ティアラとその護衛騎士クレイズが突然、王宮からいなくなってライン城は大騒ぎになっていた。
その15日後に、国王宛てに隣国の王から一通の手紙が届けられた。
クロスザイード王国の国王、メルード・ファンレインはその手紙の内容を見て驚いた。
自国の皇子と隣国の皇女ティアラとの結婚を、自分は認めたから、和平を結びたいという事と、
ティアラが隣国の城へ行く途中で、何者かに襲われ、娘と一緒にいた護衛騎士クレイズが娘を逃がした後、襲ってきた30数名、全員を道連れにして亡くなったという事に。
メルードは皇女を心配していた者達に手紙の内容を話した。
皆、大人しいティアラが大胆な行動を起こした事に驚いていた。
隣国との和平と皇女ティアラ様の結婚。
皆、喜んだ。
隣国との戦争に緊張していたせいもあって尚更に。
クレイズの死を聞いても、城にいた者達は浮かれていたが、団長ガルドと騎士達は神妙な顔をしていた。
「…ガルド」
王が声を掛けた途端、ガルドは普通の表情に戻っていた。
「メルード様、皇女様のご結婚おめでとうございます。クレイズも喜んでいる事でしょう」
「………ああ」
…無理をしおって。本当は心の中で悲しんでいる事ぐらいわかっておる。…あれ以来、私の前で弱い姿を見せなくなった……寂しいものだな…。
王は皆が騒ぐ中、1人退出し、自分の部屋に入るとカギを閉めた。
―ゴホッ、ゴホッ、―
…最近、咳が止まらない。
―ゴホ、ゴホゴホッ―
…私の寿命はもうじき尽きるだろう…。
メルードは机にペンと紙を置いた。
椅子に座り、ペンを持つが空中で止まる。
…この手紙は書くべきじゃない。
だが…私が、皇子の頃にガルドと過ごした3年間はとても、楽しかった。
…そう、とても…。
『ねえ、ガルド。どうして、いつも僕を助けてくれるの?』
『知りたいですか?』
『うん!』
ガルドは真剣なメルードの表情を見て、フッと笑う。
『…そのうち、わかりますよ』
『…?』
ガルドとの昔の会話を思い出し、メルードはクスリと笑う。
王は手紙を書き始めた。
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