」
変わらない……いつもと同じ雰囲気…この感じは変わらないのだな。
本当にあの事が夢のように思える……。
ガラガララ
「あ!!立花ー!!遅えよ。遅刻するぞ。」
「あ?相変わらずうるさい奴だなお前は……。ん?竜也…いたのか?元気そうだな。」
「あぁ、ついさっき来たところだ。」
「ねぇねぇ?皆で今から屋上に行かない?」
恵理菜が突然言いだした。
「おいおい!授業サボる気かよ?」
「うん。もちろん!どうせホームルーム何だしいいじゃん。」
確かに……退屈なホームルームを受けるんなら…屋上に行った方がいいな。
「よし。わかった。行こう。」
結局俺達は屋上に向かった。
「いやー屋上はやっぱり違うよな?気分が晴れるぜ。」
「ふん!タバコ吸っても見つからないしな。」
そう言って立花はタバコに火をつける。
「あのね……あの時の事なんだけど……。」
恵理菜がそう言った瞬間…皆が静まりかえった。
「あの時がどうしたの?」
「最後は立花君が何とか車を運転してあたし達をここに連れて来てくれたんだけど……」
そうか……立花が俺を病院に運んでくれたのか…
「変じゃない?何かが。」
「言われて見れば変かもな……俺が十弥の車に乗って自宅に帰ってニュースを見ても何一つ報道されていない。翌朝の新聞にもな。」
立花も俺と同じ事を考えていたのか。
「あぁ、立花の言う通り…俺もおかしいと思った。人がたくさんヤツに殺されても全然報道されないしな。」
十弥もか………
「俺から1つだけ言わせてくれ…今のこの状況を批判しても何一つ変わらないと思う。あの時の事を忘れろとは言わない。ただ……今を楽しんで生きるのが大事じゃあないのか?」
俺は思った事を言った。
皆が理解してくれるかどうかなんてわかりはしない。
「確かに…竜也の言う通り、今を楽しんで生きる方がいいと思うぜ。」
立花がタバコの火を消しながらそう言った。
「へへっそうだな。」
「過去を気にしても仕方がないもんね。」
「うん!そうだね。もうそろそろホームルームの時間が終わる頃だよ。」
どうやら皆…理解してくれたようだ。
俺は何だか重荷がふっと降ろされた感じがした。
俺はいつも通り…皆が笑っているこの状況さえ守れたらそれでいい……。
「よしっ。そろそろ教室に戻るとするか。」
俺達は屋上を後にした。
教室に戻って…俺達が担任に叱られたのは言うまでない……。
そして…久しぶりの退屈な授業が始まった。
やはりいつもと変わらず…退屈だ…。
俺は教室を見回した。
楽しそうにひそひそ二人で喋っている…加織と恵理菜
気持ち良さそうに居眠りをしている…十弥
机の上に足を乗せてぼーっとしている…立花
そして…他の生徒は大学受験に向けて必死に勉強している。
俺は教室を見回すの辞めて窓からグランドを眺める事にした。
心地よい風が俺を突き抜けていく。
その時!!!
背筋を凍らせるような感覚が俺を襲った。
俺はグランドを見回した。
「おい……嘘だろ?」
俺は窓から眺めている光景が信じる事が出来なかった。
「十弥!!立花!!加織!!恵理菜!!こっちに来て窓を見てみろ!」
俺は周りの目など気にせずにそう叫んだ。
「……!!?おい…冗談だろ?」
「死んだはずじゃあ……なかったのかよ?」
「何で……終わったはずじゃあ……。」
「もう……いやだよ…もうあんな目に会うのはイヤだよ!」
皆は目線の先に見えているものに落胆の気持ちと恐怖の気持ちがでてきた。
俺達の目線の先にいるものは……………
ヤツ……追跡者こと…
『スカーフェイス』だ!
ヤツは俺達の方を見ている……
ナタを鞘から抜いて。
「サァ…第二局面……開始ダ…今度ワ…ココニ……再ビ…オマエ…タチヲ…殺シニ…イク!!」
そう言ってヤツは笑い続けた。
今度ばかりは……俺もいや……俺達も助かる事はないな。
誰か助けてくれ!! |