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ベル&レメク、ある日の一コマ。
王宮編の前のお話です。

※本編とは関係のない話です※
SS【遊んであげているのです!】

 目の前で、綺麗な指がクルクルと円を描いてる。
 あたしはそれにカプッと噛みついた。
 しかし、指はサッと避けると、小馬鹿にするようにまたクルクルと目の前で円を描く。
「むむぅ」
 あたしは思いっきり口を尖らせた。
 王都北区、クラウドール邸。
 うららかな昼下がりである。
 目の前の立派なカウチにはレメクが座っていて、一生懸命背伸びしているあたしの目の前で指をくるくる回していた。構ってくれるのは嬉しいのだが、彼の構い方はちょっと問題がある。
 どうも子猫を相手にしてるような構い方しかしてくれないのだ。
 頭は撫でてくれるが、鼻を摘まれたり頬をプニプニ押されたりする。
 それに抗議して指をペチペチ叩いたり噛みつきにいったりするのだが、そうするとこうして鼻先で指をくるくる回されるのだ。
 あたしはジーッと鼻のちょい先で小さな円を描いている指を見つめる。
 漂う緊張感。目は一点集中。指は匂いまで嗅げちゃいそうなほどの近さ。
 ──と思ったら鼻を摘まれた。
「にょぉッ!!」
 あたしがバッと暴れると、レメクも指をパッと離す。
 そしてまた鼻先で指をくるくる回すのだ。
 お……おのれ……ッ!!
 あたしは今にも増してレメクの指に集中した。
 ここで一つ断っておきたい。
 あたしは別に、こんな風にしてレメクに構ってもらいたいわけでは無い。こんな遊びは望んでいないのである。
 けれど最近のレメクはこんなことばっかりするのだ! 乙女を何だと思っているのかとそう問いたい!!
 しかし、デキル女は、遊びたい盛りのトノガタにつきあってあげるものなのです。
 そう、あたしはレメクに遊んでもらっているわけではない。
 遊んであげているのです!
「……おや、もうこんな時間ですか」
 あっ! おじ様、もうやめちゃうの!?
 突然カウチから立ち上がったレメクに、あたしは愕然と飛びついた。
 待って待って! あたしはまだ満足してないのですよ!?
 ここでやめるなんて、それはもう、男としていろいろイカンってなもんでしょう!
「ベル。後で遊んであげますから」
 なんと!?
「ち、違うもん!」
 聞き捨てなら無いお言葉です!
 あたしは慌てて抗議した。

「遊んであげてるんだもん!」
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