第26話〜セルリア奪還戦12 2つの戦い〜
「アンタたちは早く『スペース・フォース』とセルリアを取り返してきな。ここはアタシが引き受ける。」
シャープは剣を構えたままタイガたちに言った。
「でもシャープさん。知り合いなのかどうかはわかりませんけど、あいつはたぶん手加減はしませんよ。」
ミラージュは、気配でわかっていた。
相手は例え知り合いだろうと仕事なら容赦なく殺す。そんな冷酷な男なのだと。
だが、それはシャープ自身が一番良く知っていることである。
まだタイガたちには話していないが、自分とジークは知り合いだと。そして、知り合いであるからこそ、はっきりと言えることだと。
「手加減なんて、戦場には無用さ。・・・・・さあ、早くいきな。」
タイガは、シャープが本気だと言うことがわかると、他を引き連れて『スペース・フォース』とセルリアを取り戻しにいく。
敵が自分の横を通るが、微動だにしないジークフリート。
行くなら行けと思っているのだろうか。
やがて、タイガたちの姿が見えなくなる。
「・・・・・話してないのか?おまえが私の知り合いだと言うことを。」
「ああ。会うこともないだろうと思ってたからね。・・・・・しかしまぁなんだ。こんな感じの再会なんて本当にあるんだねぇ。偶然とは恐ろしい。」
間。
そして、ジークフリートは剣を抜く。
「・・・・・本気かい?」
「さあな。」
ジークフリートの言葉を聞き終えると同時にシャープは大地を蹴る。
戦闘開始の合図であった。
「いや〜、らくしょーらくしょー♪ま、私だから当然か。」
余裕を表面に全開している魔女風の少女。
少女の目指す目的地まであと少しである。
「まてえぇぇぇぇぇッ!!」
遠くから声が聞こえたので後ろを見る魔女風の少女。
そこには、ジークフリートが足止めしているはずの人たちがいた。
「げッ!?マジ?もう追ってきた!」
手下たちに早く運ぶように指示を出すが、いくらなんでも限度があった。
なにせ鉄の塊をワイヤーで、しかも綱引きの要領で引っ張っているのだから。
このご時勢、なんとも原始的であった。
やがて、完全に追いつかれる。
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・。さぁ、おとなしく返してもらうよ。」
ここまで猛スピードで走ってきたのか、息切れしているタイガ。
後に続くように息を切らして他の3人が到着する。
「うわぁ〜。ホントに追いつかれちゃったよ〜。」
「今なら危害は加えない。おとなしく返してくれれば。」
半ば脅しだとわかっているタイガであったが、そうでもしないとわたさないだろう。
「にゃははははははッ!私を脅しても無駄だよ。これはもう私のものなんだから。」
タイガの脅しに笑ってみせる魔女風の少女。
「キミのものじゃなくて、元は僕たちのものなんだ。」
「いいや。違うよ。私のものは私のもの。私が一回でも手を触れたものも私のもの。よって元キミたちのこの機体とこの子は、私が一回手を触れたから私のもの〜♪」
恐ろしいほどに自分勝手なジャイアニズムを言う魔女風の少女。
「いや、僕たちのだ。」
「いや、私のもの。」
「僕たちのだ。」
「私の。」
「僕たち。」
「私。」
「ぼ。」
「わ。」
「。」
「。」
最後は略しすぎて何が何だかわからないことを言っていたタイガと魔女風の少女。
というか、言い合いがもはや子供の物の奪い合いに似ていた。
大人に近い人たちが情けない。
「タイガ、今はそんな低次元な言い合いをしている場合じゃないでしょッ!」
「そうだぜ、タイガッ!」
女2人に言われ、一度冷静になるタイガ。
「と、とにかく。痛い目を見たくなければ返してよ!」
「ヤダ。」
2文字で簡潔に言われ、タイガはついに剣を抜く。
普段温厚なのだが、今は早いとこ返してもらってシャープの援護をしないといけないと言う考えが、タイガを動かしていた。
「ふっふっふ。この私と戦うの?」
「素直に渡してくれないならね。」
タイガの目は据わっていた。
「にゃっはっはっはっは・・・。よかろう。このウィズ様が相手をしてあげよう。」
相手をまるで小バカにするような口調で、魔女風の少女ウィズは戦いの火蓋を切った。 |