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LEGEND『伝説』【輪廻の出会い】
作:なかたく



第78話〜衝動の理由〜


「―――――タイガの家は、人殺しを仕事としていたんだ。」


……………。


一同の頭が真っ白になる。
理由は簡単だ。ティレクの言った言葉のせいだ。
「………は、ははは……。ちょっとあんた、冗談きついわよ。」
と、ミラ―ジュ。
ちなみに対ジン戦で受けた傷はウィズに癒してもらっていた。
同様にジンも癒してもらっている。
「冗談よりもタチの悪い現実は、いくらでもあると俺様は思うけどな。」
それを聞くとミラ―ジュは黙ってしまう。
たしかにそうだった。
ましてや今はそのタチの悪い現実が実際に起きているのだから………。
「……………ティレクさん。続けて下さい。」
「ああ、そうだな。―――――タイガは人殺しの家庭で生まれ育ったやつだ。それは、長くからのやつの親友である俺様が一番よく知っている。ちなみに言うと俺様たちの故郷はとある小さな村なんだ。タイガは初めのころは俺様にいろいろと愚痴をこぼしていた。内容は『どうして他人を殺さないといけないのか?』って感じのものが大半だった。幼いころから……俺様が知っている限りでは5歳くらいの時にはすでにあいつは剣を握っていたな。5歳の子供がだぞ?竹刀とか木刀とか、そんなレベルじゃなくていきなり真剣を5歳の子供が握っているんだぞ?―――――5歳から小学1年生になるまでは俺様はそれっきりタイガに俺様の親からも、タイガの親からも会わせてもらえなかった。」
……………。
「―――――そしてあいつが小学1年生のとき、やっと俺様はタイガに会えた。だけど、正直あのときのあいつは俺様の知っているタイガじゃなかったな。―――一言で言えば、常に周りに殺気を漂わせて、触れれば斬れる剣のようになっちまってやがった。変わっちまってた。小学1年生のときですでにあいつは『殺人鬼』になっちまってたんだよ。」
……………。
「それで意を決して俺様はあいつに聞いた。『俺様と出会わなかった間、何をしていたのか?』ってな。―――――するとあいつは口元に笑みを浮かべながらこう答えた。


―――数人ほど人間を斬った。


………正直俺様は信じられなかった。だけど、あのときのあいつを見れば本当の話だということが嫌でもわかった。『殺人鬼』になっていた。そのあとタイガのやつは、俺様に聞きたくも無い詳しい話を聞かせた。初の自分に与えられた仕事だって。仕事だから、人を殺したってな。」
……………。
「そしてあいつが10歳になったとき、俺様はタイガにこう尋ねたんだ。『他人を殺して楽しいか?』ってな。するとあいつは『楽しい。』と言ったんだ。そう言ったから俺様はさらにこう質問した。『殺しの対象が仲間であってもか?』。―――するとタイガは考えたそぶりをしてから『確かめる。』って言ったんだ。」
……………。
「そしてその翌朝俺様はタイガに出会ったんだ。……普通じゃない出会いかたでな。―――タイガの衣服は血で染まっていたんだ。ただ、その血はタイガのものじゃなかった。当然ながら俺様は『どうしたんだ?』って声をかけるとタイガは『……楽しくなかった。』って言った。俺様はその意味が最初わからなかった。そしてそのあとタイガが『殺しの対象が仲間であってもか?ってティレクが質問したから試したけど、楽しくなかった。』って言ったとき、やっと意味がわかった。―――そのあと俺様はタイガの家に向かった。そこにあったのは…………………………家族の死体。無論、タイガのだ。」
……………。
「俺様は責任を感じた。どうしてあんな質問をしたんだろうってな。あんな質問をしていなかったら、タイガが自分の手で家族を殺すことなんて無かっただろうにってな。―――――その出来事があってから、タイガは俺様が住んでいた村から追放された。ほとんど島流しみたいなものだ。10歳の子供を村を追放するなんて。―――――それからのタイガの選択肢は、そのまま餓死するか、それとも『殺人鬼』として生きていくか、それしかないって俺様はわかった。―――あいつが1人のままでは。」
……………。
「そして俺様は、1人のままではその2つしか道がなくとも、手助けしてやれるやつが近くにいたらそれ以外に道が増えるかもしれないって思ったんだ。だからあいつが村を追放されるとき、俺様はあいつと共に行動をすることにした。―――――あいつの可能性を広げるため、そしてあいつの居場所を見つけるためにな。」
……………。
「たぶん、今のタイガはそのときの感覚が衝動でよみがえってしまったんだと思う。追放されてしばらくの間はしょっちゅうそんなことがあったけど、最近はなりを潜めていたからな。俺様自身、もう大丈夫だとおもったんだけど、まだだったようだ。」
……………。
「タイガは悪いやつじゃないんだ、ホントはな。ただ、生まれた場所が偶然人殺しの家庭で、そこでの生き方を叩き込まれただけだから、それを取り除けばタイガはホントにいいやつなんだよ。」
「わかってるよ。そんなことはさ。」
突然、部屋の入り口から声が聞こえたかと思うと、そこにはシャ―プとラピスの姿があった。
「2人とも、無事だったの?」
と、ミラ―ジュ。
「ああ。それより、さっきまでの話、全部聞かせてもらったよ。―――なにやらたいへんなことになっているようだねぇ。」
「ティレク。」
ラピスはティレクを呼ぶ。
「なんだ?」
「さっきからぐだぐだと言ってたけどな、おれたちは過去のタイガなんてどうでもいいんだよ。」
そのラピスの言葉に、一同は頷いた。もっともセシルとジンは頷かなかったが。
「おめぇがどう言おうがな、おれたちが知って初めに出会っているのは『殺人鬼』のタイガじゃなくて『善人』のタイガなんだからな。」
「そういうこと。―――わかったらさっさとタイガを助けないとね。」
と、シャ―プ。
さきほどシャ―プはタイガを『助ける』と言った。『倒す』ではなく。
それは純粋に『仲間』としてタイガを元に戻したいという気持ちの表れでもあった。
………もう、タイガの居場所は見つかっていた。
宇宙を漂流し、救助されたそのときから―――――。
あとは本人を元に戻すだけ―――――。
「よし、タイガを助けに行くぞッ!!」
「「「「おうッ!!」」」」
一同の声が重なる。しかし、やはりそのときもノリの悪いセシルとジンの声は重なっていなかった。

―――最後の戦いが始まる。












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