第47話 ドキドキ? 身体測定。
「はーーーあ」
しょっぱなからタメ息なんかついてんなよとかお思いの皆様、そこはスルーの方向で。
どうも、リンです。
四月も終りが近付いて来たわけですが、ここで問題が一つ。
それは何か?
僕にとって最大級の脅威である、アレですよ。アレ。
そう、それはーーー
ーーー身体測定ですよ。
は? アナタ今「それがどうしたよ」とか思ったでしょ。
僕にとってはマンドラゴラの悲鳴を立体音響で聴くくらい危険な事なんですよ!
そう。検査教室の扉はまさしく地獄の門〈ヘル・ゲート〉。
その扉をくぐる僕の心境、プライスレス。
て言うか、今! 今だって!
半端じゃないテンパり方。今なら僕は空を翔べる。
むしろゴムなしバンジーしたい。死体になりたい。
ほら、そんな事を考えてる内にいつの間にか僕の番が……。
「次の方、どうぞー」
閻魔大王……もとい保険室のお姉さんが僕を審判にかけようとしている。
あぁ、た、助けて……。
体重計に乗る事を促されてしぶしぶ乗る。
ちなみに今の気分は、ピラミッドの壁画にある、魂の重さを計る天秤に乗せられた魂。
体重計の目盛りは他の人に見えないように、こっち側だけに紙が張ってある。
それがより一層恐怖をかきたてる。
前回の体重はたしか45キロ前後だったような気がする。
受け取った健康カードなるものを見る。
今回はーーー?
『46キロ』
……何故だ。何故一年前とほとんど変わりが無いんだ。
だって一年前は45.3キロだった。増えたのは僅か0.7キロ。
言い換えれば700グラム。……ちょっと重そうに聞こえるな。
いや、まて。僅かだが体重が増えたということは、身長が増えたという事じゃないのか!?
だがしかし。
もしかするとただ単に太っただけかもしれん。
こちとら不規則な生活してるからな。
色々と思案している内に身長をはかるアレの前に着いた。(正式名称は知らない。)
心臓が早鐘を打つ。
今回の気分は、これから処刑されるメロスの親友、セリヌンティウスの気分だ。
すんげードキドキ。
セリヌンティウスはきっとアレだ。
処刑されそうな恐怖と、日が落ちそうになっても帰ってこないメロスへの不信感で一杯だったに違いない。
僕は今、身長の測定士への不信感で一杯だ。
オイ、そんなに押し付けて来るんじゃない。
ってぇ!?
あっ、髪の毛挟まったじゃないか!地味に痛いんだぞ!?
「はい、どうぞー」
測定士から健康カードが手渡される。
前回計った時の身長は、たしか158.5センチだった。
どれどれ、今回は……。
『158.6センチ』
「1ミリしか伸びてねーじゃん! なんでやねん! 一年で1ミリってなんだよ!?」
「あれ? リン。お前もう終わったのか?」
いつの間にか僕の隣に来ているヨシト。
「なぁ、リンの健康カード見せてくれよ」
「うるぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「ぐばはぁっ!?」
僕のラリアットによってヨシトが吹き飛ぶ。
そう。これは正義の鉄槌だ。許せ、ヨシト。
○○○
身体測定は僕の心に直径100メートル程のクレーターを残して、なんとか終了。
あの後ヨシトは保険室に直行したとかしなかったとか。
僕は帰らせて頂こう。これ以上精神を削るのは命に関わる。
「……今日は寝る前に牛乳飲もう」
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