第60話〜タイガとウィズの会話2〜
「人間じゃないって…どういう意味?」
「どういう意味も何も、そのまんまの意味だけど。」
たしかに…。
それではとタイガは言い方を変える。
「じゃあ、人間じゃなかったらいったい何なのさ?」
「……………。」
少し間をおいて少し冷めた紅茶を一服するウィズ。
そして言った。
「『エルフ』って知ってるかな?」
「『エルフ』?」
少しだけ聞いたことがある。
『エルフ』はかつて生きていた伝説上の生き物だと…。
そう。あくまで伝説。実在するとは聞いたことがない。
「で、でも『エルフ』って伝説上の生き物なんじゃ―――」
「いやいや。実際こうして君の目の前にいるじゃないの♪魔女ウィズ様がね♪」
たしかに見た目こそは魔女…というか『エルフ』だ。
『エルフ』の典型的過ぎるほどの人より長いとんがった耳。肌が漆黒でもなく褐色でもないところを見ると『ダ―クエルフ』ではないようだ。
ただ、『エルフ』の典型的な例として長くとんがった耳とだけでなく、細身の身体と切れ長の目もあるのだが、切れ長の目のほうはウィズには当てはまらない。むしろその逆かもしれない。
つぶらな瞳…といったところか。
細身の身体のほうはというと、服を着ているので正直わからないがおそらくそうなんだろうと想像がつく。
タイガは前回戦ったときに吹っ飛ばしたわけだが、そのときウィズはあっけないほどに簡単に飛ばされたのだから…。
「『エルフ』は実在するよ。最も、自然の中で暮らす種族だから人目に付かないだけだよ。また、『エルフ』の集落付近には結界が張ってあるからね。それでなおさら見つからないんだよ。結果として、人間たちの間では『エルフは伝説上の生き物』となったわけ。」
「へぇ〜。」
おもわずそう口から出てしまうタイガ。
エルフは賢明だと聞くが、その点でもウィズは当てはまるだろう。
「…てことは、ルシアも『エルフ』なのかい?」
「せいか〜い♪『エルフ』はすごく長い寿命だからね。おまけに見た目に全く老いがこない。ある程度、成長すると10〜25歳くらいの若さで見た目はほとんど変わらなくなるよ。それで死期が迫り始めたら老人みたいになるんだよ。」
「へぇ〜。…てことはウィズもルシアも若いほうなんだ。」
『エルフ』のなかでは…。と言う部分はあえて言わない。
ということはルシアは見た目こそ15歳ほどだが、550年前から生きているってウィズは言っていたから実際の年齢は…。
「じゃあルシアの歳って550…。」
ドゴオオォォォォォォォン
ウィズからの強烈なストレ―トパンチが炸裂。そのまま、見事にぶっ飛ぶタイガ。
「なにすんのさッ!」
「女の子の年齢を口に出そうとするなんてタイガくんサイテ―ッ!」
「……。」
こういう考えは人間も『エルフ』も変わらないのか。
「…すみません。」
もと座っていたソファ―に座り、とりあえずあやまるタイガ。
「よしよし。いい子いい子〜♪」
(僕は子ども扱いかよ。)
「ま、私はタイガ君が思っているほど生きてないけどね〜。」
「……。」
歳を聞くとまたぶっ飛ばされるだろう。
口で言わない代わりに目で言う。
「私は15歳だよ♪」
わかったのか自分の年齢を言うウィズ。
15歳って…。自分と2歳しか変わらない。
ルシアもパッと見た感じ15歳だったが、年齢は軽く500オ―バ―。それで15歳の若さを保っている…。
『エルフ』の血は偉大だ。女性の方々はさぞ『エルフ』がうらやましいと思うだろう。
「…それでさ、タイガくん。ちょっと私の相談に乗ってほしいんだけど……………。」
「相談?」
ウィズの表情はどこか違っていた。
なんていうか……真剣。
もとよりこのためにタイガを呼んだんだろう。…というか強引に連れてきたのだろう。
「うん。僕でよかったら、相談に乗るけど。」
ウィズは自分に『頼みがある。』と言っていた。
おそらく頼みとは『相談』のことなのだろう。
それ抜きでも、困っている人をほうっておけない性格のタイガは、ウィズの相談に乗ることにしたのだった。 |