第12話 変なお嬢様。名前を知られた僕。
「・・・で、なんで君はまたそこにいるのかな?」
いつもの様に、放課後、僕は屋上に来ていた。
そこにいたのは、鉄柵の向こう側にまたいるカレンちゃん。
「だって、だってぇ・・・」
「あぁっ!ごめん!泣かないで!そしてうずくまらないで!落ちるから!」
「で?いったいどうしたんだい?」
なんとかカレンちゃんを鉄柵から離した。
「最近ユキノが変なんです!」
「ユキノ?誰の事だい?」
僕の知り合いにそんな人は居ただろうか。
「え?忘れちゃったんですか?ほら、あの気の強い娘ですよ。」
あぁ。お嬢様の名前がユキノって言うのか。
「へぇ。で、そのユキノちゃんがどうかしたの?」
「なんか、週明け学校に来たら、いきなり、「あの笑顔は天使ね・・・」とか呟いてるんです!」
いったいどうしたのだろう。笑顔?天使?・・・覚醒剤でもやってしまったのだろうか。
「・・・って言うか、だったら君が飛び降りる様な真似はしなくていいんじゃないのか?」
「まぁ、そうなんですけど・・・」
と、話していたら、屋上の扉が耳障りな音を立てて開いた。
「やぁ。先日はありがとうね。キャットフードやら温泉やら色々お世話になっちゃって。」
「そんな事、いいのよ!気にしないで!」
・・・あれ?確に変だな。いつもだったら「感謝しなさいよね!」とか、「私を崇めなさい!」とか言っているのに。
「それより、アンタの名前は?この間、行った時聞こうと思ったんだけど、忘れててね。」
「そんな事はどうでもいいんだ。それよりどうしたんだい?今日の君はどこかおかしいよ?もしかして覚醒剤でもやってしまったのかい?もしやってしまったのなら、今すぐ止めるべきだ!今なら警察にも連絡しないし、親や教師にもーーー」
「覚醒剤なんてやってないわよ!失礼ね!」
「しかし、カレンちゃんが、君が変っていう理由でまた鉄柵の向こう側にいたんだ。いったいどうしたんだい?」
「アンタには関係ないわよ!・・・ごめんねカレン。ちゃんとアンタには話したげる。」
・・・僕には?
「まぁ、そんな事より、アンタの名前は?」
「いや、それについては別に聞かなくてもいいんじゃないかな?今まで別に困らなかっただろ?」
「それが困ってたのよ。アンタの家に行った時に呼ぶとき、名前知らなくて、どう答えていいかとまどったからね。」
「はぁ・・・わかったよ。・・・僕の名前は、リンだ。」
「・・・。」
「・・・。」
なんだ?その沈黙は?
「「・・・似合いすぎ・・・」」
「・・・なんでやねーーーーーーん!!!?」
僕は地球を割る勢いで叫ぶ。
「・・・似合うってのはどういう意味だい?」
「いや、もうそのまんま?顔と名前が完璧一致って感じ?」
「それは、僕を侮辱しているようにしか聞こえないんだけど。」
「そんな事ないわよ!・・・ふふっリンって言うのね・・・」
「ん?何か言ったかい?」
最後の方が声が小さくて聞き取れなかった。なんて言ったのだろう。
「何でもないわ!じゃ、私は帰るわ!またね!カレン!行きましょ!」
そう言って彼女は勢いよく扉を閉めて行ってしまった。
・・・いったいなんなんだろう。
あ、また雪降ってきた。積もったらどうしよう・・・。
僕は雪かき出来ないからな・・・
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