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LEGEND『伝説』【輪廻の出会い】
作:なかたく



第57話〜少女の決意〜


一方こちらは、惑星『スレイミア』の首都『グリーンヴェル』で一夜を過ごした『ラグナエース』。
一夜過ごしたことで、カイルたちはひとつわかったことがある。

―――――タイガに何かあったということ。

結局一夜過ごしてもタイガは『ラグナエース』に戻ってこない。
そう考えるしかないだろう。
(まったくどうしたもんかねぇ…。)
『ラグナエース』内の通路を歩きながらつい思ってしまうシャープ。
シャープは朝食を食べた後、セルリアの部屋へと向かおうとしていた。
『ラグナエース』に戻ってきてから全く出会っていない。
中からわずかに聞こえる言葉から、原因はタイガがらみということはわかっている。
もっとも、その肝心のタイガはここにはいないのだが…。

ピンポーン

セルリアの部屋の前に来ると手始めに部屋のチャイムを鳴らす。

…………………………。

返答なし。
出てくる気配もなし。
ただ、部屋には鍵がかかっていないようだった。
「……………入らせてもらうよ、セルリア。」
そう言うと返答を聞かずにセルリアの部屋に入るシャープ。
「…………………………あ、シャープさん。」
ベッドで寝ていたセルリアは、そう言うと起き上がった。
ひどく元気がない様子…。
「単刀直入に聞かせてもらうけどさ。どうしたんだい?」
「……………。」
その質問を聞くとセルリアはややうつむいてしまった。
「……………タイガのことかい?」
ピクリとセルリアの肩が動いた。
図星のようである。
「タイガのやつ、昨日から全く戻ってきてないんだけど…何かあったのかい?」
「……………さようならって。」
「え?」
あまりに小さい声だったのでシャープには聞こえなかった。
いや、それとも自分の身体が無意識に聞かないようにしたのか……………。
「さようならって…ウナバラさんに言われて………。」
「…どうしてだい?」
とてもじゃないけど信じられない。
「昨日、爆発音がありましたよね?………その元凶の人たちにウナバラさん、『仲間になれ。』って言われたらしくて……。」
声はやはり小さくて弱々しい。
「…けど、なんでタイガはそんなやつらの仲間に……。」
「仲間にならないと、私たちに被害が出すって言われたらしくて…それで……………。」
小さくて弱々しい声がやや涙まじりの声になった。
ああ、なるほど……………。あのバカのことだ。
仲間に被害を出したくないと思ってやつらの仲間になったのだろう。
特にタイガは、その想いが強い。
「どこに言ったのか、わかるのかい?」
「わかりません。『さようなら。』って言われて……それだけでしたから……………。」
やっぱりタイガのやつが教えるわけないか…。
だけど、だからといってこのままほうっておくわけにはいかない。
「探すよ、セルリア。タイガをね。」
「無理ですよ。場所さえわからないんですから。」
「そりゃそうだけど、このまま見捨てる気かい?」
「違いますッ!けど―――――。」
そう言いかけたとき、セルリアの部屋の扉が開いた。
そこにいたのは―――――
「ラピスッ!?なんでこんなところに?」
「あんなところでのんびり寝てられるかッ!そんなことより……………。」
ラピスは病院から勝手に抜け出し、ここまでやってきた。
傷口は、ラピスの超人的な回復能力のおかげで見た感じではふさがっているようだ。
そんなラピスは入ってくるなりセルリアの傍まで近づく。
「おめぇ、タイガを探さねぇのか?」
「探したいですけど……………場所が……………。」
「場所なんてしらみつぶしに探せばいいだろ。それに、だいたいの場所がおれには想像がついてんだよ。」
「でも…。」
「でももクソもねぇよッ!!だいたい、タイガに直接別れを告げられたのはおめぇだけじゃねぇかッ!!おれたちはそれすらなしにあいつと別れちまったんだぞッ!!」
「!!」
言われてみれば確かに……………。
「つらいのはおまえだけじゃねぇんだ。直接別れを告げられなかったおれたちもつらいんだッ!それくらいわかりやがれッ!!」
そうだ………。
私はまだマシなほうだ。
他のみんなは、『さようなら』すら言われていないのだから………。
「聞かせてもらうぜ、セルリアさんよぉ。おめぇはタイガにもう一度会いたいか?」
「………はい。」
セルリアは涙を堪えきれなかった。
だから涙声になってそう言った。無論、瞳からも涙を流して……………。
「私…もう一度タイガさんに……………会いたいです。」
それは、少女の本心であり、決意だった。
『さようなら』と言われても、やっぱり別れたくないものは別れたくない。
そしてその言葉に、ラピスとシャープは満足するのだった。




















余談だが、セルリアがタイガのことを『ウナバラさん』から『タイガさん』に変わっていたことに気づいたのは、その数十秒後である。












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