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LEGEND『伝説』【輪廻の出会い】
作:なかたく



第74話〜殺人鬼〜


「タイガ……さん。」
倒れた身体を少し起こしてセルリアが言った言葉だ。
「タイガ、どうしたんだい?」
ルシアがタイガに問う。
「獲物がいっぱいだ―――――。」
その言葉を聞いて、ルシアはタイガに身構える。腰にぶら下げていた鞘から剣を抜いて……。
それと同時に、タイガはルシアに斬りつける。
ほぼ一瞬。さきほどまで大扉の前にいた青年が、一足飛びでルシアの目の前まで迫ったのだ。
かろうじて受け止めたルシア。そのまま力比べになる。
「ど…どうしたのさ。……………タイガ。」
「どうもしない。ただ、欲求を満たそうと思っただけだ。」
そう言うと、タイガはルシアを弾き飛ばす。
「つッ!」
大きく飛ばされるルシア。飛ばされた後、再び構えるルシア。
「欲求って…。」
「僕の……タイガ・ウナバラの『殺人鬼』としての欲求さ。550年来に会うルシアさん、わかるかい?」
「!!タイガ…キミ、記憶が戻ったのか?」
「まぁね。『殺人鬼』としての欲求を満たそうと思ったら、記憶が戻ったみたいだ。一種のショック療法かな?善人としてタイガ・ウナバラは生きたかったみたいだけど、なんだかんだ言っても『殺人鬼』の家庭で生まれてきた人間はやっぱり『殺人鬼』なんだって思ってね。善人になるのをやめたのさ。」
「………。」
久しぶりに出会ったタイガ。だが、セルリアの知っているタイガとは違いすぎていた。
目の前にいるのは、ひたすらに血に飢え、生き物を殺すことを自らの糧としている『殺人鬼』。タイガのうちに秘めていた『殺人鬼』としての人格がよみがえっているもの……………。
だが、セルリアの知っているタイガは、こんな血生臭い人間ではない。
誰にも優しくて、真面目で、必死に仲間を守ろうとする人間……。
それはセルリアから見て決して偽善ではなかった。立派に善人。
「タイガッ!!―――いや、ヴァインッ!!記憶が戻ったのなら知っているだろ?ボクたちが殺し合いをする暇はないってことをッ!!」
「『崩壊戦争』よりも大きな戦いが近い将来始まるってやつだろ?―――いいじゃない。たくさんの人が死ぬなんて。人が死ぬ分だけ僕は快感を覚えることができるしね。たくさんの鮮血、散らばる肉片、そして死に際に人間が上げる断末魔が戦場に響き渡る……………最高じゃないか。人間が理性を捨て、ライオンやトラのように野生の本能のままに殺し合うなんて。」
セルリアは信じたくなかった。
タイガの口から、そんな殺し合いが最高だなんて発言を聞く羽目になるなんて。
「ヴァイン。…本気で言ってるのかい?」
「当然だ。細かいことを言うと僕の人格はヴァインじゃないけどね。」
その言葉を聞くと、ルシアはウィズを呼び、すぐ傍まで来させる。
「なんですか?ルシアちゃん。」
「ウィズ。一時この場からあのセルリアという人と一緒に逃げてくれないか?」
「ルシアちゃんは?」
「時間稼ぎをする。こいつは危険だ。」
そう言うとルシアはタイガを睨む。
だがタイガはその睨みを何とも思っていないようだ。
「暇があったら、下で戦っている人たちを呼んできてくれると助かる。」
「―――――うん。わかったよ。……………死なないでね。」
「簡単には死なないよ。」
それを聞いて満足したのか、ウィズはこくりと頷くとセルリアの傍まで駆け寄る。
セルリアは放心状態で床に座りきっていた。
「セルリアちゃん。一時戦場離脱だよ。」
それだけ言うとウィズはセルリアの有無も聞かずに大広間から出て行った。
「―――獲物が減っちまったな。」
「大丈夫さ。ボクはキミの言う得物100人分にはなるはずだからさ。」
「そうか。―――――それじゃあ、殺し合おう。」












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