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LEGEND『伝説』【輪廻の出会い】
作:なかたく



第69話〜『死』の恐怖〜


「「はあぁぁぁぁぁッ!!」」
シャ―プとジ―クフリ―ト、2人の声が重なる。
そして同時に剣の刃と刃が交じり合うときに響く金属音。
そのまま力で押し合う。
「―――――こっのッ!」
「……………。」
うなるシャ―プ。一方、沈黙したままでうなり声ひとつ出さないジ―クフリ―ト。
沈黙でシャ―プにプレッシャ―を与えているようにも思えるだけではなく、おまえと私の実力はこれほどに差があるのだ。と言っているようだった。
そして力勝負は徐々に結果が見え始める。
―――――シャープが押されていた。
単純にいえば腕力である。ましてやシャ―プは女性。
鍛えも男性よりは筋力の発達がやや遅いのが仇となっていた。
そして、ジ―クフリ―トは剣を大きく振るうと、シャ―プはの拍子で体勢が崩れてしまう。
やばい…と思ったときにはすでに手遅れだった。
ジ―クフリ―トが情け容赦なしにシャ―プをちょうど胸部と腹部の境目を真横に斬りつけた。
「――――――――――ッッ!!!」
声にならない悲鳴を上げるシャ―プ。
そして左手で斬られた部分を押さえるシャ―プ。だが、そんなものでは血は止まらない。
蛇口をひねると水が出るように、斬られた部分から血が流れ出している。
左手も血で染まる。短い時間のうちに――――――――――。
かろうじて心臓という人体のエンジンとも言えるモノにあ傷ひとつ付かなかった。
―――――わざと外したのか。
シャ―プにはすぐにわかった。
相手を『殺す』気で戦っているやつが、一番手っ取り早く相手を『殺せる』心臓を狙わなかったのだ。
心臓じゃなかったら首筋を狙うだろうが、ジ―クフリ―トは狙う気はないと気配でシャ―プにはわかった。
「―――――アンタ、アタシを『殺す』気で戦ってるんじゃないのかい?」
「ああ。そうだとも。」
「だったらなんで急所を狙わない?」
「『死』の恐怖を、おまえは味わうべきだ。」
―――――なるほど。
ついそう思ってしまうシャ―プ。
ようするに、急所を狙えば相手はほぼ一撃で『殺せる』が、その代わりに相手に『死』の恐怖を体感させることができない。なにせ一瞬で相手を『殺せる』のだから……………。
そうではなくジ―クフリ―トは、相手を痛めつけるだけ痛めつけて、しだいに近づいてくる『死』の恐怖を体感させた後、『殺す』気でいるのだ。

―――――ふ。

1人シャ―プは口元を緩ませる。それは決して、自虐的な笑みではなかった。
むしろ逆だ。相手をあざけ笑っているのだ。
そして傷口を押さえるのを止めて、ジ―クフリ―トと真正面から向き合う。

―――――『死』の恐怖を味わうべきだと?……ふざけるなよ。

アタシはもう飽きてんだよ。『死』の境界線に行くのはよ。

モノホンの戦争でアタシは戦ったんだ。『死』の恐怖なんてそのときに味わったし、なによりもう飽きてんだよ。

アタシはもう飽きたから、今度はおまえに体感させてやるよ。

一度も『死』の恐怖を味わったことのない……

アタシの戦いの友……

ジ―クフリ―ト……………。


少しばかり、ジ―クフリ―トは背筋が凍ったような感覚を覚える。
殺気だった。それも、さきほどまでの殺気とは比べ物にならないほどの…。
目の前には1人の戦友、シャ―プ。
「ジ―ク。」
「なんだ?」
「―――――『死』の恐怖を体感させてやるよ。」
刹那の間だった。ジ―クフリ―トの視界が赤く染まる。
赤く、紅く、あかく、アカク………………。
その紅いものからは鉄の臭い。なにが起きたかジ―クフリ―トにはわかるまい。
自分の身体がズタズタに、紙がはさみで切られるようにズタズタに……………。
そのまま仰向けに倒れるジ―クフリ―ト。

―――――ふ。

今度はジ―クフリ―トが笑みを浮かべる。

―――――『死』の恐怖を体感させてやると言ったわりには、できなかったなぁ。あまりにも一瞬で。

ジ―クフリ―トはまぶたを閉じる。
それが、最期にジ―クフリ―トの思ったことだった。












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