第19話〜セルリア奪還戦5 『色々』〜
(・・・ったく、あの艦長。何考えてんだ?)
そんなことを考えながら、盗賊ラピスは『ラグナエース』の艦内をうろうろしていた。
ラピスはあのあとカイルに「あ。もう艦内を自由にしてていいよ。」と言われたのである。
盗賊を捕まえたんだから普通は牢屋行きとかだろうにうろついてかまわないと言われてラピスは正直なところ、とまどっている。
盗賊を牢屋に入れないなんて、逃げてもかまわないと言っているものである。
とにかく、そんなわけで艦内をぶらついているラピスなのだが艦内は広くて何があるのかなんて格納庫くらいしか知らないので、しかたなくちょうどラピス視点から見て暇そうなタイガに艦内案内をさせている。
(なんで僕がこんなことを・・・。)
一方のタイガはそんなことを考えていた。
だが艦長が「友好的にいこう」と言ったので仕方ないとばかりに案内をしている。
正直、元々敵だったラピスと仲良くなんてそう簡単には出来ない。
「え〜っと。さっきまで僕たちがいたところはピロティと言ってみんなの憩いの場所として普段は使用しているんだ。」
タイガも実のところ、最近ここに来たばかりで実はほとんど何も知らなかった。
なので、説明的にも簡略的なことしかいえない。
「そう言えば、タイガだっけか?」
「ん、なんだい?」
「おまえは何でこの『ラグナエース』にいるんだ?」
「何でいるって・・・・・。」
ちょっとした事故と言うか事件にあって、とりあえずこの船に住ませてもらう事になったなんて・・・・・
(いえない・・・。)
「おいッ!聞いてんだけどよ。」
「それは・・・。まあ、色々あってね。」
「なんだ?その色々って。」
「まあ色々だよ。それより、なんでラピスは盗賊をやってるの?」
タイガの質問に、ラピスも先ほどのラピスと同じく言葉が詰まる。
「・・・・・それは、その。・・・・・色々だッ!」
「なんだよ。その色々って。」
「色々だから色々なんだよッ!!」
「は、はぁ・・・。」
頷くくらいしか出来ないタイガ。
追求をすることは今のタイガにはできない。
もし追求したものならラピスのことである。「なら先におめぇの『色々』の内容を教えやがれってんだッ!!」とか言ってきそうである。
自分が『色々』の内容を話せないのに、相手に『色々』の内容を教えてもらおうなんて、タイガ自身むしのいい話だと思っていた。
「まあ、とにかく。艦内の案内の続きをするよ。」
「おそろしく変な話の転換の仕方だな。」
「ま、まあいいじゃない。」
とにかくこの話題から切実に逃れたいと思っているタイガであった。 |