第8話〜艦内探索1 2人の女性〜
「艦内を自由に動き回ってもいいって言われてもなぁ・・・。」
と、ぼそりと言うタイガ。
この大型船で済むための手続きを終わらせたタイガとティレクは、ただ意味もなく船内をぶらついていた。
前にも述べたように、この船の内部は正直とても広い。
ちょっとした小型マンションとして経営できるんじゃないかと思えるくらいである。
・・・・・とは言え、艦内にある部屋全部が人が暮らせる部屋ではなく、24時間経営しているコンビニや、ちょっとした休息として使えるティーラウンジ、食事が出来る食堂、話し合いの場として使えるピロティと呼ばれる場所や身体がなまらないように身体を鍛えることが出来るトレーニングルームやのんびり散歩が出来る公園・・・・・・・などがあるため、住める部屋は結構少ない。ほとんどがひとつの部屋を数人で使うようになっている。
「・・・・・ねぇ、これからどうするティレ・・・。」
ティレクと呼ぼうとしたとき、さっきまで隣にいたティレクが知らないうちに消えていた。
ちょうと通路の角を曲がったところから話し声が聞こえていた。
ティレクの声も混じっている・・・。
(まさか・・・。)
いやな予感がしながらもタイガはティレクの親友としての責任を少し感じているので、こっそりと通路の角からのぞき見する。
「まぁまぁ、これから俺様と一緒にあっま〜いひとときでも楽しもうぜ。」
「え、あ〜でも・・・。」
「急にそんなこと言われたって・・・。」
女2人をナンパするティレク。
ティレクの左手にはどこから用意したのかバラの花束が握られていた。
「そんなこと言わないでさぁ、俺様この船に来たばっかりで船のことよくわからないんだ。そして同じように、君たちのこともね。」
その台詞を言い終えた瞬間、ドゴォッ!!とティレクの腹に強烈なパンチが繰り出される。(通称;鉄拳制裁)
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
突然のことに全く対応できなかったティレクはその場に倒れこむ。
「すみませんね。うちの子が全く迷惑かけて・・・。」
まるで2児の母親のような口調でその場を無理やりごまかそうとするタイガ。
通路の角から高速でティレクは前方に回りこみ、その勢いを殺さないままパンチをくりだした青年の口からはとても出せないようなものである。
2人の女性がその衝撃(ティレクのナンパ&タイガの行動)に固まっている間に、タイガはティレクを荷物よろしく引きずってその場を去った。
「え〜っと・・・。ここがたしかピロティって場所か。」
ぶらぶらとして、行き着いた場祖はピロティだった。
大きく開けた場所で、大広間のような空間である。
このピロティを中心に12時方向、3時方向、6時方向、9時方向にそれぞれ通路があり、いわゆるこのピロティは、通路の分岐地点みたいなものだった。
「あれ、人がいるみたいだよ、ティレク・・・・・・・・・て。」
タイガのそばからティレクの姿がまたもや消えていた。
「やあ、お嬢さん。どうかこの俺様とベリーナイスな時間を楽しみましょ・・・・・グハァッ!!」
タイガが高速の鉄拳制裁をしようとしたところ、ティレクが大きく蹴り飛ばされた。
蹴り飛ばした張本人は、ティレクがナンパしてた女性だった。
「なによあんた。あたしはそんなに簡単に落ちないのよ。」
「すぐに落ちそうだけどね。」
「だ、黙っててください!!」
蹴り飛ばした張本人はもう1人近くにいる女性にそう言った。
女性はオレンジ色の髪の色をしており、年齢はぱっと見た感じ16歳程度。
服装は女性の髪の毛の色と同じようにオレンジ色系統のものだった。
そして近くにいたもう1人の女性は、髪の色が赤色で、女性の割にはあまり髪の毛を伸ばしておらずサッパリした髪型だった。
「す、すみません。」
その2人の前に初めから頭下がりっぱなしのタイガ。
どいつもこいつもティレクのせいである。
「あんたがこいつのしつけ人?」
(しつけ人って・・・。)
年齢的にはティレクのほうがお兄さんなのだが、精神年齢的にはタイガのほうが上なのかもしれない。
「ねぇ、どうなの?」
ややつめよるオレンジ髪の少女。
「どうって言われても・・・・・僕はティレクの親友だけど。」
「・・・・・・・ん?ひょっとしてあんたたち、セルリアが言ってた人かい?」
ふと気づいたように赤髪の女性はタイガに尋ねた。ちなみにティレクは蹴り飛ばされた後、案の定気絶していた。
「あ、はい。流浪剣士のタイガ・ウナバラです。そして、あそこでのびてるのがティレク・アーカイト。ナンパ癖をどうにかしてほしいと切実に思っている僕の親友です。」
「なんだ。あんたたちだったのか。この船で見かけないやつかと思ったら・・・。」
そう言うと、オレンジ髪の少女は少し間を置くと・・・
「まぁ今回のことは多めに見てあげるわ。」
「は、はい。ありがとうございます。え〜っと・・・。」
「ん?・・・・・ああ、あたしの名前?あたしはミラージュ・オーラント。よろしく。」
「じゃあ、アタシも自己紹介したほうがいいかねぇ。アタシはシャープ・エージェンシー。よろしく、タイガ。」
「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします。」
そう言うとタイガは一礼をする。
「へぇ〜。あの変態と違って真面目そうねぇ〜。」
「え・・・あ、ありがとうございます。」
たしかに真面目なタイガなのだが、学力的に言えば蹴り飛ばされてのびている変態男のほうが圧倒的に上である。
真面目=学力上というわけではなさそうだ。
「ところでアンタたちは何やってたのさ。」
と、シャープ。
「実は、この船の中を散策していたといいますか・・・その・・・。」
「あぁ、なるほど。広すぎてどこがどこだがわからないんだね。」
「え、あ、はい。そうです。よくわかりましたね。」
シャープの鋭い洞察力に感心するタイガ。
「まぁ、この船は広いからねぇ。わからないのも無理ないさ。」
「じゃあシャープさん、こうしましょうよ。あたしたちがこいつらに船の説明をするって言うのは。」
「いいねぇ。ちょうど暇だったし、あんたらがよかったらアタシらが艦内を説明してあげるよ。」
「いいんですか?」
「オーケー、オーケー。そうと決まれば善は急げって言うし早速出発しましょ!」
「はい、わかりました。」
タイガはそう言うと、のびてるティレクを引きずって2人に艦内の説明をしてもらうことにした。 |