第35話 風が強い日は、外には出ない。
「うぁぁっ!?」
今日はどうも、風が強いですね。
危うく吹き飛ばされるところでしたよ。
空をみると曇っていて、それがより一層寒さを引き立ててるんですよね。
春一番にしたって、やりすぎだと思うんだけどなぁ・・・
あ、こんにちは。体が小さくて吹き飛ばされそうな、リンです。
今日も今日とて、屋上に来ているわけなんですけど、さすがにこの寒さはきついですよ。
それ以前に吹き飛ばされそうな訳で。
今日は帰ろっかな?
「あ、先輩じゃないですか」
「あれ?カレンちゃん?珍しいね?」
「え?私いつも屋上にいるじゃないですか?」
いゃあ、珍しいって言うのは、カレンちゃんが鉄柵の向こうにいないのがって事なんだけどね。
「いやー、いくらなんでも、この風の強い日にあんな所に立ってたら、さすがに落ちますって。」
あ、やっぱりゴムなしバンジーする気はなかったんだね。
「二、三回はありましたけど。」
「ほとんどじゃない!?それ!?八割がた本気だよね!?」
「まぁまぁ。」
「なだめられた!?」
「それはともかく、今日は飛ぶ気はないですからー。大丈夫ですよ」
うん。まぁ、それならいいんだけどね。
「って言うか、さっきからその生気の無い目はどうしたんだい?まるでどこぞのリストラおじさんの様だよ?」
「先取りです。」
「へ?」
「いえ、だから、先取りですって。何事も早目にするのが一番でしょ?」
「いや、そうとは限らないと思うけど・・・?いったい何を先取りしたんだい?」
「五月病です。」
・・・五月病。それは決意を新たに入ってきた新入生や、新入社員が、五月になって来ると慣れてきてだらけてしまう事だ。
「侵入社員?」
「いや、そんな事したら仕事が無くなるから。って言うか、むしろそれが仕事か?スパイなのか?」
「そんな危険な職業は置いといて、つまり、私は今五月病の真っ最中なんですよー」
「カレンちゃん・・・、五月病って言うのはね?新しく入ってきた人がなるんだ。カレンちゃん、二年でしょ?」
「いいんです。先輩っていう責務に疲れきってしまったんですー」
「・・・って、それ以前に、まだ五月じゃないし!まだ四月だし!」
「・・・そうでした?」
「そうでした。」
「別に今更・・・」
「なにその見下したような目は!?」
うわー・・・。
いま、思いっきり格下にみられたような・・・
「気のせいですー」
「いや、そんな虚ろな目で見られても!?」
はぁ。もういいや。
どうせ風強いし、今日は帰ろう・・・
「じゃ、カレンちゃん、僕は帰るよ・・・」
「あ、じゃあ、私も帰りますー」
そういって僕についてきた。
とりあえず玄関まで一緒に行ったんだけど・・・
学校出るまで、ずっとあの虚ろな目で見られてるってのは、相当きついよ。うん。
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