第28話 公園のブランコは子供の物。
「・・・誰?それ?」
目の前には僕の理解の範疇を越える光景が広がっている。
あ、どうも。毎日騒がしいですね。リンです。
「うーんと・・・。誰だろ?」
妹よ。家に招いた人間の名前や素性はしっておけよ。
「・・・って待て!明らかそれお前の友達じゃないだろ!」
だって目の前にいるのは、全身からリストラされましたオーラがにじみ出てるそんな人。
「・・・おにぃ、口にでてるー」
「なにっ!?」
あ、おじさん泣き出しちゃった・・・
ぼ、僕のせいじゃないんだから!
「・・・ていうかあんた、なんでここにいんの?リストラおじさんっていったら公園のブランコに揺られながら子どもたちに罵倒されるのがセオリーでしょ?」
あ、おじさんが血吹いて倒れた。
・・・救急車呼ぶのめんどくさいからいいや。
恥ずかしいし。
「あー、おにぃ、その人ねー、私が持ってきたのー」
へぇ、そうなんだ。
キミがねぇ・・・
「・・・ってオイ!お前のせいか!お前がおじさんをブランコから引き剥がして来たのか!」
何て事を・・・
リストラおじさんをブランコから引き剥がしてしまったら世界の均衡が崩れ去り、日本経済が大打撃を受けるに違いない!
「仕方なかったんだよー。ブランコで遊びたい子どもがいたからさー」
あぁ、それならしかたがないな。
・・・っていうか、リストラおじさんは子どもより格下なんだね。
・・・ていうか妹よ。
お前意外といいやつなんだな。
「でしょー?」
「でも、それとこれとは別だ。これは返して来なさい。または粗大ごみとして捨てて来なさい。」
「おにぃ!ひどい!」
あ、リストラおじさんが復活した。
妹に向けて「あんたは天使だ」オーラを放ってる。
「これをまたおんなじ所に返して来たらまた子どもが迷惑するでしょー!ただでさえ社会のお荷物なんだからー!」
あ、リストラおじさんが絶望にうちひしがれている。
さすがに言い過ぎだ妹よ。
「それにー!今日は粗大ごみの日じゃないよー!しかるべき日に捨てないとー!ただでさえ会社が不法投棄してるんだからー!」
「ごめんよ。それは僕もすっかり失念していたよ。」
あ、リストラおじさんが死んだサンマの目してる。
え?見た事ない?
じゃあお母さんにでもサンマを焼いた奴を作ってもらいなよ。
なんか白濁した色だよ。
「リストラおじさんはリサイクル出来ないかなぁ・・・」
「さぁー?どうなんだろうねー?」
やるとしたらきっとお金や手間がかかるからやらないけど。
「と、言うことで、帰れ。」
リストラおじさんが涙を流す。
「無駄無駄無駄無駄ー!男の涙はなんの破壊力も秘めてないんだよー!それも中年はー!おにぃは別だけどー。」
妹よ。
それは暗に僕が男らしくない、と言っている様にしか聞こえないんだけど。
「その通りだよー?」
「そうなのかよ!?相当な毒舌だなお前は!」
あ、帰るんですか?リストラおじさん。
公園のブランコにはもう行かないようにね。
そういや僕らの親父はいまどこにいるんだろうね?
「さぁー?リストラおじさんになってないことを祈るよー」
縁起の悪いことを言うなよ・・・
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