第64話〜避けられないもの〜
―――――僕は7年前、自分の家を出た。
家に居続けると、ホンモノの殺人鬼になりそうな気がして……………
いや、もうすでに殺人鬼だ……………
今でも疼く、その感覚……………
今までは近くに仲間がいたから、なんとかそれに耐えられていた。
ただ、今回は殺人鬼としてだけではない、何か別のものも表に出ようとしていた気が―――――
「タイガくんッ!」
甲高い女性の声でタイガはうっすらとまぶたを開けた。
タイガが初めに見たのは、魔女ウィズの見下ろす顔だった。
なにやら心配そうな表情をしている。
「……………。」
「よかったぁ。目を覚ましたんだ。」
ウィズはそう言うとタイガを見下ろすのを止め、ホッと一息つく。
タイガは自室のベッドにいた。
だけどタイガは、さきほどまで外にいたはず―――――――
「……………なんで、僕はここに?」
「タイガくん。私が外でちょっと気分転換しようと出てみたら倒れてるからびっくりしたよ。」
「倒れて……………。」
―――ああ、あれか。頭痛と同時に変な声が聞こえ始めたあの……………。
僕は知っている。ときどき、昔の自分に戻りそうになり、声が聞こえることが。
他の誰でもない。自分の声が自分の頭で響く。
―――だけど、今回のは少し違っていた。
それと一緒に、何か別の声も聞こえたような……………。
「タイガくん?」
考え込んでいるタイガを見て、ウィズは声をかける。
「え?…あ、ごめんね、ウィズ。なんだか迷惑かけちゃって………。」
「ああ、うん。私は別にかまわないけど―――――。」
他に何か言いたそうなウィズ。
「僕なら大丈夫。僕にかまわないで自分のやりたいことをしてきなよ。」
「ああ、うん。それじゃあね。」
ウィズはそう言うとタイガの部屋から退室した。
それからしばらくすると、今度はルシアがタイガの部屋に入ってきた。
「ルシア?どうしたの?」
「気絶していたようだね、タイガ。」
「まぁね。」
事実なのだから否定はできないと思ったのか、タイガは単刀直入にかつごまかすような返答は避けた。
「それで、僕に何か用があってここまできたんじゃないの?」
「まぁん。キミにとっては、喜ぶべき状況か、それともそれとは逆か…。」
タイガは首をかしげる。そんなことを言われただけじゃ何か見当がつかなかった。
「…なんなの?それって。」
「……………。」
ルシアは少し間をおいて、こう言った。
「『ラグナエ―ス』が、惑星『カムラン』に近づいている。」
「なッ。」
「おそらくキミを追ってだろうね。始めに言っておくけど、やつらが攻撃を仕掛けてきたらこちらも全力でやつらを倒させてもらうよ。」
言いたいことだけ言って、ルシアは退室した。
……………。
戦いは避けられないのか………。
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