第33話 なんか、きた。
「おにぃー?なんかきたー」
「いや、なんかきたって言われても。それがなんなのか具体的に言ってくれよ。」
あ、こんにちは。
休日だから二度寝をきめこもうとしてたら呼び起こされました。
・・・リンです。
「だって分かんないんだもん。」
「で、一体なんなんだい?」
一応確認ぐらいはしないとね。
「なんか箱。」
「なんか箱って言われても。」
「差出人書いてないしー。」
「とりあえず開けてみなよ。」
「いいのー?」
「いいの。」
「なんか中でがさがさうごめいているけどー。」
「捨ててきなさい。今すぐ。この家の半径二万キロ圏内に近付けないでくれ。」
「さらっと無理言うねーおにぃ。地球の裏側においてこいと?」
だってなんか嫌じゃん。
妹も妹だ。
うごめいているなんて表現使うなよ。
生々しくて皆さんどん引き。
「我が妹ならできると信じてるよ。」
「んー、まぁ、出来なくもないんだけどねー」
あ、それでも出来ることは出来るんだ。
すごいぞ妹よ。
「ま、そんな冗談はおいといて。どっかそこら辺に捨ててきてくれ。」
「あい・さー」
妹よ。毎度思うんだが、その軍人みたいな返事はどうにかならないのか?
「なりませんでありますー。ぐんそー」
僕は軍曹でも何でもない。
でも、軍曹ってなんかかっこいいよね。ランク低いけど。
・・・って、僕の心の声に突っ込むなよ。
貴様読心術でも心得てるのか。
「独身術?」
そんな不名誉極まりない術を覚えてどうするつもりだ。
たぶん貴様は覚えて損は無いと思うが。
たしかモデルのバイトやってたからモテるんじゃないか?
「そうでもないよー?」
あ、そうなの。
って言うか、僕括弧無しで喋ってるけどいいの?
「まずいかもねー」
「じゃあ戻っとくよ。」
さてさて。そろそろケビンに朝ごはんあげなきゃね。
よしよし。さぁおたべ。
「おにぃー?なんかきたー」
「いやだから具体的に言ってくれよ。」
「メガネかけた七三分けの三十路突入の出っ歯の痩せほそったおじさんがきたー」
「流石に本人の前でそれは失礼でしょ!?ほら、怒ってる。あぁ、そんなに興奮したら血管が詰まりますよ。ただでさえ不健康そうなのに。」
あ、さらに怒った。
おかしいなぁ。健康を気遣ってあげたのに。
ん?なになに?
僕に売りたいものがある?
「これなんてどうでしょう。」
メガネの七三分けは僕にマッサージ機のカタログを見せた。
「うーん。残念ながら僕にはいらないですね。って言うかいいんですか?僕にこんなの売って?僕が使うより貴方に使った方がいいと思うんですけど。あ、すみません。言葉が足りなかったですね。要するに僕が言いたいのは、その固そうな頭にマッサージ機を直接当ててほぐしたらどうですかって事ですよ。実際の所僕が言いたいのは今すぐその荷物をまとめてとっとと帰れってことです。貴方がいるだけでこの空間が汚染されていくので。」
「かっえっれーかっえっれーとっととかっえっれー」
我が妹がとこぞの騒音おばさんの様にサポートしてくる。
メガネの七三分けは、怒りを通り越して涙を流しながら帰っていった。
その背中はいつぞやのリストラおじさんの背中に似ていた。
・・・相手が悪かったんだよ。
きっとあのおじさんは妹の追い討ちでしょげたんだ。
・・・うん。僕のせいじゃない。
・・・たぶん。
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