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数時間で書けた。
どうして書けたのかサッパリ分からん。
SCREW!
作:黒ぷりん


 
夕焼けに照らされた赤い絨毯のような道路を一歩一歩歩いていく。
家から駅まで一時間、電車に揺られ、さらに徒歩で一時間!
それを毎日往復する。

なんでこんな苦労をして会社に行くのか?

答えは簡単、家賃が安い!

実はタクシーとかで会社に行くと半分の時間で済んだりする。
自転車なんて持っていないし、そんな労力を使いたくない。
歩くよりかはマシだが、金が無い。

ああそうさ、俺はダメな人間なんだよ……

「せめてバイクとかあればなぁ……」
チンタラ歩いているうちに、不意にこぼれた一言。

『……!』
それが引き金かは分からないが、何かが囁いたように聞こえた。

「ん?」
キョロキョロあたりを見回しても誰もいない。

「……気のせい…か?」
疲れが溜まったようだ、有給を使うか?
部長に嫌味を言われるな。
そんな事を考えていた時だった。

コツン!っと俺のつま先に何か軽い物が当たった。

「なんだ?」
自身の影に遮られても分かった。
六角形の金属片を着込んだ棒状のパーツ……ネジだ。

「結構っというより新品だな、値札付いているし」
どこかの業者が落としたのだろうそのネジは、値札が付いたままこの夕焼けに染まったアスファルトに落ちていたのだ。

「とはいえここで会ったのも何かのご縁、今日は俺の家に泊まっていきなされってか?」
時代劇っぽく決めてみたが、言ってなんだが恥ずかしくなった。
ネジをポケットに詰め込むと一目散に我が家へ向かうことに決めた。


約三十分後……


「ただいまーって誰も居ないわな」
そりゃそうだ安アパートに独り暮らし、彼女は居ないし料理もできない。

「嗚呼…君が女の子だったらっ」
先ほどポケットにねじ込んだネジを取り出し呟く。虚しい……

「……ハァ飯にしよ」
ネジをちゃぶ台に放置し、お湯を沸かし、最近値段が上がってきている三分麺にお湯を注ぐ。

「これで最後の一つ、明日からなに食ったらいいんだ?」
未来をあまり考えない俺でも胃袋の事になると少しは考えようとする。

「まっ明日考えよう」
だが無駄な時間のようだった。


それから数時間、三分麺食ったりテレビ見たりして、布団に飛び込むのが面倒になったので、ちゃぶ台に突っ伏して寝た。


ところが、そこから日常とは脱線した状況に陥ってしまった。


『このラベルを取ってくださいっ!』
頭の中で、声が聞こえたのだ。

「うーん……なんだよもう」
ぼやける視界に映ったのはあのネジ、

「あれ? なんで光ってるん?」
正直、夢だと思った。

『お願いっラベルを!』
声の主がこのネジだと分かるのに数秒、

「ラベル〜?」
完全に夢の事だと思っていた俺は、迷うことなく値札を引きちぎった。

「ありがとう」
いきなり頭の中ではなく、耳に聞こえたと思ったら視界が光に包まれていく。

「ほんとに、ありがとう! これでお役に立てますっ!」
光のせいか輪郭だけは見えた。
それは、ショートカットの小柄な女性だった。







「……っっはっ」
気が付くと朝、俺は布団で寝ていた。

「なんだ夢か、少し残念」
恋愛ゲームとかやった事が無いのにすごい想像力だな俺。


「夢がどうかしましたか?」
「どおうおおぉおおぉおおおっ!?」
意味不明な言葉が口から吹き出す。
そりゃそうだ、目の前に夢の女の子が居るのだから。


「だだだ誰だよ君は!?」
先ほどからキョトーンとしている女の子に頭に浮かんだ言葉を発した。

「むっ…んしょ…ネジです!」
顔を俺の鼻先までズイッと寄せ、シュールな冗談を言う。

「なに言ってんだ、ネジはそこに……」

無かった。

「あれ、ネジは?」
「だから私だって」
彼女の髪に大きな六角形の物体が見えた。

「は? あれ? どゆこと?」

ますます混乱

「ねえ、それよりご飯作ったから一緒に食べよ?」
とりあえず彼女の意見に賛成することにした。




「美味い」
正直な感想だった。
無論、高速を通り越して音速で食っている。

「ありがとう」
そう言ってはにかむ彼女の表情は可愛かった。

「ふむ」

よし、だいぶ頭が冴えてきた。
目の前で幸せそうに飯を食っている少女はネジ、

夢の中で見た輪郭はショートカット。
目の前の彼女もまたショートカット、すこしウェーブ。

なぜか六角形の止め具はでかくなって右側の髪を少し束ねている。
所謂、横ポニー。

「んん? どうしたの?」
視線に気付いたのか、小首を傾げ尋ねる彼女、正直可愛いぜ……!

