闇守護業 4《黒刃》(8/31)PDFで表示縦書き表示RDF


闇守護業 4《黒刃》
作:祐太



第一章『救えぬ魂』(5)


「どうやらキミは知っていたんだネ、遼平クン?」

「てめぇ、俺達にそんな事言いに来たのかよ……!」
「事実上、キミ達の仲間を売ってしまったからネ。セメテものお詫びだヨ」
 変わらず軽い笑みのフェイズを、拳を震えさせながら遼平は睨み付ける。純也は繋がってしまった事実の糸に、ただ呆然としていた。
「そんな……まさか、真君が!?」
「純也クン、残念だけどその通りサ。もう一度言うヨ、キミ達の部長……霧辺真が《斬魔》なんダ」



「…………だからなんだってんだよ」

 遼平の声が震える。感情の爆発を堪えているように、微かな声で。
「だからどうしたってんだよ! あいつは今回の事件とは関係ねえっ!」
「それでも警察は、部長サンを初めに疑ったヨ。前科があるんダカラ、仕方が無いヨネ」
「あいつがやるわけねーだろうがっ!!」

「……そう言い切れるか?」

「紫牙っ?」
 壁にもたれて腕を組んでいた澪斗が、一歩踏み出す。澪斗は冷静で、いつもと同じ表情だった。
「真はここ数日、一人で夜間の警備をしていた為にアリバイが無い。……それも警察に伝えたのだろう? 情報屋」
「流石澪斗クン、鋭いネ。それを踏まえた上での、昨日の強制連行ってわけサ」
「……そうか」
「そうか、じゃねえだろ! なに冷静に言ってんだよ!」
 遼平が澪斗の胸倉を掴む。今にも殴りそうな剣幕で、服を握り締めた。

「アリバイが無い以上、疑われても文句は言えまい。ヤツは昔、殺人鬼だったのだからな」

「紫牙てめぇ……本気で言ってんのかよ!」

「俺はふざけた事は言わん。放せ、蒼波」

「許さねぇぞ!!」

「貴様に許されようが許されまいが関係無いな。どけ」

 遼平の手を払いのけ、自分の荷物を持って澪斗は出ていこうとする。
「澪斗っ」
「今日から例の依頼がある。部長が不在なぐらいでやらないわけにはいくまい。希紗、裏オークションの会場の情報を後で俺に送れ。今夜八時から始める」
「う、うん……」
 それだけ言い残し、澪斗は帰ってしまった。遼平が近くにあったデスクを蹴りつける。
「くそっ、紫牙の野郎……!!」
「落ち着いて、遼平」
「これが落ち着いてられるか!? おいマリモキリシタンっ、てめぇもとっとと帰れ! これ以上ココにいたらてめぇもぶっ飛ばすぞ!」
「オゥ〜、怖いネ〜。じゃ、ボクはもう失礼するヨン。希紗チャン、今日は仕事があるみたいダカラまた今度にするネ!」
 茶をしっかり飲み干し、ラジカセを抱えて情報屋は去っていった。再びサンバのリズムを流しながら……。


「……友里依、気にすんじゃねえぞ。真がやるわけねーんだからよ」
「ありがとう、遼平くん……」
 もう涙も乾いた笑顔で、友里依は頷いた。ひどく疲れたような感じは残っていたが。
「私、今夜の仕事の準備するわね。しっかり仕事しないと、真に怒られちゃう」
 フォローするような笑みで、希紗が遼平を見上げる。「さてと」と立ち上がり、工業カバンを持ち上げて。

「遼平……、澪斗も真を疑ってるわけじゃないと思う。だって私達……中野区支部が出来た時からずっと一緒だったんだもの」

「……」
 最初中野区支部は、真と澪斗、希紗の三人だけだったと聞いたことがある。よくもまぁたった三人で始めたものだと、遼平は呆れたことがある。

 ずっと黙っていることしかできなかった純也は、何かが壊れていく感覚に、どうしようもない焦燥感を感じていた。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう