第2話 保健室のにほひ。
「はっ!!」
ん・・・?ここはどこだろうか。目の前に広がる白い壁。鼻を突く消毒液の匂い。恐らくここは保健室なのだろう。それよりも何故僕はこんな所にいるんだろう。
「・・・あ、・・・思い出した・・・」
そうだった。僕がいつもの様に屋上に行ったら何故か鉄柵の向こうに女の子がいて、その娘を助けたと思ったら、気の強そうな女の子に鞄を投げられたんだった・・・。
しかし、話も聞かずにいきなり鞄を投げるとは・・・気が短いなぁ・・・
ふと、寝返りをうって、横を向いてみると、カーテンの向こうで何かが動いた。誰かいるのだろうか。
「・・・あ、起きたの?」
カーテンを開けて入って来たのは、先程僕に鞄を投げたであろう、気の強い女の子がいた。
「うん。確に僕は起きていたけど、そこは普通カーテンの外から許可を得てから入ってこない?さては、君は部屋に入る時にノックとかしない人かな?もしそうだったらそれは改めた方が良いと僕は思うよ。どんな人にだってプライバシーって物はある訳だしね。それはそうと、僕がせっかく説明してると言うのに、いきなり鞄を投げてくるとはどういう了見だい?危うく僕は頭蓋骨損傷、及び脳損傷によるショックで死んでしまう所だったよ。きっと君は気が短い人なんだね。しっかり朝ごはんや、カルシウムをとった方がいいーーー」
「うるっっさい!!」
おっと。僕の得意技の無駄な長話が封じられてしまった。何と言うことでしょう。
「あーもう!そのことはもうカレンに聞いたわよ!私のはやとちりだったわよ!ごめんなさいね!」
「うん。謝ってくれているのはいいんだけど、さすがにそれは誠意が感じられないよ。僕が被害にあっているんだから僕がキレてもいいはずなのに、なんで君がキレているのか僕には皆目見当つかないね。と言うか、今僕が少し話をしていたと言うのにそれを遮ってまで話をしたいだなんて君は自己主張の強い人なんだね。責めて初対面の人が相手の時は慎んだ方が良いと僕は思うんだけどどうだろう。」
「あぁもう!分かってるわよ!だいたいアンタは何でそんなに偉そうなのよ!先輩なわけでもあるまいし!」
「あー、それについて何だけどね、君は見たところ靴の色からして二年生だね。ちなみに僕は三年生だ。キレるにはもう少し相手を見てからにした方がいいよ。・・・何だい?その目は。いくら僕が背が低くて女顔だからってそれはないんじゃないかな?」
そう。僕の顔は誰かからの遺伝かは知らないが女顔な上に、家族全員が背が高いのに僕だけ背が低いと言う、突然変異が起こっている。困った事に、未だに中学生に見られる事さえある。まぁ、自前の超無愛想顔で見た目よりは大人っぽく見える・・・筈だと思う。
「えーと・・・先輩なの・・・?」
「うん。まぁ、君から見ればそうなるんだろうね。普通ならそこで敬語くらい使う筈なんだけど、僕は敬語って言うものが苦手でね、使わなくてもいいんだけど。」
そう。僕は敬語と言うものがどうも苦手だ。使うのも、使われるのも。使うとどうしても僕の場合他人への嫌がらせにしかならないらしく、それ以来気を付けている。使われると、どうも背中が痒くなってしまうので極力使わないでもらっている。とは言っても、使われるような後輩も友人もいないわけなんだが。
「う・・・。じゃ、じゃあ、そうさせてもらうわ。・・・私はちょっと見に来ただけだから!もういくわね!」
「ああ。さすがに外も暗くなって来たからね。僕みたいなのが、夜道を歩いていると、若いヤンキーみたいなのがよってたかってカツアゲしようとしてくるからね。気を付けて帰らなきゃ。じゃあ、僕は帰るよ。もう会うことはないと思うけどまたね。」
そして僕は暗くなった道を、ヤンキーさんに絡まれない様に、ダッシュで帰った。
あ、そうそう。帰ったら妹に「遅かった」と言う理由で晩ごはんを抜かれてしまった。晩ごはんを食べないと僕は眠れないと言うのに・・・
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