第46話〜王女の・・・〜
「おいッ!ラピスッ!!」
「ついてくんなタイガ!!」
町の中をひたすら適当に走り続けるラピス。それを追うタイガ。
城を飛び出してからすでに30分ほど経っており、その間ずっとこの2人は走り続けていた。
ちなみにミラージュは途中でダウン。
そのミラージュを『ラグナエース』へ連れて行くためにシャープもラピスを追いかけるのを止めた。
表通りを駆け抜け、建物と建物の間から裏通りへと行き、とにかくタイガを撒こうと必死のラピス。
だが、全く撒かれないように追いかけるタイガ。
「ハァ・・・ハァ・・・。し・・・しつけ―ぞッ!!」
「しつこくて結構だよッ!!」
「女に嫌われるタイプだなッ!!・・・・・だッ。」
足を躓き、派手にすっころぶラピス。
本気で走ってただけに、見事といえるほどのヘッドスライディングである。
「うえッ、土が口に入っちまったよ。」
起き上がろうとすると、ラピスの目の前にタイガが立っていた。
それを見上げるラピス。
「・・・・・やっと、追いつい・・・たぁ。」
ゼェハァと息を肩でしながら言うタイガ。
身体からは汗が出ており、タイガは額から出てくる汗を手で拭う。
そこまで必死だったのだろうか。
たかだか仲間1人のために、30分間追いかけることができるのかこの男は。
「・・・・・ラピスって・・・この惑星の・・・王女だったんだね。」
「・・・・・あぁ。まあな。」
走るのをあきらめたのか、逃げる様子もなくその場に立ち上がる。
「なんで・・・家から逃げたのさ。」
「・・・・・嫌だったからさ。」
「嫌?」
「ああ。あのクソ親父は自分の惑星しか頭に入ってねぇ。そのせいでこの惑星『スレイミア』の軌道上にある衛星が貧しさで大変だってのに、あのクソ親父は何にも対処とかしねぇのさ。だからおれは、城を出て、その衛星を少しでも豊かにするために外で働いた。」
うんうんと、タイガが頷く。
「だけど、所詮子供の仕事なんてたかが決まってんだろ?とてもじゃないけど、仕事の稼ぎだけじゃその衛星を救えないと思ってな・・・。」
「・・・・・それで盗賊になって、盗んだものでその衛星を救おうとしたのか。」
「まぁな。」
なるほど。これがラピスの盗賊になった理由。
私欲のためではなく、ひとつの衛星を貧しさから救うためにした行動であり選択。
だけど・・・。
「だけどラピス。他人のものを盗むなんて、やっぱりダメだ。その衛星の人が貧しさで苦しんでいるように、盗まれた人たちだって、盗まれたことで苦しんでいるかもしれないじゃないか。」
「わかってるさッ、そんなことくらいおれにだってッ!だけど、あのクソ親父がどうにも動こうとしねぇんなら、おれが動くしかねぇだろッ!他人が頼れねぇなら、自分を頼るしかねぇだろッ!!」
うつむきながらラピスが叫ぶ。その叫びは、裏通りに響いた。
タイガしか聞くものがいないというのに・・・。
「・・・・・だけど、今は僕たちがいる。」
はっとした表情でうつむいた顔を上げる。
「昔は自分ひとりだったとしても、今は僕たちがいるだろ。仲間なんだから・・・・・もう少し頼ってくれていいんだよ。」
そう優しく言葉を言うタイガ。
仲間・・・・・今までラピスにとって、そんなものお飾りかと思っていた。
だけど・・・・・・・。
「・・・・・・ッ・・・ゥゥ・・・。」
「ラ、ラピス?ないて・・・・・。」
「うっせ―――――――ッッ!!おれは・・・・・おれはなぁ・・・ッ!!・・・・・・・汗が目に入っただけだッ!!!」
そう大声で言うと、ラピスはタイガから顔をそむけ、再び顔をうつむけるのだった。
うつむいてわからないが、顔からは水が落ちていた。
汗なのか、・・・・・それとも。
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