第10話 ある休日の、お嬢様の訪問。
「そうだ!キャットフードを届けに行こう!」
こんにちは。気の強い、というキャラが立ってしまっている、ユキノ、と申します。以後お見知りおきを。
先程言ったように今日はアイツにキャットフードを届けてやろうと思い立った。
い、いや、特に深い意味はないわよ!?
ただ同じ猫好きとして、いいキャットフードを猫に食べてもらいたいじゃない!?
そんだけよ!
そういう訳で、「グルメな猫の為のキャットフード第3弾」を大量に購入。
それを執事達に持たせて、いざ出発。
「ここね・・・」
名前とか聞いたことなかったし、興味も無かったから、別段、気にはしてなかったけど、この名前、どこかで見たことがあるような?
そんな事を思いながらインターフォンを押す。
返事が帰ってきて、扉が開く。相手も確認せずに開くなんてずいぶん不用心なんだな・・・と思う。
「どなたですかー?」
出てきたのは女の子。妹さんかな?・・・にしても、大きい。170近いかもしれない。
「えーと、私・・・」
あ、名前知らないと誰に用があるのか分かんないじゃない!
「えっと・・・友達です!」
意味がわからない。
誰のだって。
「えーと、お兄ちゃんの?」
こくこく頷く私。また今度名前聞かなきゃ。
「お兄ちゃん?お友達だよー」
妹さんがアイツを読んでいる。
アイツがなんか言ってるけど、奥の方にいるせいか、聞き取れない。
「ホントにいいのー?」
何がいいのだろう。
「ごめんなさいー。お兄ちゃんは電子空間の友人と食料品問題について話しているから出れないそうですー。更に言うとリアルには友達なんかいないそうですー。」
なんて暗い奴だろう。しかも友達がいないって、私が友達だって言ったような気がするけど・・・
「そうですか。じゃあ、また改めて伺います。」
取り合えず、家に帰った。元々用事ってそれだけだし。
再び、アイツの家の前にいる私。
またインターフォンをおす。
「どなたですかー?」
「あ、あの、こんにちは。彼、いますか?」
さっき帰る時に名前聞けばよかった。
「お兄ちゃん?またさっきの自称友達が来たよー?」
誰が自称友達だ!・・・いや、アイツがそう思ってなければ、そうか。
あ、今度は声が聞こえる。
「だからさっきも言ったけど、僕はリアルに友人なんかーーー、・・・なぁ、妹よ。その人は、なんか気が強そうで、馬鹿っぽい人かな?」
誰が馬鹿っぽい人よ!?
「んーだいたいそんな感じがするよー?」
「じゃ、帰ってもらって」
「なんでよっ!」
「おやおや。君は、その家の人間に断りもなく家に入って来るとは、これは立派な不法侵入だよ?」
「知り合いなんだから追い返すこと無いじゃない!」
「君はどうもわかっていないようだけど、ーーー」
あぁ聞くのめんどくさい。
「住所は先生に聞いたのよ。ちょっと用事があったから!」
「その用事ってのは何かな?」
「これよ。これ。」
執事を呼んでキャットフードを持って来させる。
なんか、アイツがテンパってる。
どうやら何か勘違いしているようだ。
「違うわよ。アンタが猫飼ってるって言うからこれを届けに来ただけよ。」
「これをどうしろと言うんだい?生憎僕はこんな量のキャットフードを買い取るお金はないよ。」
「違うわよ!アンタが猫好きらしいから、同じ猫好きとして、これを譲ってあげようと思ってね。」
「か、神よ!」
・・・意味がわからない事を彼は口走る。
「もしかして君はお嬢様って奴かい?」
「まぁ、そうとも言うわ。」
「どうりで素晴らしく偉そうな訳だ。」
なんて事を言うんだ。しかし私は知らないふりをする。
「なんかいった?」
「いいえ。なんにも。しかし、ありがたいね。こんなに沢山のキャットフードが。僕がケビンに代わって心からお礼を言うよ。ありがとう。」
なんと!その時私は見た。普段無愛想な彼が笑顔を見せるのを。
ありきたりかもしれないけど・・・まるで、天使のようだった。
きっと今、私の顔は赤く染まっているだろう。
「い・・・いいのよ!別にこんくらい!じゃ、じゃあ、渡したし、帰るわ!じゃあね!」
顔が赤くなっているであろう事が恥ずかしくて、慌てて扉を閉めた。
あぁ。あんな可愛らしい笑顔を見てしまったら、今日は寝れないかも知れない。
・・・そっち系の趣味はないわよ?
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