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LEGEND『伝説』【輪廻の出会い】
作:なかたく



第76話〜槍対槍〜


ウィズはセルリアを引き連れてひたすら螺旋階段を下りていく。
セルリアはと言うと、未だにタイガの変貌ぶりが信じられないのか放心状態である。
だが、ウィズにはかまってあげる暇が無かった。とにかく1秒でも早く仲間を引き連れてルシアを援護する必要があったからだ。
何とか間に合わせようと螺旋階段を下り続けるウィズ。―――放心状態のセルリアと一緒に。











「いやぁ〜。やるねぇ〜ティレク。」
「おまえもな。『人斬りセシル』。」
お互いの得物である槍が、何度も何度も交差する。
そのたびに火花が飛ぶ。決定的と言えそうな一撃は2人とも出ていない。
ただ、互いに切り傷が身体中に付けられていた。
服を裂き、服の先にある肉を裂き、―――骨まではいかないような傷。
そのような傷が、互いの頬、肩、手首、胸部、腹部、脚……………場所という場所にそれはあった。
そこから生きているモノの証である血が流れ出ている。
赤い色から紅い色まで………いろんなアカ色の血が………。
「てやッ!」
セシルがティレクに向かって鋭い突きを放つ。狙うは腹部。最も狙いやすい場所だ。
そして、狙いやすいわりには致命傷になりかねない場所でもある。
それをティレクは瞬時に見切り、とっさに突きの軌道上から身体を逸らせる。
だが、それをセシルは突きから薙ぎ払いに攻撃方法を変える。
「なッ。」
気づいたときにはすでに遅い。
ティレクの腹部に見事な『一』の字が描かれた。
そこから一気に鮮血が流れ出る。
「………ぐ…うぅぅ…。」
激痛にその場に跪くティレク。
「どう?わかったかいティレク。君がいかに優れた槍使いだとしてもだ。この僕に勝てるわけが無いのさ。僕は『人斬りセシル』。人を斬るのが専門なんだからね、僕は。」
セシルの槍の刃先がティレクに向けられ、とどめをさそうとするそんなときだった。
「ちょっとまったああああああああああああぁぁぁぁぁッッ!!!」
血生臭い戦場と化した場所に、(ばかでかい)女性の声が響き渡る。
その言葉に耳を貸したのか、セシルはティレクにとどめをさそうとするのをやめた。
「ウィズかい?」
「そうそう♪セシル君だいせいか〜い♪」
あいかわらずテンションが明るいウィズ。戦場には似合わない。
そして、その傍らにはセルリア。
「!!おまえ、セルリアに何をした!!」
セルリアを見るや否や、ウィズにそう問うティレク。
自分の傷のことを忘れてしまっているかのようだ。
「まあまあ、ちょっと落ち着いて。え〜っと………前なんかあったことあるような―――」
「ティレクだって。ウィズ。」
「そうそう。ティレク君。とにかく落ち着いて。頼むからさぁ。」
「落ち着いてられるかッ!!セルリアに何をしたかって聞いているッ!!」
食ってかかりそうな態度のティレク。
「だからちょっと落ち着いて―――。」
「俺様は質問しているんだぞッ!!」
それを聞いて、ウィズは、はぁ…とため息ひとつ。そしてトコトコとティレクに近づくと―――
「落ち着けって言っているだろうがああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!」
ティレクをアッパ―カットで打ち上げる。
華麗なまでに宙を舞うティレク。その華麗さは放心状態だったセルリアの意識を復活させ、おまけに口をあんぐりさせるほどだ。
そのまま重力に従ったまま地面にたたきつけられる。
着地はほめられたものではない。
「ち、ちょっとウィズさあぁ〜んッ!!」
「ん?なにセルリアちゃん。」
「なにやってるんですかッ!!」
「鉄拳制裁。」
「……………私の仲間なんですけど。」
「仲間の中にも鉄拳制裁は必要だよ、セルリアちゃん。」
「とどめをさしてしまったようにも思えますけど。」
「へ?」
ウィズはティレクを見る。

―――――ピクリともしてない。まるで人形のようだ。―――――

そんなテロップが出てきてもおかしくない状態。
それを見てウィズはセルリアにこう言う。
「セルリアちゃん。―――仲間との別れはいつかは訪れるんだよ。」
「ごまかさないでくださいッッ!!」

とりあえずこの後、ウィズはティレクに治癒魔術をし、かろうじて命をとどめさせることに成功したのだった。












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