第27話〜セルリア奪還戦13 知人同士の戦い〜
ガキンッ、キンッとただっ広い岩石砂漠で、金属音が響き渡っていた。
互いに刃と刃を交差させ、金属音を響かせる。
「おりゃぁッ!!」
シャープがジークフリートに剣を振り下ろす。が、難なく受け止められる。
「・・・・・ふんッ。」
ジークフリートは交差している剣を力づくで振り払い、シャープとの距離を強引に広がせる。
飛ばされてややひるみ気味のシャープに、容赦ない一撃を加えようとするがシャープは体勢を瞬時に立て直すとその攻撃を真正面から受け止めた。
「ほう。腕を上げたな、シャープ。」
「アンタこそ、悔しいけど腕を上げてるねェ。」
短く互いに言葉を交わすと再び互いの間合いを大きく広げる。
「零圧剣ッ!!」
間合いをとると同時にジークフリートは冷気をまとった衝撃波をシャープめがけて放つ。
「はあぁッッ!!!」
シャープは剣を一度、バットを持つように構えると野球ボールを打つように、衝撃波を雲散霧消させる。
その刹那、ジークフリートはシャープとの間合いを一気につめる。
衝撃波は注意を引き付けるためのおとりだったのだ。
ジークフリートは剣を下部から斬り上げる。
「くッ。」
とっさに反応し、回避しようとしたシャープだが、左腕を斬られる。
さらに一撃。
「がぁッ。」
さらに。
ズバァッ
さらに。
ズシャァッ
「ぐああぁぁぁぁぁッ!!!」
最初の一撃でひるんだシャープに容赦なくジークフリートは連続で斬りこんだ。
そしてさらに。
キィン・・・
もう一撃攻撃しようとしたが、シャープは4度目の攻撃は受け止めた。
「・・・4度目の正直ってね。」
「・・・・・普通は3度目だがな。」
ジークフリートは受け止められると一度シャープと間合いを置く。
その間にシャープはよろよろと立ち上がる。
左腕1ヶ所、腹部に交差で斬りつけられ計2ヶ所。
その傷跡からは絶え間なく紅く、そしてやや黒い血が流れ出ていた。
よほど深く斬りつけられているようである。
並の鍛え方をしている人間なら、ここで立ち上がることは不可能だろう。
(さぁて、これからどうしようかねぇ。)
シャープは考える。
せめて一撃でもいい。一撃でもくらわせてやりたいと思っていた。
だが、その一撃でさえやつは攻撃を許さない。
「・・・・・これで終わらせてやろう。」
低く、重い声がシャープの耳に入る。
やつにどうやって一撃を与えるかという考え。シャープがあの短い時間で考えたのはひとつ。
そして、それをする絶好の機会が訪れようとしていた。
やつが攻撃した直後に一気に間合いをつめ、体勢が取れていないジークフリートに一撃を与える。
うまくいったら次は2撃目、3撃目・・・。
「終わらせることができるんならやってみな。」
「・・・わかった。」
シャープの挑発っぽい言葉にうまくのったジークフリート。
ジークフリートは剣の刃に魔力で冷気を集中的に発生させる。
「氷龍剣ッ!!」
冷気を集中させた後、ジークフリートはそれを龍の形にし氷の龍をシャープめがけて放った。
(今だッ!!)
シャープは一気に距離をつめる。
氷の龍はそんなシャープに向かって攻撃をしに来るがシャープはおかまいなしだ。
とにかく今がチャンス。そのためなら、腕の一本くらい氷付けにされてもかまわないと思っているのであろう。
案の定、ジークフリートは隙だらけだった。
氷の龍を放つ際、大振りだったので当然であろう。
そんなジークフリートにシャープは渾身の一撃を与える。
ズバァッ
紙がはさみで切られるように、ジークフリートの背中は豪快に斬られた。
「・・・・・。」
悲鳴や苦痛の一言も漏らさなかったが、ジークフリートの表情は苦悶によって歪んでいた。
(さらに一撃ッ!!)
もう一撃背中を斬りつけようとするが、2撃目は与えなかった。
瞬時に振り返り、シャープの一撃を受け止めるジークフリート。
「なッ・・・。」
2撃目を与えることができず、シャープは一度距離を置く。そして、剣を構える。
だがジークフリートはそのシャープの姿を一度見ると、剣を鞘に収めた。
「???」
その行動に、思わずシャープは頭の中が『?』になる。
「なんのつもりだい?」
「別に。もう先へ行ってもかまわんぞ。」
「はぁ!?」
驚きを隠せないシャープ。
このまま戦い続ければ確実にジークフリートの勝ちだろうに。
「早く行け。私の気が変わらないうちにな。」
そう言うジークフリートに、シャープはとりあえず従うことにする。
そして、タイガたちのもとへと急ぐ。 |