第61話〜揺れるタイガ〜
「それで、相談って何?」
「…………………タイガくんはさ、『エルフ』のことをどう思う?」
「?」
唐突に言われて返答に困るタイガ。
「どう思うって…何も思わないけど。」
心底から思っていることを言うタイガ。
タイガにとって、相手が人間だろうが『エルフ』だろうがどうでもいいことである。
「ホントに?」
「うん。」
そう言うと、タイガは残りの紅茶を飲み干した。
それを見てウィズは
「どうするタイガくん。」
「なにが?」
「いや。紅茶をまだ飲むか飲まないのか。」
「え〜っと…。」
正直タイガは、自室として用意された部屋に行っても特にやることなんてない。
やることがなくそのまま食っちゃ寝みたいな行動をするよりもウィズと会話をしていたほうがいくらか暇つぶしになる。
「―――うん。じゃあお願いしようかな。」
「りょ〜か〜い♪じゃ、まっててね♪」
ウィズはタイガのティ―カップを台所まで持っていった。
……………。
なんだろう。この感覚は……。
一秒でも早くこいつらのもとを離れたいという気持ちが徐々に薄れ始めている………。
なんだか、自分の思っているような場所ではなかった。てっきり自分はここで殺されるんだと思っていた。仲間にするとは口だけで…。
そして自分を殺した後、邪魔な『ラグナエ―ス』の人たちを殺すのだと。
けど、違っていた。
少なくとも、ルシアとウィズは自分に危害を加える気はないとわかる。
特にウィズはこうして僕と会話までしてくる。
『仲間』と僕を認識して…。
なら、僕はどうしたらいいんだろう。
『ラグナエ―ス』の人たちは僕のことを『仲間』として受け入れてくれている。
けど、ルシアたちも僕のことを『仲間』として受け入れてくれている。
そして僕は今迷い始めている…。
ここに初めてきたときは『ラグナエ―ス』に帰りたいと思っていた。
だけど、ここにいる人たちも心底から悪い人じゃないとウィズと会話していてわかった。
別段悪い人たちと戦う必要なんてあるのだろうか。
ルシアは「『ラグナエ―ス』の人たちと自分たちの敵は同じかもしれない。」と言っていた。
なら、共に手を取り合って共通の敵を倒すことはできないのか。
……………できれば戦いたくない。
「はいは〜い♪タイガく〜ん♪紅茶持って来たよ〜……って、あれれ?タイガくん、やけに変な顔になってるよ。」
「へ?」
ウィズに言葉をかけられ考え事を止めるタイガ。
よほど悩んでいるような顔をしていたのだろうかとウィズに言われて思うタイガ。
だけどこの悩みは、とても大切なことだ。
人が死ぬか死なないかがかかっている悩みだ。
タイガは揺れる。 |