「い、いやその……そう、君の服って」
はぐらかしたが、俺はあの時眠った事を後悔する。

「ごめんね、この姿になったら裸だったの、だから……」
畜生っ!ロリコンじゃねえが、目に焼き付けておきたかったぜ。

「そうなんだ。」
だが俺はラッキーだった。
裸にワイシャツか……悪くない。

「そんなっ見つめないでくださいっ」
赤面、そして迫る拳!
鈍い音と鋭い激痛が顔面を襲った。

「ぶるあああ!」
衝撃は凄まじく、身体は弧を描き、鼻血を撒き散らし床に叩きつけられる。

「あっしまった」
暗転する意識の中、彼女の間抜けな声が聞こえてきた。


気が付いたのは夕方になってからだった。


天井の蛍光灯が眩しい。
後頭部にはなにやら軟らかいもの。

「あっ起きました?」
いきなり彼女の顔が飛び込んできた。

「ぬおっ!」
勢いよく起き、立ちくらみに襲われるが、自分の置かれていた状況よりかはましだ。

「あの、膝枕気に入りませんでした?」
心配そうに見つめる彼女は小動物のようだ。
いや……そのね、気に入るとかではないんだよ。

「寧ろ気持ちよかった、だから理性を抑えるのに必死だったんだ」
……来るか?

「……」
口元を手で覆い赤面している。

「おい? どったの?」
心配になり、少し髪に触れた瞬間、

「ひゃあ!」
今度は彼女が気絶する番だった。
てかやはり少女には刺激が強すぎたか?

気絶する彼女を尻目に黙考する俺だった。


「おーい、大丈夫か?」
なかなか目を覚まさないので、ペシペシと頬を叩いてみる。
ついでに布団かぶせた。

「んんっ」
よかった目が覚めたみたいだ。

「あっ私、気絶しちゃって」
なんで布団引き寄せるんだ?
俺なんもしてねぇよ?

「君は結局なにがしたいの?」
色々聞きたいことがあったが、とりあえず無難な質問をしてみる。

「私のパーツが集まるまで此処に住ませてくださいっ」
見た目は完璧な人間だった。
でも彼女には他にパーツが在るのだ。

「その間、身の回りのお世話はしますっ」
彼女が言っているのは、炊事、洗濯のことだろう。

「住むのはいいけど、食費とかがなぁー」
これは正直な意見である。
残念ながら俺が生活するだけで精一杯なのだ。

「あっそれなら大丈夫です」
彼女は何処からか取り出したのか、銀のアタッシュケースを取り出し、

「一億円入っています」
俺の前に札束を積んだ。

「それは君のだろ、君が食べる分だけ使ったらいい」
人間には欲望がある。
でもそれに忠実だと後々面倒な事になる。
彼女のように「期間限定」ならなおさらだ。

「欲しくないんですか?」

「そりゃ欲しいさ、でも君のお金だろ?」
俺の思いを感じ取ったのかは分からないが、ケースをゆっくりとしまった。

「…………」
なにかポツリと呟いた彼女、その表情には安堵と嬉さが見え隠れしていた。

「あっそういえば名前聞いてなかったな」
少し気まずくなった空気をかえる為に別の事を聞いてみた。

「今、私の名前はないの」
また重いな。

「うーん、いつまでも女の子を君とかお前とか呼べないんだけど」
なんか夫婦みたいだしっと心に付け加えておく。

「なら貴方が私の名前を付けて」
すがる様に見つめる彼女、

「まあ、しかたないか」
そう返事したのはいいが実はネーミングセンス最悪な俺。

悩みに悩んだ彼女の名前は実に単純な名前だった。


「よし! 決めた、君の名前は……」
その名前を告げたとき彼女は目をまん丸と見開き、しばらく考え込んでいた。


……が、


「貴方の必死になって考えた名前だから」
との理由で、気に入ったみたいだ。


「これから少しの間、よろしくねっご主人様!」
柔らかな笑顔を振りまく彼女はとても愛らしかった。
いやとゆうより、何故に格上げ?

「あっもうこんな時間」
惚けている俺を尻目に彼女は台所へと急いだ。

鼻歌とまな板の音が心地よく聞こえてくる。


いそいそと支度をする彼女の後姿を見ながら、俺は今後の事を考えていた。

「まっ何とかなるだろ」
無論、一瞬で考えるのをやめた。


今は彼女の音色を聞いていたい……そう思ったから。


「はい出来上がり!」
豪華な料理がちゃぶ台に置かれる。
彼女曰くこれは記念日だそうだ。

「よろしくな」
俺は遅れた言葉を乾杯と同時に言った。
そう、彼女……「ネジ子」との共同生活は始まったばかりなのだから。








to be continued....?


初めましてな方もそうでない方もはじめまして!
作者の黒ぷりんです。
恋愛小説なんて書かねぇよ……っとブログとかで言っていましたが残念ながら書いてしまいました(爆)
筆を適当に滑らせたらこんな小説になったのです。
本能に任せて書くとか野生児ですね。
とはいえ企画案はかなり前に書いていました。
もちろん面白半分に書いたので、小説になるとは思いませんでしたよ。
とりあえずこのお話は短編として投稿させていただきましたが、気分が乗りに乗ったとき、続きを書くかもしれません。
ですが、期待せずに別の恋愛小説を読むことを推奨します。
ではではまたどこかで……













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