世界の成り立ち
遥か昔、この大陸には多くの種族が暮らしていた。文化の違いや肌の色の違い、種族の違いから争いが絶えなかった。たくさんの血が流れた。その中には、女性や子供までいたという。
争いが絶えなかったある日。四人の若者がこの争いを終わらせた。
四人の若者はそれぞれの国を作った。
一人の若者は、この国に住む全ての国民に、公平かつ平等な暮らしを約束すると共に神の教えを行う、教公国を北の大地に。
一人の若者は、この国に住む全ての国民に、力こそが自分自身を守る手段であると帝国を西の大地に。
一人の若者は、この国に住む全ての国民に、平和と安寧を自由を約束された王国を南の大地に。
一人の若者は、この国に住む全ての国民に、それぞれの種族の国を作り一つの国に纏める連合国を東の大地に。
四人の若者は、それぞれの国の長として、決して国同士が争うことが無いようにと約束し、それに伴いこの日を神聖暦元年と定め、それぞれの国を建国する。
これが終わることのない争いの終わりと、新たなる時代の幕開けだった。
それから約二千年が経った。
様々な種族が共存・共生して暮らしていた。ある者は危険な大型のモンスターを討伐し、またある者は様々なモンスターの調査を行い、またまたある者は後進の指導をしている者たちがいた。しかし、そんな穏やかであり平和な日々は長くは続かない。
ある時、たった1頭の大型のモンスターが現れ、一つの村を滅ぼした。この件を受けて、四つの国は一つの協力体制として、ハンターとその支援を行うサポータを雇うギルドを各村に作ることを決めた。それに伴い、ギルドを統治・統括する組織が必要とされ、四つの国が交わる国境にギルド本部を設立する。
この1頭の大型のモンスターの討伐か捕獲、或いは撃退をするために、各国から精鋭のハンター四名とその支援を行うサポータ四名が派遣された。
その大型のモンスターがいるのは、人里離れた山霊と呼ばれる場所である。その場所は、周りを崖で囲まれ逃げる場所すらない。
そんな場所で、邂逅することになった大型のモンスターとは、互いに死力を尽くして戦うも痛み分けとなった。大型のモンスターは、左眼を失い胴に幾つかの傷を、ハンター四名とサポータ四名のうちハンターの一名が左目をもう一名が右腕を失う。
後に、ギルドはこの超大型のモンスターを禁忌種・ロウギュエルと名づけ、通称として"雷氷龍"とした。
それからと言うものの、多種多様な大型のモンスターが現れ始めた。
空を飛ぶ竜、飛竜種。海を主として活動する龍、海龍種。海を自由に動きまわる魚種。海と陸で生活する獣、海獣種。陸で生活する獣、獣種。陸を支配しその牙で捕らえた獲物は逃がさない獣、牙獣種。獰猛な獣であり竜、獣竜種。蛇のような見た目を持つ竜、蛇竜種。遥か昔から生息していて非常に危険な種族、古代種が存在する。これらは、人々に被害をもたらすだけでなく、放牧として飼われている草食種にも害をもたらす。
そして、それらの大型のモンスターを遥かに超える強さを持ち、人前に姿を現れすだけで天変地異が起こるとされるのが、禁忌種だ。並大抵のハンターが、この禁忌種に遭遇してしまった場合、決して背後を見せてはいけない。見せてしまった場合、全力で逃げることを考え、戦ってはいけないとギルドの規定として定められている。
禁忌種と戦うことが出来るのは、ギルドがS級ハンターと認めた者のみに定めた。そのS級ハンターですら仕留めるのは至難の業である。
そんな中で、人間の言葉を理解する種族である獣人種は、人と共に狩りに出かけたり、武器を作ったり、作物を作る事が出来る安全なモンスターと言えるだろう。
そして、遥かなる時を経て、ギルドが置かれている村の一つ、このオリベル村に一人の少女がハンターになるため向かっていた。