第50話〜さようなら。そして・・・〜
現在、セルリアは『グリーンヴェル』内を迷走していた。
なにせ町中を動き回るのはこれが初めてだからだ。
(あぁ。スピルさんも連れてきた方が心強かったです・・・。)
1人だと心細い。
何も知らない町中では、その心細さもなおいっそう強まる。おまけに今セルリアは裏通りにいた。
・・・・・と、そんなとき。
「セルリアッ!」
少女の名前を呼ぶ声。
そこには、少女がよく知っている青年、『タイガ・ウナバラ』がいた。
「ウナバラさん!」
セルリアが寄ろうとしたが、途中でそれを止める。
なぜなら、タイガがどこか悲しげな顔をしていたからだ。
「・・・・・・・。」
「ウナバラ・・・・・さん?」
セルリアの名前を呼んでから、まったく何も話さないタイガ。
「ウナバラさん。どうかしたんですか?」
「セルリア。・・・・・君に、言わないといけないことがあるんだ。」
「?」
何だかわからなかった。
だが、タイガの表情を見ればだいたいいやなことを言われることくらいはわかった。
タイガは必死に隠そうとしているようだが、少女にはわかってしまう。
「・・・・・悪い・・・知らせですか?」
単刀直入にセルリアは問う。
「半分はね。もう半分は・・・・・僕にはわからない。」
半分はわかった。
だが、もう半分のほうは全く見当がつかない。
「・・・・・どちらから言ってほしい?」
「それでは・・・・・・・悪い知らせから、お願いします。」
「・・・・・さようなら。」
一瞬、何を言われたかわからなかった。
あまりにも唐突過ぎて。
「あの・・・もう一度、言ってくれませんか?」
「さようなら。」
同じフレーズ。聞き間違いではなかった。
「どうして・・・・・ですか?」
「・・・・・爆発音が聞こえたでしょ?その元凶である人たちに、『仲間になれ』って言われて・・・・・それで。」
「どうしてですかッ!!どうしてそんな人たちの仲間になるんですかッ!!」
セルリアが叫ぶ。それを見てタイガは驚いた。当然だろう。
普段温厚な彼女が、こうして激昂しているのだから。
「最初はもちろん断ったよ。だけど・・・・・仲間にならないと、君たちに被害が出すって言われて・・・。」
要するに、タイガは仲間を盾にされたのだ。
「でも・・・。だからって・・・・・。」
「僕があいつらのところに行っても、僕を取り戻そうなんて思わないでよ。」
「どうしてッ!?」
普段の温厚さが本当に嘘のようだ。
裏通りに響くセルリアの声・・・。
「僕を取り戻そうとすると・・・・・あいつらが君たちを殺してしまうから。現にラピスも・・・・・。」
「ラピスさんが、どうかしたんですか?」
「僕が一度誘いを否定したから、ラピスを瀕死の重傷を・・・。今は、病院に送られたはずなんだけど。」
病院となると、カイル、ゴルドー、ティレクがいる場所だ。
「だから・・・・・もう我慢ならないんだ。これ以上、君たちに被害を出すわけには行かない。」
セルリアは言葉が出せなかった。
自分がもしタイガの立場なら、同じ行動をしていただろうから。
「・・・・・それじゃあ、もうひとつの知らせは何ですか?」
「・・・・・・・もう会えないだろうから、言わないといけないことがある。」
そのときだけ、タイガは柔らかなやさしい表情を出しながら・・・・・
そして言った。
「君が好きだ。」 |