第23話〜セルリア奪還戦9 スライム撃退作戦〜
「くらえッ!爆裂斬ッ!!」
タイガは得物である剣に魔力を込めて、スライムに大きく振りかかった。
ズバアァッと景気よくスライムは斬れて、通路にゼリー状の物体が飛び散った。人で例えるなら・・・・・・・いや、けっこうグロテスクなのでやめておこう。
「やったか?」
「いや、たぶん無理だろうな。」
そのラピスの言葉の理由はすぐにわかった。
飛び散ったゼリー状の物体は、一度散乱すると再び元の1つのゼリー状の物体に戻ったからだ。
「ならこれでどうだいッ!!」
シャープは腰にかけていた拳銃を構えると、
「連射ぁぁぁぁぁッ!!」
バンバンバンバンバンバンバンバン・・・・・・・
とにかく弾切れになるまで撃ちつづける。
だが、スライムには効果なし。ゼリー状の身体の中にはシャープが撃った銃弾が空しくふよふよと浮いていた。
「なら俺様の攻撃はどうだッ!!」
3番手ティレク。
「くらいやがれッ!疾槍突ッ!!」
スライムとの間合いが広すぎるにもかかわらず、ティレクは槍を構えると刹那の間にスライムとの間合いをつめ、加速を保ったまま突きを放つ。
ドッゴオオォォォンと、車が壁に激突したみたいな音と一緒に、スライムは大きくぶっ飛ばされてゼリー状の物体を飛び散らせる。
が、これも効果なし。再び元の姿(と言っても合体するだけ)に戻るスライム。
「ダメか・・・。」
「次はミラージュ。アンタの番だよ!」
とシャープが振り返るが、元いた場所にミラージュはいなかった。
そしてそこにはこんな置き手紙。
『あんな見た感じでわかるヌルヌルしてそうなやつと戦えません。タイガ、シャープさん、ラピス、・・・・・ついでに色魔男、がんばってね♪』
・・・・・・・逃げ。
ついでに言うとミラージュは格闘術で戦う。のだが、相手はスライム。
剣や槍や拳銃や短剣と違って、もろに相手と接触しないといけないのでなおさら逃げたくなったのだろう。
「・・・・・・・あとで懲らしめないとね。」
ボソリと呟いたシャープの手には・・・・・拳銃。
それにしてもいつの間にこんな置き手紙を書いたのだろうか・・・。
そんな疑問を抱くタイガだが、そんな場合ではない。
「それにしてもどうすんだよ、この魔物。」
さっきからスライムの攻撃をかわしているラピスが言った。ちなみに、ティレクも。
というか、スライムが攻撃しているのを見たのはタイガたち初めてである。
ゼリー状の身体の一部を伸ばして、鞭のようにして攻撃するのがこのスライムの攻撃方法だった。
・・・・・と、説明している場合じゃない。
「でも、僕たちの攻撃が全く通用しないんじゃ・・・。」
「水みたいに攻撃しても手ごたえゼロだからねぇ。」
・・・・・・・水?
シャープの言葉で、タイガはひらめいた。
「そうだ!相手が水なら、いっそ凍らせればいいんだッ!!」
「でも凍らせるって、どうやんだよ。」
「あ・・・。」
ラピスの言葉で、思考が停止するタイガ。
現在、この場にいるメンバー全員魔術は使えない。
よって、氷系の魔術も使えないのである。
「いや。方法はあるよ。」
と、シャープ。
「本当?」
「ああ。この5階層には冷凍食品とかを保存する冷凍庫があるんだよ。そこまでおびき寄せれば・・・・・。」
倒せるかもしれない・・・。
「どこにあるの?」
「ちょうどあそこの角を曲がってすぐだね。」
シャープの指差す方向には・・・・・スライム。そしてその先に曲がり角があった。
「・・・・・・・よし。」
そう言うとタイガは先ほどから攻撃をかわしまくっている、もしくは受け流している2人に、
「これから僕がスライムの後ろ(?)にいくから2人は注意をひきつけておいてよ。」
「ん?ああ、わかった。・・・て、ことだ。金髪、ミスんなよ。」
金髪・・・・・ティレクのことであろう。
「わかってるって。そんなに俺様ドジじゃないぜ!」
そう言い終ると、いっそう避けるのに磨きがかかり始める2人。
そして、タイガは隙を見つけようとする。
一瞬でも隙ができれば背後に回ることはタイガにとって造作もないことだった。
そして・・・・・そのときがくる。
(・・・・・・・・・・・いまだッ!!)
次の瞬間、タイガの姿が掻き消える。
と、思ったらスライムの背後に回っていた。
(疾いッ!!)
例えるなら疾風のごとき。肉眼で捉える事はほぼ不可能だった。
「はぁッ!!」
挑発にタイガは背後(?)から一発斬りつける。
すると、まんまと挑発にのるスライム。タイガに攻め寄る。
釣りで例えるなら餌に魚が食いついた・・・・・と言えばいいだろう。
タイガは角を曲がると、そこに『冷凍庫』とプレートに書かれていた部屋を開けた。スライムが確実にタイガに迫ってきていた。
だが、タイガにとってはこれこそが狙い。
ある程度距離が近づくとタイガは冷凍庫に入った。
それにつられるように入ってくるスライム。
そして、スライムが攻撃にかかろうとしたとき、スライムの目の前からタイガが掻き消える。
スライムを出し抜いたタイガはそのまま冷凍庫の扉を閉めた。
中でバンバンと、なにやらたたく音が聞こえるがおかまいなし。
やがて2〜3時間ほどすると何も聞こえなくなったので、扉を開けてみると、そこには氷のオブジェとなったスライムがいた。
スライム氷付け作戦、成功ッ!! |