電気羊と温かい手 【二百文字小説】
前作『電気羊の夢』の続きとなります。
頬を殴られました。
もちろん、私は痛みを感じません。それどころか、殴ったマスターの方が痛いはずです。
それなのにマスターは何度も「バカ」と殴るのです。
痛くはありません。ですがその涙を見ると、どこかが痛むのです。
やはり私は故障しているのでしょうか。初期化すべきではないでしょうか。
そう訊くと、マスターは「帰ろう」とだけ言いました。
よく分かりません。
ですが、差し出されたその手の温かさだけは、理解できました。
これにて、完結。
二部作で合計四百文字小説になってるのは、気にしないでネ☆
【蛇足】
この二部作では、年齢・性別などを一切表現していません。
あなたの想像した『私とマスター』の関係が、正解です。