第65話〜通信での会話〜
現在『ラグナエ―ス』はタイガがいる塔より200メ―トルほど離れた場所で着陸している。
下手に近づきすぎると攻撃されるかもとカイルが思ったからだ。その意見にみんなも賛成している。
辺りは砂嵐でほとんど見えない。ときどき塔の影が見えるくらいだ。
ちなみに主要メンバ―はブリッジにいる
「こんな状況じゃあ下手に外に出れねぇな。」
。ボソリとぼやくラピス。敵の本拠地らしいものが目の前にあるのに、攻め込むことができないので少し苛立っていた。
「待つしかないねぇ。それにまだ敵と決まったわけじゃないし。人が住んでいるかも疑わしいよ。」
そんなことをシャープが言い終わると同時に…
「艦長ッ!」
「ん?どうした?」
オペレ―タ―がカイルを呼ぶ。
「通信です。発信源はあの塔の中からです。」
「………さて、相手は人違いか、それとも敵か…。」
そう言いながら、カイルはオペレ―タ―に通信をつなげるように指示する。
「モニタ―に映せ。」
「はい。」
通信をつなげモニタ―に映ったのは―――――
「やぁ。『ラグナエ―ス』のみんな。遠方からはるばる来てくれてごくろうさま。」
銀色の髪の少女。
「あ、ボクの名前はルシア。」
「わざわざ自己紹介ごくろうさま。オレは『ラグナエ―ス』艦長。カイル・クロ―ドだ。」
「ふ〜ん。―――――キミたち、タイガを追ってここまで来たんでしょ?」
「―――てことは。」
「うん。ここにタイガは居るよ。」
「タイガさんは無事なんですか?」
ルシアの言葉を聞いて、言葉を荒げながら質問するセルリア。
「安心しなよ。タイガはボクにとって大切な人だ。傷ひとつ付けてはいないよ。」
その言葉を聞いて、とりあえずホッと一息ついたセルリア。
「質問させてもらう。タイガをなぜ連れて行った?」
あくまでも普通に質問するカイル。相手に対する怒りを殺して…。
「さっきも言ったとおり、タイガはボクにとって大切な人だからさ。」
「どういう意味だ?もっと詳しく言ってくれないか?」
「―――――長年からボクと同じ立場の人間だからさ。もっとも本人はすっかり忘れてしまっているようだけどね。」
「同じ立場の人間ってどういうことだ?」
「……………。」
モニタ―上に映るルシアは少し考えてからこう言った。
「単刀直入に言うと、ボクとタイガは『英雄』なのさ。」
「英雄?」
「理解できていないようだね。なら、説明してあげるよ。――――――――――今から550年前、この惑星『カムラン』で『崩壊戦争』が終戦したことは知っているよね?」
その質問にカイルたちは頷く。
「その『崩壊戦争』の後、2人の英雄が現れた。」
「……………まさか。」
「そう。英雄ヴァインとルシア。その英雄ルシアとはボクのことさ。そして、キミたちだけに言っておくけど、タイガは英雄ヴァインの生まれ変わりだ。」
「なッ―――――」
カイルだけじゃなく、ブリッジにいた全員が驚く。当然だろう。
「で、でも歴史ではヴァインとルシアは相打ちになったって―――――」
「はっきり言えば、あれは嘘だ。」
おそろしいほどシンプルな答え。
「歴史改変さ。おそらくキミたちは学校の教科書とかで勉強したんだろうけど、歴史改変なんてざらにあるよ。それにこれは当時を生きていた本人が言っているんだ。うやむやな教科書に書かれているものより、当時を生きてきた本人に聞いたほうが確実な歴史だろう?」
「―――――仮にそうだとして、ルシア。君はどうしてそんなに長く生きられる?」
「それはボクが『エルフ』だからさ。」
「『エルフ』って、あの……。」
「そう。ファンタジ―小説や伝説や神話とかに登場する種族のことさ。――――――――――キミたちの言いたいことはわかるよ。だけど事実さ。『エルフ』は存在する。」
………………………………………。
しばらく静寂がブリッジを包み込む。
「―――――質問は以上かい?」
「まだあるよ。英雄ヴァインの生まれ変わりがタイガなんだろ?だったら、そのタイガに何の用があって連れて行ったんだ?」
「協力して欲しいからさ。」
「何に?」
「……………悪い言い方をすると、人殺しかな。」
……………。
どうせならもっと控えて言って欲しいものだとかいるは思う。
「だけど、これはこの世界を存続させるために大切な試練さ。」
「どういうことだ?」
「言ってもわからないだろうからこれ以上は言わないさ。ただ、世界の存続にかかわることに、タイガ……………いや、英雄ヴァインに協力してもらうのさ。」
「…………………………それで、肝心のタイガはそれを承諾しているのか?」
「まだ迷ってるね。けど、『NO』とは言ってないよ。」
「そうか…。なら、タイガを返してもらう。」
「………………………………………。やっぱり、そう来ると思ってたよ。それじゃあ、キミたちは今夜に攻め込むんでしょ?なら、たっぷりと歓迎してあげるよ。」
ルシアはそう言うと、通信を切るのだった。
―――――今夜、最後の戦いが始まる。 |